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アイサイト・ツーリングアシストの実力はどうか?

SUBARUレヴォーグ、WRX S4に新たに採用された「アイサイト・ツーリングアシスト」。「アイサイト(Ver.3)」とどう違うのか気になる方も多いのではないだろうか。一般公道(高速道路)で実際に少し乗る機会があったので、ご報告したい。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

「アイサイト・ツーリングアシスト」とは?

スバル・アイサイト・ツーリングアシスト

アイサイト・ツーリングアシストは、アイサイトに含まれる機能。今夏マイナーチェンジを受けたレヴォーグ、WRX S4に搭載されている


スバル・レヴォーグ、WRX S4に搭載された「アイサイト・ツーリングアシスト」。現在は「アイサイトVer.3」が最新バージョンであり、「ツーリングアシスト」は、「Ver.3.5」でも「Ver.4」でもなく、「Ver.3」の延長線上にある新機能の追加と説明している。

具体的には、「アイサイト(Ver.3)」をコア技術として、新機能で運転支援系の「ツーリングアシスト」、そして視界拡張系「アイサイト・セイフティプラス(オプション)も追加した形になる。

「アイサイト(Ver.3)」と「ツーリングアシスト」は、フロントのステレオカメラが前方を検知するもの。

一方の「アイサイト・セイフティプラス」は、後側方警戒支援システムの「スバルリヤビークルディテクション」、フロントの専用単眼カメラが前方を検知し、ハイ/ロービームを自動で切り替える「ハイビームアシスト」、後方の映像をルームミラーに映し出す「スマートリヤビューミラー」、「フロント/サイドビューモニター」からなる。

Ver.3とツーリングアシストの違いは?

スバル・アイサイト・ツーリングアシスト

アイサイト・ツーリングアシストの目玉は、アダプティブクルーズコントロールの速度上限引き上げと、先行車追従を含むハンドル制御の高度化


では、本題である「アイサイトVer.3」と「アイサイト・ツーリングアシスト」の違い、進化のポイントとは何だろうか?

「アイサイトVer.3」には、アクセルとブレーキペダル操作を自動化し、車間距離を維持し(ACC/アダプティブクルーズコントロール)、さらに車線維持機能も盛り込まれている。

レヴォーグとWRX S4に採用された「アイサイト・ツーリングアシスト」は、「アイサイトVer.3」をさらに進化させたもの。

まず、ACCの速度上限を約100km/hから120km/h(メーター読み135km/h)まで引き上げ、新東名や東北自動車道で試験導入予定の高速道路の速度上限120km/h引き上げに対応。

ハンドル制御も進化した。「アイサイトVer.3」は車線中央維持、車線逸脱抑制の2本立てだったが、「アイサイト・ツーリングアシスト」では、区間線(車線)がしっかり見えている場合は、全車速域(0-120km/h/メーター読みでは0-135km/h)で作動。

渋滞時に区間線(車線)がクルマなどで隠れて見えにくい際でも40km/h以下ならハンドル制御が入る。そして、区間線(車線))が消えてしまっている道路や大型車などで隠れてしまう場合は、先行車に追従するステアリング制御が入るようになった。こうした際は、60km/h以下で作動する。

「ツーリングアシスト」は、ACCの作動上限の速度が引き上げられ、さらにハンドル制御もより厳しい条件下でも作動するようになったわけだ。

「アイサイト・ツーリングアシスト」のフィーリング

スバル・アイサイト・ツーリングアシスト

アイサイト・ツーリングアシストにより、渋滞時を含め高速道路でのロングドライブが格段に楽になるはず


では、実際のフィーリングはどうか? ACCやレーンキープなど自動運転の指標で示される「レベル2」は、すでに数多くリリースされているが、個人的にはメルセデス・ベンツの現行Eクラスが最も制御が頻繁に入り(介入度合いが大きい)、また制御も高い印象だった。

同じく「レベル2」である「アイサイト・ツーリングアシスト」もEクラスに遜色ない高い制御に感じた。高速道路での先行車への追従性、つまりACCの制御はスムーズで十分合格点を与えられる。

もう1つの要であるハンドル制御も期待以上で、速度やコーナーの曲率(R)によっては、ステアリング制御が解除される場合もあるが、法定速度を守って走っている分にはかなりの範囲でステアリング操作をアシストしてくれる印象だ。

なお、0-120km/h(メーター読み135km/h)の全車速追従機能付クルーズコントロール(ACC)と車線逸脱抑制は、ホームページなどでも書かれているが、「高速道路や自動車専用道での使用」が前提(建前)となっている。

アイサイト・ツーリングアシストの美点と課題

スバル・アイサイト・ツーリングアシスト

現在はレヴォーグとWRX S4だが、順次採用車種も拡大されるはず


とはいっても、街中で「アイサイト・ツーリングアシスト」をオンにする場合もあるだろう。その際は、先行車への追従性の高さが良くも悪くも運転に影響することが確認できた。

先行車が同じ車線を走っている場合は問題ないし、渋滞時や混雑時では間違いなく楽だが、先行車が車線変更をすると当然ながら自車も追従しようとする。

ドライバーがステアリングを戻せば、すぐに戻るが、注意力が散漫などの場合は、まっすぐ走りたいのにウインカーを出さずに曲がろうとするなど、当然ながら先行車についていくという動きをしてしまう。

この点については、高速道路や自動車専用道でも道路幅が狭い際も考慮して制御を入れて、同機能を自動的にオフにはしないとのこと。

日産の「プロパイロット」の場合は、道路幅だけでなく信号も検知し、制御に入れることで、「ここは一般道」だと車両側が検知して、「プロパイロット」の車線維持がオンにならないようになっている。

建前と本音の使い分けをどう考えるか難しいところだが、高速道路での高い制御、そして将来の自動運転も見据えると、「アイサイト・ツーリングアシスト」の制御も否定はできない。

ただし、「アイサイト・ツーリングアシスト」搭載車、つまり現時点ではレヴォーグかWRX S4のオーナーになったら正しい使い方を認識し、さらに作動域や緊急ブレーキの相対速度などもしっかり理解する必要があるだろう。「レベル2」の責任はあくまでドライバーにあるのだ。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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