お受験には集中力が欠かせません
おやつで栄養補給
日々のおやつ、どうしていますか? おなかが膨れればいいと思っていませんか? 成長期の子供にはおやつも大切な栄養源。栄養補給のせっかくのチャンスですから、内容を工夫して、集中力アップの手助けをしつつ、身体の成長の助けになるものを食べましょう。おやつ≠お菓子
おやつ、と聞いて想像するものはなんでしょう。手軽なおせんべい? 甘いケーキ? いわゆるお菓子を想像された方が多いのではないでしょうか。お菓子は主に炭水化物でできています。炭水化物は主にエネルギー源として機能しますが、成長に必要なのはエネルギーだけではありません。身体を作る主な材料はタンパク質と脂質。日々新しくなっていくわたしたちの身体にはこの材料が欠かせません。
成長期にはさらに「大きくなる」という重要なお仕事がありますから、タンパク質と脂質を効率よくおやつに取り込んでいくのがポイントです。
おやつが逆効果になる!?
「おやつ」はお菓子?
脳が使えるエネルギーは糖とケトン体と一般的にいわれており、このエネルギーが減ってくると集中力が落ちたり疲れを感じたりするわけです。では、頭が疲れたときには甘いものを摂ればバッチリ解決!なのかというと、どうやらそうとは言い切れないのです。
もしかすると日々のおやつが、集中力がない、眠気が強い、落ち着きがない、機嫌が悪い、感情が急に変化する、などといった子供たちの困った態度の原因になっているとしたら、おやつを工夫してみる価値がありそうです。
血糖値のしくみを知ろう
ここで少し生化学や栄養学の方面から考えてみましょう。一度に必要以上の糖を摂取すると何が起きるのでしょうか。わたしたちの身体は、とても複雑なしくみがバランスを取りつつ機能しているのですが、おおまかに流れだけでも見てみましょう。まず糖で血糖値が上昇します → 足りなくなっていたエネルギーが入ってくるので集中力が一時的にアップします → しかし急激に高まった血糖値を平常レベルに戻すためインスリンというホルモンが分泌して、血糖値を速やかに下げます → 血糖値が下がるため、結果として集中力は低下し、イライラやだるさや眠気をもたらします。
さらに、こうした血糖値の乱高下は、身体への負担となり健康を損なう原因となりえます。どうやら、ただ食べればいいというものでもなさそうですね。
GI値ってなに?
食べ物の血糖値への影響を数値で表すのがグリセミックインデックス(GI)です。ひとくちに糖質や炭水化物といっても、すぐにエネルギーに変換される甘いものはGI値が高く、水溶性の食物繊維の多い食品はゆるやかに吸収されるためGI値が低い、つまり急激な血糖値変化を起こしにくいのです。タンパク質や脂質が主な食品はもちろん低GI値です。このGI値を意識しつつ、どんなおやつをどれだけ食べるのか、というところがカギになってきそうです。
おやつに何を食べる?
GI値を意識して集中力アップ!
糖を含む食品でも種類によって吸収の度合いや速度はいろいろ。冷えたでんぷんは吸収速度がゆるやかだといわれていますし、甘いものに多く含まれるブドウ糖は特に吸収が早く、甘い飲み物や果物に多く含まれる果糖は摂取しても満足感に繋がらないため摂取量が多くなるなど、健康への影響も少なくありません。
そして成長期を支えるためには、身体を作る材料としてタンパク質と脂質をしっかり摂るのがコツといえるでしょう。おやつには例えば、冷えたおにぎり、ビーフジャーキーやつくね、肉スープなどのタンパク質たっぷりなものや、コラーゲンやゼラチンを使ったゼリー、食物繊維やミネラルが豊富なナッツなどがおススメです。
かしこく選んで集中力アップ!
おやつは手軽なお菓子で済ませる場面も多くなるのですが、糖だけでおなかを満たすと血糖値の乱高下をまねきます。大切な成長期だからこそ、GI値を意識したチョイスでうっかり増えがちな糖を賢くコントロールするのに加え、身体を作る材料であるタンパク質や脂質をたっぷり盛り込むことで、お受験や勉強を乗り切る集中力をゲットしましょう!参考書籍
「これだけ! 生化学」 ISBN9784798042268
「ゼロからのサイエンス よくわかる生化学」 ISBN9784534043450
「カラー図解 栄養学の基本がわかる事典」 ISBN9784791619993
「食と健康 (放送大学教材)」 ISBN9784595313493