最近夜中にトイレに行くことが多くなった。夜中のトイレの回数が以前よりも増えた…。

思い当たるふしがあれば要注意。ED(勃起不全、勃起障害)が忍び寄っている兆しかもしれません。

夜中に1回以上トイレに起きる日本人男性は50歳以上で過半数、70歳以上では大半という統計があります。70歳以上では3割の人が、トイレのために3回以上目を覚ましているという調査結果もあります。

夜中のトイレが増えるとなぜ、EDの疑いがあるのでしょうか。それは、どちらにも男性ホルモンが影響を及ぼしているからです。そこで今回は、男性ホルモンとEDとの関係について考えてみましょう。

加齢やストレスで減少する男性ホルモン 

不安やいらいら、疲労感などは加齢やストレスによる男性ホルモンの減少が引き金に

不安やいらいら、疲労感などは加齢やストレスによる男性ホルモンの減少が引き金に

男性ホルモンは一般に「男らしさやたくましさをつくる源」と考えられています。最もよく知られているのはテストステロンという種類の物質です。

テストステロンは男性ホルモンという名前の通り、筋肉の増強や精神活動の活性化に強く働きかけます。また、酸化ストレスの抑制、一酸化窒素(NO)の供給などにも作用します。

男性ホルモンは一般的に、加齢やストレスなどで減少します。減少すれば、前述の働きが裏目に出るので、筋力は弱まり、不安やいらいら、疲労感が続き、集中力や記憶力が低下します。

そして、NOの供給量が減る結果、EDになりやすくなります。NOは血管の健康を保つのに不可欠です。EDは陰茎周りの血管の病気なので、NOが供給されにくくなると、病状の進行を早める恐れがあると考えられています。

勃起の始まりと維持に欠かせないNO

では、なぜNOが減るとEDになるリスクが高まるのでしょうか。

テストステロンの値が一定の状態にある健康な男性の場合、NOは性的な刺激を受けることで神経から出てきます。これを神経性のNOと呼びます。

NOは筋肉や血管に作用して「サイクリックGMP」という物質を作ります。この物質の働きで広がった血管に血液が流れ込みます。こうして勃起が起こります。一方、血管の内側の内皮細胞からも内皮性NOが大量に出てきて、性交の持続を助けます。

このように、NOは複雑なメカニズムで起こる勃起の始まりとそれを保つ場面で重要な役割を果たします。このため、NOが減少すると、勃起しにくくなると考えられているのです。

夜中のトイレの回数はNO不足の警告?

強い酸化ストレスで男性ホルモンが十分にNOを供給できなくなると頻尿を招くことも

強い酸化ストレスで男性ホルモンが十分にNOを供給できなくなると頻尿を招くことも

男性ホルモンの減少が引き起こすNO供給量の低下が招くリスクは、EDばかりではありません。その代表が深刻な頻尿です。寝る前に水分を取り過ぎれば健康な人でも夜中にトイレに起きることはあります。

しかし、男性ホルモンの低下がもたらす症状はメカニズムが違います。例えば、NOが少なくなると膀胱が硬くなり、尿をたくさん貯められなくなるため、頻尿症状を招きます。強い酸化ストレスでNOが減ることで頻尿になる場合もあります。夜中のトイレが増えるのはNO不足の警告ともいえるのです。

このように、一見関係がなさそうな頻尿とEDとには(男性ホルモンの低下による)NO不足という共通原因があるのです。

NOの減少はさまざまな生活習慣病やうつ病、記憶力の低下などを引き起こす可能性があります。これらの多くは血管の老化によるものです。ですから、NOを増やして血管を健康に保つことは、全身の健康を維持する上でも大切であるといえるのです。

勃起改善以外にも役立つED治療薬の可能性 

EDを招くのはNO不足だけではありません。勃起の維持に欠かせないサイクリックGMPを分解する、PDE5という酵素の存在です。この酵素の働きを阻むのがシアリス、バイアグラ、レビトラなどのED治療薬です。

最近の研究では、ED治療薬は勃起機能を改善するだけでなく、血管の新陳代謝を高める働きのあることが分かってきました。その効果として、血管細胞がNOを出す機能も高まることが知られています。NOが増えればサイクリックGMPも多く生まれるので好都合です。

ED治療薬を定期的に服用すると、活性酸素によるサビを減らす一方、テストステロン値を上げることも分かってきました。勃起は性行為のためだけでなく、全身的な健康を確かめるバロメーターの役割を果たしているともいえるでしょう。


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