米国では肥満体型の人は出世できないといわれています。確かに、エグゼクティブ層でぽっちゃり体型の人は少ないようです。米国のビジネス社会で肥満体型が問題視されるのは「自己管理能力の欠如」の表れと考えられているからでしょう。自己管理できない人が部下の指導や会社の経営をできるはずがないという論法です。半面、貫禄を感じさせる、大らかに見えるなどという捉え方もあるでしょう。しかし、ことED(勃起不全)との関係では分が悪く、運動不足と共にリスクを招く要因の1つに数えられています。

理想的な体重は、BMI22.0が目安

太っているかいないかを決める絶対的な基準はありません。見た目や体重計の数値だけでは判定しにくい面があるからです。そこで近年、肥満の目安としてよく使われているのがBMI(Body mass index)です。

BMIは肥満度を表す国際的な体格指数で「体重(kg)÷身長(m)の二乗」で求められます。日本肥満学会では、

・18.5未満=低体重
・18.5以上25.0未満=普通体重
・25.0以上30.0未満=肥満(1度)
・30.0以上35.0未満=肥満(2度)
・35.0以上40.0未満=肥満(3度)
・40.0以上=肥満(4度)

と定めており、BMIが22.0になるときの体重(=標準体重)が最も病気になりにくい状態であるとされています。

BMIの増加はEDの悪化を招く

最も好ましいBMIは22.0。25.0を超えると、生活習慣病のリスクが倍以上になることも

最も好ましいBMIは22.0。25.0を超えると、生活習慣病のリスクが倍以上になることも

40~74歳の男性約2万2千人の健康状態を1986年から継続的に調査している米国の研究によると、調査開始時に健康でEDも発症していなかった男性のうち17.7%が調査期間中にEDを発症していました。加齢と肥満が原因です。

例えば、スタート時にBMIが23.0以下であった群では、BMIが増えるにつれてEDのリスクが高まり、EDの悪化と見事に比例することがわかりました。このことからも、肥満がEDに深く関わっていることが分かります。

肥満が厄介なのは、単なる見栄えにとどまらず他の病気を招く温床となることです。統計的にはBMI25.0を超えると糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが倍以上になり、30.0を超えると積極的な減量治療が必要になるといわれています。

生活習慣病はいずれもEDと関係の深い要因ですから、肥満の解消はEDの改善や予防につながる可能性が高く、薬物を用いない療法として日本性機能学会も推奨しています。

運動すればEDリスクは有意に下がる

無理のない適度な運動には勃起機能や男性ホルモンの分泌を改善に導く作用がある

無理のない適度な運動には勃起機能や男性ホルモンの分泌を改善に導く作用がある

米国の研究は肥満の解消に役立つ運動量との関係で「週に2.5時間以上ランニングする群は、ほとんどしない群に比べてEDのリスクが30%低下する」という興味深いデータを明らかにしています。

米国の別の研究によると、肥満と運動不足に問題を抱える人に対して運動や食事に介入した結果、IIEF(国際勃起機能スコア)の判定で勃起機能の改善が認められました。

ただし、すべての運動が勃起機能を助ける方向で働くとは限りません。例えば、自転車乗車時間とEDの間には明らかに相関関係があります。サドルが血管と神経を圧迫するからです。このため、乗車姿勢と会陰部を保護する特殊サドルを採用すればリスクを下げることができるとされています。

また、肥満中年男性51人(糖尿病あり26人、糖尿病なし25人)を低カロリー食で8週間管理したところ、有意に体重が減少した結果、血糖値に関わるインスリン感受性、男性ホルモンのテストステロン値、IIEF値などが有意に改善したという報告もあります。

ED治療薬と運動で勃起機能が改善

テストステロンは「男らしさ」に関係するホルモンで、主に精巣内で作らますが、加齢に伴って減少します。そうでなくても肥満の男性はテストステロン値が低い傾向にあります。逆にいえば、体重を落とせばテストステロン値を上げることは可能です。

EDを改善するための予防手段はいろいろありますが、これまで見てきたように適度な運動を続けることによる肥満の解消は非薬物療法として最も有効な方法です。

シアリス、バイアグラ、レビトラなどのED治療を使えば、その効果はさらに確かなものなるはずです。実際、60人のED患者に対して、ED治療薬だけを使った群と、ED治療薬だけでなく週3回の運動を加えた群をIIEFで評価した結果、運動を加えた群のほうに改善が認められたそうです。

リオや東京の五輪でスポーツに対する関心が高まっている今、適度な運動は肥満解消とED予防の一石二鳥で役立つはずです。

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