業界も生活者も……生かされた東日本大震災での経験
日本のどこでも起きうる大地震。今こそ備えを進めておきたい
Iさん 私自身は、地震保険の補償内容を、理解されている方の割合がやや増えているように感じました。やはり、損害確認時に商品内容を一から説明することが多いので、決してその割合は多くはないのですが、「3区分で支払われるんですよね」などと耳にすることもありましたよ。
清水 東日本大震災後にしっかり考えて地震保険に加入した熊本の方もいらしたのでしょうね。
Iさん お客様のお宅に損害確認で訪問すると、お客様側から地震保険の内容についてのお話しが出るケースがあり、東日本大震災当時よりも地震保険に関心を持たれている方が増えているように感じました。東日本大震災は、他の地域のお客様にとって、地震災害について考えるきっかけとなっているのかもしれません。
清水 だとすると、地震保険を理解してくださるお客様が増えれば、損害調査もさらにスムーズにいくのかもしれませんね。知恵と経験を共有しあうことは、生活者としてとても大切なことですね。
Iさん お客様だけではありません。東日本大震災は、弊社としても、初めて臨んだ巨大地震被害でした。ですから損害確認を進めるにもノウハウに乏しく、本当に手探りの中、あれだけ大きな規模の広域災害に対応しなければならなかったことで、私たち業界が学んだこともとても大きかったのです。被災地の悲惨な現場、お客様の気持ち、反応、現場への対応……。つらいこともあったこれらの経験は、かなり熊本で生かせたと考えています。
清水 地震はいつ、どこで、どの規模で起こるかわからないですし、地震によって起きる被害なども異なるので、地震保険の損害調査に関してのノウハウの蓄積というのは、他の保険と比べてそもそも難しいでしょうし、地震保険は「ノーロス・ノープロフィット」。保険会社としても費やせるリソースに限界があるでしょうから、前回の経験の蓄積ができ、それを生かせたのだとすれば、それは本当に素晴らしいことだと思います。
Iさん 熊本地震においても、東日本大震災とは異なるお客様の状況についていろいろな理解ができたと思います。その分、今後に生かせる、お客様にさらに役立つような蓄積ができたことは確かだと思いますね。
次回は、損害調査のときにほぼすべてのお客様から聞かれた質問、損害保険調査担当だからこそ感じた地震保険の必要性、被災分譲マンションで生じた問題などについてお伺いします。
(その2に続く)
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