「自慰のし過ぎで勉強が手に着かず、困っています」「自慰をし過ぎると頭が悪くなるという噂は本当でしょうか」――。思春期の男子を対象とする雑誌には、昔も今も“当人にとっては深刻で夜も眠れないような”相談が上位を占めています。

同じ快感を得る手段でありながら、自慰と性交とで“満足度”の違いを指摘する人がいます。また、自慰では勃起できるのに、性交時には勃起しにくいという人も少なくありません。果たして、ED(勃起障害・勃起不全)には自慰の回数や方法が関係しているのでしょうか。

自慰行為そのものに害はありません

自慰
自慰は思春期男子の仮想体験学習?
自慰とは読んで字のごとく、性的興奮を得るために自らを慰める行為ですから、そのこと自体は無害ですし、EDとの直接的な因果関係は認められません。また、裏づけとなる科学的データもありません。

たいていの男子は小学校高学年から高校生の時期にかけて自慰を覚え、その行為によって得られる快感を記憶にとどめます。そして、必要とあればいつでも取り出して弄(もてあそ)べるおもちゃのような、密やかなる楽しみの1つに加えます。

自慰を覚えた思春期男子の多くは、やがて経験するであろう異性との本格的な性交で得られる快感を一足先に“仮想体験学習”していることになります。

とはいえ、自慰は特定のパートナーを持たない独身者や少年たちだけの特権ではありません。既婚者も高齢者も必要に応じていそしみます。自分自身が相手なので、パートナーに無用の迷惑をかけることもありません。

“勝手の違い”が招く遅漏や中折れ

前項で触れたように、男性は一般的に思春期で自慰に目覚め、その数年後に異性との性交を経験します。

多くの場合、自慰には手や指を使うので陰茎を握る圧力や動かす速さを自分の好みに加減できます。しかし、ある意味で共同作業となるパートナーとの性交は自分本位のペースでは進められません。

このため、1人の世界で没頭できる自慰の感覚に慣れてしまうあまり、勝手の違う実際の性行為では遅漏気味となり、中折れしてしまうケースもあります。

ガイドのクリニックでED治療薬を処方した患者さんの中には「結婚して10年間、性交では1回も射精したことがない」というケースもあります。長年の自慰により、手で射精することに慣れすぎて、他のものでは達することができなくなってしまったのです。こういう症状を私は「ぐうたらED」とか「殿様型ED」と呼んでいます。