子供の想像力を使った遊びとは? おもちゃに頼らない知育
子供の豊かな想像力を使った遊びを認知能力アップに活かそう!
アメリカの研究の中で、子供の認知能力をアップする遊び方について1つの提案をしているものがあります。その実験の様子を交えながら、遊び方のコツについてご紹介していきましょう。
子供の想像力を使った遊び:1日15分間×5週間で出た違いとは?
この実験の対象となったのは、3~5歳の71人の子供たち。次の2つのグループに分け、観察をしました。- グループA(39人):想像力をフルに活用した遊びを行った
- グループB(32人):歌を歌う、ボール投げをするなど、よくある遊びを行った
その後、全員の子供たちの認知能力のテストをすると、グループAの子の方が、グループBの子よりも、高い伸びを示したのだそうです。
特に大きな変化が見られたのは、ワーキングメモリーが関わる動作でした。ワーキングメモリーとは、認知心理学では「作業記憶」と訳されます。短い時間に心の中で情報を保持し、同時に処理していく能力のことです。たとえば、会話や読み書き、計算などが該当します。私たちの日常生活や学習を支える重要な能力です。
この実験では、子供たちは数字のリストを記憶するというタスクにトライしましたが、グループBの子供たちと比べ、想像力を働かせた遊びをしたグループAの子供たちは、非常に高いスコアを記録したのだそうです。
子供の想像力を使った遊びとは、ファンタジーを体現化するのがコツ
グループAの子の中でも、15分間のセッションに真剣に取り組んでいた子が、より高い作業記憶を示したことから見ても、イマジネーションを働かせた遊びというのは、子供の認知能力を伸ばす働きがあると考えられます。この実験がおすすめしている想像力を働かせた遊びというのは、現実にはありえないことや、存在しない生物などを用いた話を展開させるというもの。たとえば、
- ドラゴンになって、手を羽ばたかせて空を飛ぶストーリー
- スティックを振ると、次々と花を咲かせるストーリー
- 紫のキャンディーを口に入れると、不思議なことが起こるストーリー
子供たちが、頭の中のファンタジーをもとに、体現化することが大切なのだそうです。
- 非現実的なイマジネーションを現実の世界にどう導くか
- 毎日の生活とはかけはなれた独創的なストーリーをどう表現するか
おもちゃあり育児、子供の想像力を使った遊びを使い分けよう!
おもちゃには、必ず取扱説明書やルールブックがついてくるように、ある程度、遊びの型が決まっています。携帯型のゲームやオンラインゲームには、ファンタジーをテーマにしたものもありますが、ゲーム上のできあがったファンタジーと今回おすすめしているファンタジーでは、まったく別物なのが分かります。おもちゃはおもちゃで楽しいものなので、否定する必要はありませんが、それぞれの特色を生かして使い分けるのがいいのでしょう。こちらの記事「子供時代、自由に遊んだ方が大人になって大成する!?」でご紹介したドイツの研究結果でも、「型にはまらない遊び方」をしてきた子の方が、将来、大物になりやすいと言っています。「遊びを型にはめないこと」が、子供の能力アップのポイントになるようです。
*出典:学術誌 Journal of Experimental Child Psychology「The effects of fantastical pretend-play on the development of executive functions: An intervention study」より
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