社会保険加入の損得勘定は?
収入要件に囚われない働き方をしよう!
「給料、年金、副業、自営業の所得税、住民税、社会保険料、手取簡易計算ツール」(http://kaikei7.com/blog-entry-2.html)により試算
社会保険適用後は、適用前に比べ、手取りが約14.8万円と大きく減少します。税扶養の範囲内の年収103万円の時の手取りは、1,018,426円(雇用保険、住民税控除)なので、これならパート収入を103万円未満に抑えた方が良いと考える人も多いのではないかと思います。
■手取りが減っても年金は増える?
社会保険の適用範囲拡大によって、手取りが減るというデメリットだけではありません。厚生年金に加入することによって、年金額が増えるというメリットがあります。
Aさんのケースでは、40歳から60歳まで20年間、年収120万円で働き、厚生年金保険料を納めた場合の20年間の厚生年金保険料の合計は、約210万円(10.5万円×20年)です(料率改定により実際は、さらに多くなる)。
一方、20年間厚生年金保険料を支払ったことに対する厚生年金(基礎年金部分を除く)は、年額約12.9万円です。65歳から90歳まで25年間、受給すると仮定すると総額322.5万円になります。20年分の厚生年金保険料210万円と比較すると、十分、もとが取れる計算になります。
厚生年金保険料と健康・介護保険料の20年間分346万円(17.3万円×20年)と比較すると、収支は逆転しますが、社会保険料を支払うことによって、住民税・所得税が少なくなり、20年間の手取り減少分296万円(14.8万円×20年)と比較すれば、なんとかプラスになる計算です。
厚生年金に加入することによって、65歳からの年金以外に、障害厚生年金や遺族厚生年金、健康保険に加入することによって傷病手当金が受給できるようになるなど、保障が手厚くなります。今使えるお金だけではなく、将来のお金やリスクに対する保障という視点で考えると、社会保険の適用拡大は、家計にプラスになると考えることができます。
世帯全体でどのように収入を得ていくかを考える
■企業・公務員の配偶者手当廃止の動きも今回の社保適用(「130万円の壁」)と同じように、夫(配偶者)の勤務先の家族手当の支給基準(103万円が多い)が、妻(配偶者)のパート年収を抑制していると言われています。すでにトヨタ自動車が家族手当の見直しを行ったことを受け、公務員の家族手当の見直しも検討されるなど、この動きは拡大しています。また、税金を計算する際の配偶者控除(「103万円の壁」)も夫婦控除への変更が検討され、平成29年以降の税制改正でどのように取り扱われるか注目されています。
■制約条件が外れて、どのくらい稼ぐかを考える良い機会に
これらの制度改正は、しばしば損得勘定で議論されることが多いのですが、家族手当の廃止や社保適用基準の引き下げは、収入条件に囚われるのではなく、純粋に妻(配偶者)が自分のこれまでのキャリアを生かして、どのくらい働いて、いくら手にするかを考える良い機会になるのではないかと個人的には思います。もちろん、保育所や学童などの施設の整備や勤務する会社での働きやすい環境の整備が必要であることは言うまでもありません。
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