寺・神社/東海・甲信越・北陸の寺・神社

ウィークエンドパスで行く長野県の神社仏閣(3ページ目)

長野県は、夏は避暑地、冬はスキーで人気のリゾート地ですが、実は、神社仏閣をはじめとする歴史的な文化財が多いエリアでもあります。今回は、JRのウィークエンドパスを使って、信州の鎌倉と呼ばれる別所温泉、善光寺の宿坊体験、安曇野と信濃大町の神社仏閣を訪ねました。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

安曇野の寺・神社を自転車でめぐる

大糸線の穂高駅周辺は、最近のわたしのお気に入りエリアです。穂高神社をはじめとするパワースポットもあるし、北アルプスを眺めながらレンタサイクルをかっ飛ばすのが、最高に気持ちがよいからです。素敵な高原のリゾートで、いい美術館やおしゃれなカフェなどもたくさんありますが、実は歴史が古く、昔の人の信仰の名残である道祖神もあちこちで見られます。
雨上がりの安曇野。美しい湧水が流れる水路が、あちこちで見られる

雨上がりの安曇野。美しい湧水が流れる水路が、あちこちで見られる

見所その1
碌山美術館

明治12年に安曇野に生まれた彫刻家の荻原守衛(碌山)の作品を展示するために、昭和33年に建てられた美術館です。森の中の教会のような建物で、今見ても、とてもおしゃれ。碌山さんの作品は、ロダンの彫刻に似た、リアルで力強いものです。
蔦がからまる古い教会のような碌山美術館

蔦がからまる古い教会のような碌山美術館

碌山美術館
住所:長野県安曇野市穂高5095-1
電話:0263-82-2094
開館時間:
9:00~17:10(3月~10月)
9:00~16:10 (11月~2月) ※入館は30分前まで
休館日:
無休(5月~10月)
月曜日と祝祭日の翌日。12月21日~12月31日(11月~4月)
料金:大人700円、高校生300円、小中学生150円

見所その2
大王わさび農場

安曇野には、北アルプスから流れ出す湧水の水路がいたるところにあります。それを利用して、わさびが作られており、こちらは、その大規模な農場です。一番の見所は、清流沿いにある水車小屋。黒澤明監督が「夢」という映画を撮るために作ったセットがそのまま残されたもので、今では、安曇野を象徴する風景のひとつとなりました。
大王わさび農場の水車小屋。映画の世界がそのまま残っています

大王わさび農場の水車小屋。映画の世界がそのまま残っています

農場の中には、神社もあります。大王神社といい、これが大王わさび農園という名前の由来です。大王とは安曇野で古くから信仰されている魏石鬼(ぎしき)八面大王のこと。全国統一を目指す大和朝廷が東北を侵略するにあたり、信濃の国を足がかりに 沢山の貢物や無理難題を押し付け、住民を苦しめていました。安曇野の里に住んでいた魏石鬼八面大王がそんな様子を見かねて立ち上がり、勇ましく戦いました。最後は山鳥の尾羽で作った矢にあたり倒れてしまいましたが、あまりにも強かったので、再び生き返ることのないように、大王の遺体は方々に分けて埋められました。その胴体が埋められていたとされる塚が農場の中にあったことから、大王農場と名づけられました。八面大王は安曇野の歴史上最大のヒーローなので、そのほかにも、ゆかりの地があちこちにあります。

大王わさび農場
大王わさび農園内の大王神社

大王わさび農園内の大王神社

住所:長野県安曇野市穂高1692
電話:0263-82-2118
営業時間:4~6月 8:30~17:20
7・8月 8:30~18:00
9・10月 8:30~17:30
11~2月 9:00~16:30
3月 9:00~17:20
定休日:無休
入園料:無料

見所その3
各所の道祖神

しっかりと手を握り合う、仲良しカップルの道祖神

しっかりと手を握り合う、仲良しカップルの道祖神

八面大王と並ぶ安曇野のスターは道祖神です。道祖神は、集落の境や村の中心、村内と村外の境界や道の辻、三叉路などに主に石碑や石像の形態で祀られる神で、しばしば男女一対となっています。村人たちが五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄を祈願するもっとも身近な神として信仰され、全国各地にありますが、信州には特に多く、とりわけ安曇野エリアでは、いたるところで発見できます。穂高駅前の観光案内所で道祖神マップをくれるので、サイクリングのついでに探してみてください。

 

見所その4
穂高神社

穂高駅の近くにある美しい神社で、毎年9月には、船をかたどった大きな山車を引き回す「御船祭り」が行われます。なぜ、こんな山奥の神社で船のお祭りなのか? それは、この神社の祭神である穂高見神(ほたかみのかみ)が、海神族の安曇氏という氏族の神様だからです。その安曇氏が住んでいたため安曇野という地名なのですが、もともと安曇氏は、北九州の志賀島周辺に栄えて海運を司り、朝鮮半島とも文化交流があった氏族でした。それが何らかの理由で住んでいた場所を離れ、流れ流れて、この山奥に住むようになったのだとか。安曇氏が栄えたのは、遠い遠い昔、飛鳥時代のお話で、それ以降、安曇氏がどうなったのかは、謎に包まれています。
穂高神社。近年、式年遷宮が行われたため、建物は真新しい

穂高神社。近年、式年遷宮が行われたため、建物は真新しい

穂高神社の奥の宮は、ここからかなり離れた上高地の明神池のほとりにあります。そしてさらに、標高3190mの奥穂高岳山頂に嶺宮があります。海で栄えた氏族が、そんな高い山の上に信仰の証を残すとは、実に不思議で、ロマンに満ちたお話です。

穂高神社
住所:長野県安曇野市穂高6079
電話:0263-82-2003   
拝観料:無料

最後のお蕎麦を駅前で

一休庵で、お帰り前に最後のお蕎麦を

一休庵で、お帰り前に最後のお蕎麦を

さて、もう夕刻です。東京に帰る前にもう一度お蕎麦を食べたい。しかし、安曇野にお蕎麦屋さんは多いものの、ほとんどが車でないと行けない場所だし、たいていは、午後3時くらい、もしくは、お蕎麦がなくなり次第閉店になってしまいます。でも、穂高駅の近くには、19時半までやっている一休庵さんもあるので、最後のお蕎麦を食べて行きましょう。

駅前の蕎麦屋さんなんて美味しくない、というイメージをお持ちの方も多いでしょうが、一休庵さんには、それは当てはまりません。名物は安曇野特産のわさびが効いたアルプスわさび蕎麦ですが、わたしは普段から大好物の鴨せいろをいただきました。まったりしたつゆが、なかなかの美味でした。

一休庵
住所:安曇野市穂高5957-4
電話:0263-82-8000
営業時間:11:00~19:30(12~3月は、19:00まで)
定休日:月曜日(祝日の場合翌日)
値段の目安:鴨せいろ1260円

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