「マスターベーションでは射精できるのに、肝心のセックスでは中折れしてしまうんです…」
そんな悩みを抱えてガイドのクリニックを訪ねてこられる患者さんは少なくありません。

マスターベーションができる、ということは「ちゃんと勃起する」ということです。それだけではED(勃起不全、勃起障害)とは判断できません。しかし、セックスの際に萎えてしまうとなると、EDを疑わざるを得ません。
実際、一人でするときは陰茎が硬くなるのに、パートナーとの性行為では中折れしてしまう症状をEDと呼ぶのかどうか、迷っている人は多いはずです。

今回はマスターベーションとEDの関係を考えてみましょう。


本番で生かせない“自主トレ”の実力

なんらかの理由で「自主トレ」の実力が生かせず「途中退場」になる羽目に

なんらかの理由で「自主トレ」の実力が生かせず「途中退場」になる羽目に

多くの男性は思春期のころにマスターベーションを経験します。それは、男の子が大人の男になるための通過儀礼のようなものです。男の子は、この密やかなひとり遊びを通して、勃起から快感を伴う射精に至るまでの一連の手順を体得します。

マスターベーションを覚え初めのころは、まだパートナーがいないのが普通なので、この行為はやがて迎えるパートナーとのセックスに向けた予行演習の意味合いが強いです。「ひとりエッチ」とはよく言ったものです。

マスターベーションは、いわば「一生モノ」なので、子供の有無に関わらず、既婚者や高齢者が気分転換などのために行うことはなんら異常でも、珍しいことでもありません。

パートナーとのセックスを試合の本番とすれば、マスターベーションは大事な試合に備えた自主トレに例えることもできるでしょう。

ところが、ある日ある時、なんらかの理由で、自主トレの実力が生かせないまま「途中退場」を余儀なくされることがあります。


満足な性交ができるかどうかがカギに

一人でなら勃起から射精に至る行為が問題なくできるのに、パートナーとのセックスでは心ならずも中折れしてしまう。これをEDと呼ぶのかどうか…。

その手がかりの1つは、国際的なEDの定義です。それによると、EDとは「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が維持できないために満足な性交が行えない状態」と定められています。
つまり、中折れのように、勃起が十分でないために満足な性交渉を行うことができない場合は、EDであると考えられます。

大切なことなので念を押せば、EDであるかどうかは単に勃起できるかできないか、ではなく「満足な性交渉をするための」という条件を満たしているか否か、が判断の拠り所になります。

いくら射精ができるだけの勃起力があったとしても、それがマスターベーションによるものであれば不十分。パートナーとのセックスで射精にまでこぎつけることができるかどうかがカギになります。


誤った方法が引き金になることも

過激な方法に慣れると、本来の柔らかな刺激では飽き足らなくなる場合も

過激な方法に慣れると、本来の柔らかな刺激では飽き足らなくなる場合も

EDは必ずしも勃起の有無が決め手になるのではなく、パートナーとの性交渉が満足にできるかどうかであることがおわかりいただけたと思います。

その上で、近年問題になっているのは、誤ったマスターベーションによる「男性膣不感症」の増加です。医学的には「膣内射精障害」というのですが「男性膣不感症」のほうが、実態に近いと思います。

その原因は、陰茎を強く握り締め過ぎたり、畳にこすりつけたりする過激な方法に慣れてしまう結果、膣ならではの柔らかな刺激では飽き足らなくなってしまうことにあります。

マスターベーションでは陰茎を握る強さや動かす速さを自分好みにできますが、パートナーとの共同作業となるセックスでは、思い通りにできません。そのことがストレスになって中折れしたり、遅漏気味となったりすることもあります。


精神的な原因の場合は治療薬が有効 

EDの原因は一般的に、ストレスなどの精神的・心理的な理由によるもの(心因性)と、糖尿病や高血圧症、喫煙などの、好ましくない生活習慣から起こるもの(器質性)とに大別されます。

このうち、精神的・心理的な理由によるものの場合は、シアリス、バイアグラ、レビトラなどのED治療薬に特に高い改善効果が認められています。

仕事上の行き詰まりや人間関係などの悩み、家庭内のトラブルなど、さまざまなストレスから引き起こされる中折れを未然に防ぐことができます。

誤ったマスターベーションが原因であることが分かっている場合には、過激な方法を改めることが早道です。

ED治療薬は器質性のEDにもそれなりに効果的ですので、諦めず試してみることをお勧めします。

>>自慰はEDを助長するってホント?
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