ストレス

「メタ認知」の力を高めれば、ストレスに強くなる!(2ページ目)

いつも目の前のストレスに振り回されている人は、「メタ認知」の力をうまく活用できていないのかもしれません。メタ認知の機能を高め、ストレスに上手に対処していくための2つの実践法をご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

メタ認知のトレーニングに必要なこと 1. 「モニタリング」

メタ認知について考える女性

「私は今、なぜイライラしているのかしら」―こうして自分を振り返られるのは「メタ認知」の力

このような自分に気づいたときには、ぜひメタ認知を上手に活用できるように心がけてみましょう。メタ認知の機能を高めるのに必要な行動は、主に2つあります。一つは「モニタリング」――つまり、自分の考えや感じ方をチェックし、評価することです。

たとえば、他人に対して苛立ちを感じたとき、その苛立ちに任せて感情を発散させるのではなく、「自分は何に反応して苛立っているのだろう?」とモニタリングするクセをつけてみましょう。すると、自分が苛立ちを感じるときのパターンを理解することができます。

苛立ちのパターンは、それこそ十人十色です。たとえば、ある人は特定の“声”や“話し方”に、いつも苛立ちを掻き立てられているのかもしれません。このように、モニタリングを通じて「自分が何を不快に感じるのか」が分かると、「苛立ちの対象は相手の行動のすべてではないこと」を理解でき、対人関係におけるかなりの不快感を軽減できます。

メタ認知のトレーニングに必要なこと 2. 「コントロール」

メタ認知の機能を高めるために必要なもう一つの行動――それは、「コントロール」。メタ認知でモニタリングした結果に基づき、対処行動の目標や計画を設定することです。

前述の例では、「特定の声や話し方に苛立つ」というモニタリングの結果に基づいて、それらに対する対処の方略を設定することが、コントロールにあたります。その方略もまた、十人十色。「“声”や“話し方”ではなく、“相手が話していること”に注目する」という対処を選ぶ人もいれば、「その“声”の持ち主、その“話し方”をする人との接触を減らす」ことを必要に感じる人もいるでしょう。

こうした方略を試しながら再びモニタリングし、その方略を修正したり別の方略を試みたりしてコントロールする――このようにモニタリングとコントロールの実践を繰り返していくと、メタ認知の機能を高めていくことができます。

メタ認知を積極的に活用すると、目の前に生じる不快な出来事にいちいち振り回されず、認知の力で自分の行動を制御することができるようになります。すると、自分に自信をもつことができ、常に前向きな気持ちで行動できるようになるでしょう。ぜひ、自分に備わっている「メタ認知」を育て、存分に活用してみてください。
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