運動と健康

アスリートの疲労回復方法…アクティブレスト、エネルギー補給など

【アスレティックトレーナーが解説】アスリートたちは、世界の舞台で活躍すべくストイックにトレーニングに励んでいます。運動後の体の疲労は、アスリートも私たちも同じ。アスリートがよく実践している運動後の疲労回復方法をご紹介します。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

 アスリートはどんな疲労回復方法を取り入れているか

アスリートの疲労回復方法…アクティブレスト、エネルギー補給など

プールでの泳ぎをアクティブレストとして取り入れる

運動を行う前にはウォームアップを行って体を温め、運動後にはクールダウンを行って疲労回復に努めることが大切です。クールダウンとは体を冷やすことではなく、メインの運動で体内にたまった疲労物質をより早く分解・代謝させるために行うさまざまな体のケアのことを指します。運動を終えると、つい座ってゆっくり休憩したり、疲れてそのまま寝てしまったりすることがあると思いますが、運動後に適切なクールダウンを行わないままでいると、翌日以降にも疲労が残ってしまうことになります。アスリートたちは練習や試合が終わった後、時間をとってクールダウンを行います。その内容としては軽いジョギングやウォーキングであったり、体を冷やさないようにしながらストレッチを行ったりすることが多く、時にはプールに入って軽く泳ぎながらリラックス効果を高めるといったことも行います。

運動後にさらに運動するとさらに疲れがたまってしまうのでは?と思われがちですが、メインの運動強度よりも軽い負荷で行うことで血流が良くなり、強度の高い運動でたまった疲労物質をより早く分解・代謝させることにつながります。
 

運動後にはエネルギー源となる糖質補給で疲労回復!

ペットボトルを持つ女性

運動中や運動後の糖質補給は積極的に行おう

体を動かすにはエネルギー源となる栄養を食事や補食などからしっかり摂ることが大切です。特に激しい運動を行った後は体内のエネルギー源はかなり減っている状態ですので、これを補う意味でも糖質を含む食べ物・飲み物をとるように心がけましょう。運動中は発汗による脱水や熱中症などを予防するために水分・ミネラル分補給を行う必要がありますが、この段階でも糖質を含むものをとるようにすると、運動中にエネルギー不足におちいって思うように体が動かせなくなる、スタミナがなくなる、といったことを防ぐことにもつながります。糖分の入ったスポーツドリンクなどはスポーツシーンに適していますが、頻繁に飲みすぎると急性糖尿病(ペットボトル症候群)を引き起こすことがあるので注意が必要です。少し水で薄めて飲むようにしたり、麦茶などと併用したりして飲むようにすると良いでしょう。

市販の飲み物の多くに使用されている糖質は、補給すると急激に血糖値を上昇させますが、血糖値の急激な上昇・下降をたびたび繰り返していると、インシュリンを分泌するすい臓の負担が大きくなったり、血管を傷つけたりして体に大きなダメージを与えることが懸念されています。糖質の中でも果物に含まれる果糖は血糖値の上昇がゆるやかであり、体への負担が少ないと言われています。ただしこちらの糖質も大量にとるとお腹がゆるくなることがあります。
 

疲労回復に役立つ冷水シャワーを使った交代浴

自宅のバスルーム

自宅でもできるシャワーを使った交代浴

入浴は日常生活の一部だと思いますが、アスリートたちは運動後の疲労をなるべく早く回復させるために、さまざまな工夫を取り入れています。特に温かいお湯と冷たい水を使った交代浴は手軽に出来る疲労回復方法としても注目されています。温度差のあるお湯と水によって毛細血管が拡張・収縮を繰り返し、ポンプ作用のように血液を送り出して全身の血行改善・疲労回復が期待できるといわれています。温度差は30℃程度を目安とし、季節にあわせて温度を調節しながら行うようにするとよいでしょう。自宅で行う時は水風呂のところを水シャワーにして行うようにすると実践しやすいと思います。体調に不安のない人が初めて行う場合を想定し、実践例を挙げてみます。
  • コップ1杯程度の水分補給を行う
  • (温浴)40~42度程度のお湯に3~5分ほどつかる(半身浴でもOK)
  • (冷浴)10~15度程度の冷水を10~30秒ほど浴びる
  • これを繰り返し3~5回程度行う
  • 交代浴の最後は水で終わるようにする
冷水シャワーはいきなり全身に浴びるのではなく、手先や足先など体の末端から少しずつ水をかけるようにすると負担も少なく、実践しやすいでしょう。水の冷たさになれない場合は手や足のみの部分浴でも構いません。最後に水で体を冷やすようにすると皮膚の表面温度が低くなり毛穴が閉じて汗を抑えるほか、温浴で温まった体熱が体内に長くとどまるため、湯冷めしにくく保温効果が高いといわれています。体調にあわせて数回程度行い、入浴後はしばらく安静にして過ごすようにしましょう。

アスリートが積極的に取り入れている疲労回復方法は、私たちにも取り組みやすいものばかりですので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

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