SUBARU(スバル)/インプレッサ

インプレッサはVWゴルフに追いついたか!?

SUBARUの新世代モデル第1弾といえるインプレッサ。同じCセグメントでベンチマークと自他ともに認めるフォルクスワーゲン・ゴルフにどれだけ追いついたか興味深いところだ。インプレッサはゴルフに追いつき追いこせただろうか。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

新世代SUBARUのインプレッサとマイナーチェンジを受けたVWゴルフ

インプレッサG4

写真はセダンのインプレッサG4。インプレッサの価格帯はスポーツもセダンも192万2400円~259万2000円


Cセグメントのベンチマークと自他とともに認めるフォルクスワーゲン・ゴルフがマイナーチェンジを受けた。日本の自動車メーカーもこのクラスでは超優等生といえるVWゴルフの存在は無視できない。

SUBARUが「SUBARU GLOBAL PLATFORM」と呼ぶ最新世代のプラットフォームを使って仕立てた現行インプレッサはもちろん、派生SUVである新型SUBARU XVもCセグメントに分類が可能で、インプレッサとXVがどこまでVWにゴルフに迫り、あるいは追い抜いているか気になるところだ。

インプレッサの美点は?

インプレッサG4

インプレッサG4は全長4625×全幅1775×全高1455mm。なお、インプレッサ スポーツは全長4460×全幅1775×全高1480mm


まず、インプレッサの強みから考えてみよう。ハッチバックのインプレッサ スポーツ、セダンのインプレッサG4ともに、「アイサイト(バージョン3)」、「歩行者エアバッグ」を全車に標準装備するほか、後側方警戒支援システムとハイビームアシストからなる「アドバンスドセイフティパッケージ」をメーカーオプション設定するなど、エントリーグレードが200万円以下から設定する価格帯を考えると買い得感がある。さらに、2WDのほか、得意とする4WDも用意する。

一方のVWゴルフは、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープ、渋滞時支援システムなどを用意するが、廉価仕様の「トレンドライン」はオプションになる。エマージェンシーブレーキシステムは全車標準。

インプレッサG4

インプレッサG4の美点は、トランクの広さで、トランクスルー機能も備わる。このクラスのセダンは市場が縮小しているが、G4に乗るとセダンならではの快適性や走りの良さを実感できる


また、新型になり大型化された現行インプレッサ。後席は広く、荷室容量はスポーツが385L、G4が460L、左右ドアミラー間の横幅、最小回転半径は先代と変わらない、としながらも全幅の拡大は狭い道路などではサイズアップを実感させられるシーンもある。なお、VWゴルフは380Lなので、ハッチバックであるインプレッサ スポーツとほぼ同等といえる容量になっている。

インプレッサG4

インプレッサG4のインパネ。デザインや質感などの面も先代から進化している


インプレッサ スポーツ、インプレッサG4の美点はほかにもある。静粛性の高さは国内外のCセグメントモデルの中でもトップクラスにあるのではと思わせてくれるほど静かだ。

とくに、セダンのG4は、リヤバルクヘッド(隔壁)が備わるため、大きな開口部をもつハッチバックのインプレッサ スポーツよりも一段と上質な印象で、ボディの剛性感の高さによるハンドリングの良さ、路面からの突き上げのいなし方もハッチバックよりも上に感じる。

価格も安いのに安全・快適装備も充実していて、広くて積めるとなると、インプレッサの圧勝のように思えるが、走りのフィーリングに関してはまだゴルフが一歩も二歩もリードしている。

フォルクスワーゲン・ゴルフの強みとは?

フォルクスワーゲン・ゴルフ

フォルクスワーゲン・ゴルフのボディサイズは、全長4265×全幅1800×全高1480mm


先述したように、静粛性に関してはインプレッサもかなり高いレベルにあるが、VWゴルフもかなり静かなので、この点はほぼ互角だろう。

差がつくのが乗り心地で、インプレッサも日本車の中では決して悪くないものの、あえてツッコミを入れると、街中では微振動、高速域ではボディが絶えず揺れているような挙動が気になる。

一方のゴルフは、マイナーチェンジで硬さの中にしなやかさが加わり、さらに上質さを増した。マイナーチェンジ前のゴルフ(TSIハイライン)は、「関節が硬い」乗り味だったがかなり洗練されている印象を受けた。

フォルクスワーゲン・ゴルフ

VWゴルフの価格は、249万~325万9000円(GTI、Rをのぞく)


VWゴルフ(TSIハイライン)の乗り心地やステアリングを切っていった時の上質さは、もはやCセグメントの領域を超え、上級のDセグメントと比較しても遜色ないところまで到達している。

さらに、パワートレーンのフィーリングもVWゴルフが一枚も二枚も上手。インプレッサの泣き所は、年々アップデートされているとはいえ、CVTのフィーリングにある。普通に街中を走り、高速道路を流しているのなら何ら不足はないが、トランスミッションを変速フィールに楽しさはない。

一方、デュアルクラッチトランスミッション(DSG)のゴルフも極低速域のマナーを年々改善させ、スムーズかつダイレクトな「つながり感」があって、ちょっと街中を走らせるだけでも楽しいし、スポーツ走行時にはドライバーの意のままの変速を容易に引き出せる。

フォルクスワーゲン・ゴルフ

ゴルフに搭載されるデュアルクラッチトランスミッションのDSGは年々完成度を高めている


ゴルフに積まれる140ps/250Nmの1.4L直列4気筒ターボは、「ダウンサイジングターボ」に対して懐疑的な見方が出ている今でも一線級といえるパワーフィールをもたらしてくれる。

インプレッサの2.0Lは、154ps/196Nmで最高出力は14ps上回るが、54Nmも最大トルクがゴルフ(1.4L)よりも下まわることもあってか、力強さや速さの濃密具合を感じさせるのはゴルフだ。

インプレッサG4

インプレッサの2.0Lエンジンも実用上は何ら不足はないが、加速フィールにドラマを求めるのは酷だろう


なお、ゴルフ(1.4L)のカタログ燃費は18.1km/L、インプレッサ(2.0L)は16.0~17.0km/L。ゴルフはハイオク指定、インプレッサはレギュラーガソリンにこだわっている。インプレッサもハイオクにすれば出力向上に寄与するかもしれないが、日本車としては理解を得るのは難しいだろう。

価格を考えると、インプレッサの健闘が光るものの、走り(とくにパワートレーン)の楽しさは、マイナーチェンジを受けたVWゴルフが圧勝している感がある。近づいたと思われた背中はまた少し遠のいてしまった。真の意味で世界トップレベルになるには、インプレッサの課題(ジレンマ)はパワートレーンだろう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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