定年・退職のお金/退職金の運用方法

個人型DC(確定拠出年金)は普及しない?

2017年1月から、個人型確定拠出年金の加入対象者が大幅に拡大されます。これまで加入できなかった第三号被保険者(専業主婦)、公務員も対象になり、加入対象者が現在の約4000万人から約6700万人へと増加。iDeCoという愛称も付けられ、注目度が高まりつつあります。ただ、これによって確定拠出年金への関心が高まるかどうかは、未知数です。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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個人型DCの普及は進まず

確定拠出年金への関心は高まるのでしょうか?

確定拠出年金への関心は高まるのでしょうか?

個人型DCの加入状況は、これまで決して芳しいものではありませんでした。現在、約4000万人の加入対象者がいるなか、実際に個人型DCで資産形成をしている人の数は、2016年3月末で25万7579人。確定拠出年金という制度が誕生したのは2001年10月ですから、15年が経過しても、加入対象者から見た普及率は0.64%程度でしかないのです。

前述したように巷では、個人型DCの加入対象者が専業主婦や公務員にまで拡大されたことで、何か一気に状況が変わって、個人型DCが大いに普及するかのような雰囲気が醸成されていますが、加入対象者が広がった程度では、その普及率が高まることはないでしょう。

なかなか実現しない「貯蓄から投資へ」のスローガン

個人金融資産の比率を見ると、2016年9月末時点において、総額1752兆円のうち、現預金は916兆円を占めました。マイナス金利によって、預貯金金利が過去最低水準になったにも関わらず、現預金の残高は着実に増えています。
今でもよく使われている「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられたのは、2001年のことでしたが、あれから15年が経過しているにも関わらず、人々の預金志向の強さは非常に強固であり、これを変えるのは、なかなか大変であることが分かります。今回、確定拠出年金の制度が改正され、個人型の加入対象者が約4000万人から約6700万人に増えるといっても、新たに対象として加わった専業主婦、公務員が、投資も含めた資産運用に対して、どこまで積極的に取り組もうと考えているのかは、未知数です。

恐らく自分が投資をすることになるなどとは考えてもいない人が、大勢いるかも知れません。そういう人たちが、確定拠出年金に関心を向けるようになるためには、「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げて15年が経過しているのに、今もって預貯金志向の強さが変わらないことから推察すると、非常に難しいことだと思うのです。

パートナーを探す

そのうえ問題になるのが、手続きの煩雑さです。個人型DCの口座開設は、証券会社に一般口座を開いて投資信託を買うほど簡単ではありません。たくさんある運営管理機関のどこに口座を開くかで迷いますし、その運営管理機関が品揃えしている運用商品のどれを買えば良いのかでも、恐らく迷うでしょう。さらにいえば、個人型DCの口座を開く際に必要な「個人型年金加入申出書」の記入そのものが煩雑であり、「確定拠出年金で老後資金を作ろう」という前向きな気分になったとしても、実際に運用を始めるまでには、心が折れそうになるハードルをたくさん越える必要があります。

確定拠出年金は、誰にとっても必要であり、税制面でもメリットが多い制度ですが、手続きの煩雑さ、情報不足など、改善すべき点がたくさんあります。とはいえ、これからの老後資金作りを考えると、やはり確定拠出年金には加入した方が良いと思います。

もし、こうしたハードルを乗り越えて、個人型DCで老後資金を作ろうと考えている方は、個人型DCに詳しいパートナーを見つけると良いでしょう。たとえば、「確定拠出年金相談ねっと」などは、定期的に各種セミナーを開催していますし、有料相談も受け付けています。個人型DCに関心のある方は、一度サイトにアクセスしてみてはいかがでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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