「今はただ、小便だけの、道具かな」
性生活の「現役」を退いた陰茎の悲哀を詠んだ一句です。個人差があるので一概には言えませんが、40歳を過ぎたころから性生活の衰えを感じる人が多くなります。

若いころに比べて性交回数が減ってきた、勃起の持続時間が短くなってきた、勃起の勢いがなくなってきたなど、忍び寄るED(勃起不全、勃起障害)の訪れを予感させる機会が増えてきます。

加齢は確かにEDの危険因子のひとつですが、誰もがEDになるわけではありません。実際、元気に「現役」を務めている高齢者もいます。
では、股間を若々しく保つためにはどんなことを心がければよいのでしょうか。


陰茎は加齢で短くなる?

平常時の陰茎の長さは年を重ねると短くなるというデータも

平常時の陰茎の長さは年を重ねると短くなるというデータも

東邦大学の白井將文名誉教授の調べによると、20~70代の成人男性100人を対象に計測した平常時の陰茎の長さは、

20代=8.68cm
30代=8.39cm
40代=8.22cm
50代=8.30cm
60代=7.76cm
70代=7.61cm

でした。あくまでも平均値ですが、70代は20代に比べて1.07cmも短くなっているということが明らかになったのです。

加齢は、陰茎の長さばかりでなく、勃起時の硬さや角度にも影響します。その原因は動脈硬化です。動脈硬化が陰茎動脈に起きると、海綿体に十分な血液が流れ込まないので、硬さも傾きも不十分になるのです。

硬さや傾きの変化で分かる勃起力の変化は、男性にしか実感できない加齢現象です。それを裏付けるように、加齢とともにEDにかかる率が高まることを指摘している、わが国の調査結果もあります。


EDは陰茎の動脈硬化が引き金に

加齢によるEDの原因には、生理的なものばかりでなく、加齢に伴って増えるさまざまな危険因子があります。

その代表的なものが高血圧、糖尿病、脂質異常症などです。これらはすべて、血管内皮から分泌される一酸化窒素(NO)が減り、動脈が硬化することによって起こります。

NOの減少で起こる動脈硬化が心臓周りで起これば心筋梗塞を引き起こし、脳で起これば脳梗塞を招きます。陰茎の動脈は心臓や脳の周りの動脈に比べてはるかに細いので、動脈硬化の影響が真っ先に現れます。それがEDです。

つまり、EDは陰茎の動脈硬化がもたらす生活習慣病であるともいえます。逆に、EDの症状はその後に起こるかもしれない重大な梗塞を知らせるばかりでなく、NOの状態や血管の健康度を示す手がかりとなります。


抗加齢の早道はNOを増やすこと

男性のアンチエイジングの要点は血管を健康に保つこと

男性のアンチエイジングの要点は血管を健康に保つこと

こうしてみると、さまざまな生活習慣病として現れる不調の多くは血管の老化で起きていることが分かります。ですから、動脈硬化を招かないようにするためには、NOを増やせばよいわけです。

NOが増えれば、血管の機能が高まります。血管が健康を取り戻せば、動脈硬化に起因するさまざまな病気の改善を促します。

当然、血管の状態を改善すれば、EDも改善されるはずです。そのように考えると、男性にとってのアンチエイジングの要点は血管を健康に保つことに尽きるようです。

健康な血管づくりと並んで、健全な勃起に関わっているのは副交感神経です。この神経はくつろいだ状態のときに活発になります。一方の交感神経が活発になったときの緊張状態が「ストレス」です。

ストレスをためないようにするには、スポーツや温泉、エクササイズなどで積極的に緊張状態をほぐすことが大切です。


ED治療薬にはNOを増やすはたらきも

NOは血管の機能を高めるのに役立つばかりでなく、筋肉や血管に働きかけて「サイクリックGMP」という物質をつくります。勃起は、この物質が血管を緩め、多くの血液が流れ込むことで起こります。

シアリス、バイアグラ、レビトラなどのED治療薬は、サイクリックGMPのはたらきを高めて正常な勃起を助けます。そればかりでなく、近年の研究ではNOそのものを増やすはたらきのあることも分かってきました。

股間の若々しさを保つためには、規則正しい毎日を送り、生活習慣病にならないように努めることが大切です。併せて、適度な運動などをして余計なストレスをため込まず、血管の健康に気をつけることが肝心です。

これらはばらばらではなく、それぞれが密接に関わっています。「生涯現役」をめざして生活習慣を改めてみませんか。


>>事件は股間で起きている!?
>>考えておきたい「高齢者の性」
>>もう「高齢」のせいにはしない!

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。