スバル「tS」モデルの魅力
スバル・レヴォーグに初めて設定された「STI Sport」が好調なスタートを切った。2016年7月21日の発売から約1カ月で3000台を超える受注を集め、レヴォーグの中でも42%という割合に達しているという。
「STI Sport」は、STI(スハ?ルテクニカインターナショナル)仕様でありながらいわゆるカタログモデル化されているのが特徴。さらに、極端に先鋭化させるのではなく、走りも快適性も両立させた「大人の仕様」になっている。
一方、今回紹介するSTIによる「tS」モデルは、台数や販売期間などが限定されることが多い本格的なスポーツ仕様で、今秋販売される「SUBARU XV HYBRID tS」は2016年7月28日からすでに先行予約を開始している。
今回、同モデルを取材する機会があったのでご報告したい。ただし、ラインオフされた生産モデルではなくプロトタイプ的な仕様であったため、走りの印象はお届けできない。それでも濃厚な「tS」の世界は十分に味わうことができたのは確かだ。
エコだけではない「SUBARU XV HYBRID tS」の美点
「Enjoy Driving Hybrid」をコンセプトに掲げるだけあって、ハイブリッドであっても楽しさが伝わってくる内・外装が魅力だ。
外観では、オレンジのアクセントが目に飛び込んでくる。STI製フロントスポイラーやサイドアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラーにオレンジピンストライプが配置されているほか、切削光輝タイプの17インチアルミホイールにもオレンジのアクセントが用意されている。そのほか、ダークメッキ加飾付フロントグリル、ブラック電動格納式リモコンドアミラーなどにより、圧倒的といえる存在感を放っている。
足まわりももちろんSTIによるチューニングが施されていて、フロントストラット&コイルスプリング、リヤダンパー&コイルスプリング、フレキシブルタワーバー(フロント)、フレキシブルドロースティフナーフロントといったSTI製パーツにより引き締められている。
内装もオレンジがアクセントになっていて、本革巻セレクトレバーとシフトブーツ、本革巻ステアリングホイール、エアコンダイヤルなどにオレンジの差し色を用意。さらに、ウルトラスエード&本革のフロントシートや後席のヘッドレストなどにもオレンジのアクセントを加えることで、内装は適度にスポーティでありながらテーマである「Enjoy」という遊び心が伝わってくる仕上がりだ。
安心感、信頼性、そして特別感が得られる「tS」
そのほか、ピアノブラック調のインパネ加飾パネルやドアトリム加飾など数多くのSTI専用装備が用意され、コンプリートカーらしいほぼ手を加える必要のない仕様になっているのが「tS」ならではの美点といえるだろう。
「SUBARU XV HYBRID tS」が楽しさとスポーティの競演ならば、2016年10月4日から 2017年の3月12日までの期間限定で販売されている「WRX S4 tS」は、よりスポーティな走りを訴求する人に向けた本格スポーツモデル。
WRX S4 tSの価格は496万8000円。STI製BBS19インチ鍛造アルミホイールやト?ライカーホ?ンリヤスホ?イラーなどの特別装備が用意される 「NBR CHALLENGE PACKAGE」仕様は529万2000円
通気抵抗を低減した吸排気系などにより加速中の過渡エンシ?ントルクを最大約 10%向上させたパワーユニットをはじめ、CVTのクーリング性能を強化しているほか、足まわりに圧倒的な支持を集めた「tS」モデルの最高峰といわれる「S207」にも採用された可変減衰力サスペンション「DampMatic2(ダンプマティック2)」を装備することで、引き締まった走りだけでなく、快適な乗り心地の両立も図られているという。
「tS」と「STI Sport」でファン層を拡大
「SUBARU XV HYBRID tS」と「WRX S4 tS」は、同じ「tS」仕様でありながら車種に合ったキャラクターが与えられている。「tS」シリーズに加えて、冒頭で触れた「レヴォーグ STI Sport」という大人のカタログ(標準)モデルも用意されている。スバル、そしてSTIは、従来からのスバリストと呼ばれるファンを大切にしながら幅広い客層にアピールする体制を整えつつある。
そこに、「SUBARU GLOBAL PLATFORM」を使った第1弾の新型インプレッサも加わり、さらに派生モデルや新型車で攻勢をかけることで、スバルの主要市場である北米だけでなく、お膝元の日本でも存在感が高まるはずだ。