定年・退職のお金/退職金の運用方法

2015年より金融資産が約10%目減り!その理由は?

2人以上の世帯の金融資産保有額の平均値は1078万円。1年前(2015年)の1209万円から131万円減った(10.8%減)――そんなおサイフ事情が金融広報中央委員会の「2016年家計の金融行動に関する世論調査」から浮かび上がりました。その理由は?

執筆者:小川 千尋

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1年前より金融資産が減った世帯が増えた!

1年前より、金融資産は減った。

1年前より、金融資産は減った。

前文で紹介した金額は、全世帯の平均値です。金融資産を持っている世帯だけで見ると、保有額は1615万円。1年前の1819万円より174万減(11.2%減)となりました。以下、金融資産保有世帯の結果を見てみます。

金融資産が1年前より「減った」と答えた世帯は31.7%(2015年は26.2%)、「増えた」と答えた世帯は22.3%(同・30.1%)。減った世帯が増え、増えた世帯が減ったことがわかりました。

では、「減った」理由は何だったのでしょうか? 「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから(35.8%)」、「子どもの教育費用、結婚費用の支出があったから(27.5%)」、「耐久消費財(自動車、家具、家電など)購入費用の支出があったから(26.8%)」でした。給料・年金などの定期収入が減って貯蓄を取り崩して、子どもにお金がかかって、耐久消費財を買って、金融資産が減ったということですね。

また、「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから(25.6%)」と、4世帯に1世帯が運用商品の評価が減ったことを理由の1つにあげています。1年前の回答は5.7%でしたから、この1年間の運用環境がいかに厳しかったかを物語っていますね。

一方、「増えた」理由は、「定例的な収入が増加したから(37.8%)」、「定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから(27.5%)」。「配当や金利収入があったから(7.2%)」、「株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから(6.9%)」という世帯もありますが、1年前は前者は14.8%、後者は26.4%でしたから、これも、この1年間の運用環境の厳しさを表しているといえそうです。

金融資産を持つ目的は、やっぱり「老後の生活資金」!

金融資産を持つ目的は「老後の生活資金」が70.5%と最も高く、1年前(66.5%)より上昇しています。長寿化、公的年金の目減り、健康保険・介護保険の負担増など、老後生活への不安がより高まったということなのでしょう。次いで、「病気や不時の災害への備え」は63.7%で、1年前(63.7%)と同じでした。

なお、金融資産が全くない0円世帯は1年前と変わらず30.9%でした。この世帯の中には、銀行・証券会社の口座残高はなし、口座そのものを持っていない割合は13.0%でした。金融資産がない世帯は、貯蓄や運用にほとんど接点を持っていないということなのですね。

日本人の金融資産が増えた・減ったというのは、お金を持っている世帯が増やしたり減らしたりしているだけなのですね。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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