海外で据え置きハード市場を取り合うPS4とXbox One

据え置きハードの図

海外では、まだまだ据え置きハードが元気です

世界最大のゲームの祭典「Electronic Entertainment Expo 2016(以下E3)」が、ロサンゼルスにて、現地時間の2016年6月14日から16日に開催されました。大きな見どころの1つだったのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)のPlayStation 4(以下PS4)とマイクロソフト(以下MS)のXbox Oneの発表でしょう。両社はE3に際して、大規模なカンファレンスを開催しています。

日本ではスマートフォンがメインのゲーム市場となり、コンシューマーゲーム、とりわけ据え置きハードは不調ですから、ピンと来ない人もいるかもしれませんが、海外ではまだまだコンシューマーハードは元気ですし、主流はむしろ据え置きハードです。

その中でもPS4は絶好調でグングン普及台数を伸ばして、2016年5月22日時点で、累計販売台数4,000万台突破を発表、歴代PlayStation史上でも最速のスピードで普及を続けています。その半分ほどの普及台数でXbox Oneが追いかけていて、さらに遅れてWii Uという形になっています。

というわけで、SIEとMSの発表に大きな注目が集まったE3ですが、その内容は、ゲームプラットフォームのこれからを考える手掛かりになる、とても興味深いものとなりました。

ゲーム、ゲーム、ゲームのPS4

PS4の図

大人気のPS4。PSVR対応タイトルも含め、多くの新作タイトルの紹介に終始しました

SIEの発表は、ある意味でとても思い切ったものでした。とにかく、次から次に、ゲーム、ゲーム、ゲーム、ゲームの嵐です。新しいオンラインサービスとか、映画や音楽がどうとか、一切ありません。著名なゲームクリエイターの応援登壇さえ控えめで、時間を惜しむように次から次へとゲーム画面を見せ続け、ゲーム体験の素晴らしさをアピールしました。

PS4には、開発コード「Neo」と呼ばれる新型PS4のうわさがあり、一時期はE3での発表もささやかれましたが、SIEは、PS4 Neoの存在を認めながらも、E3での発表を否定しました。そして実際、新型機の話も全くせずに、タイトルの紹介に集中していました。

唯一ゲームタイトル以外の大きな話題というと、PS4用バーチャルリアリティシステムのPS VRがありますが、これも、PS VRで遊べるゲームをたっぷり紹介ということで、結局のところ、PS4で遊べるゲームの話に終始していました。

このSIEのすがすがしいまでの姿勢は、ゲームの魅力でPS4の販売を伸ばしていくという確固たる意志を感じます。一方MSは、SIEとはちょっと違う方向の提案をしていました。

Xbox Oneは選択肢の1つでしかないMS

Xbox Oneの図

もちろん、新作ソフトの発表もありましたが、サービスやハードの紹介もあったXbox One

ゲームタイトルのみに集中したSIEとは対照的に、MSはなんと新ハードを2つも発表しました。改良を加え小さくなった「Xbox One S」と、Xbox Oneと互換を持ちつつ、より高性能になる「Project Scorpio」。しかし、今回ピックアップしたいのは、この2つのハードではありません。

MSの発表で注目したいのは「Xbox Play Anywhere」という、新しいサービスです。これは、対応タイトルをダウンロード購入すると、Xbox One版でも、PC版(WIndows10版)でも、ゲームをダウンロードして遊べるようになる、というサービスです。

しかも、実績やセーブデータなども共有されるということで、本当にどちらでもプレイできる環境を用意しようとしています。さらには「Play cross-platform」という、Xbox OneとWindows10のユーザーが一緒に遊べるマルチプレイサービスも発表しています。

新ハードを2つも発表したとだけ聞くと、ハードをとにかく売ろうとしているように思えるかもしれませんが、同時に「Play cross-platform」を提案するとなると、話はちょっと変わってきます。MSは、Xbox Oneでも、PCでも、ハードはなんでもよくて、とにかく自分たちのプラットフォームでゲームをする際の選択肢を増やそうとしているように感じられます。

小さくなったXbox One Sでもいいし、4Kのゲームに対応した高性能型も予定しているし、PCでも同じゲーム体験を共有できますよ、そういうプレゼンテーションでした。

ハードにこだわるSIEと、プラットフォームという概念を広げるMS

PS4vsXbox One&PCの図

ゲーム専用機としての魅力を打ち出すSIEと、プラットフォームの枠組み自体を変化させて勝負をしようといしているMS

とても面白いことに、新ハードの発表を見送ったSIE陣営は、実はハードの販売をとても意識したプレゼンテーションを行っていました。彼らはハードのことよりも、ゲームタイトルや、ゲーム体験に集中して話をしていましたが、それらは全てPS4の普及拡大へと繋がっています。実際、この発表を見て、PS4の勢いを感じたユーザーは少なくないと思います。

一方、新ハードを2つも発表したMSは逆に、Xbox Oneというハードにこだわってはいませんでした。Xbox Play Anywhereは、Xbox OneユーザーがPCへ移行することを容易にしますし、一方で「Project Scorpio」が発売された時にも、PCユーザーが移動しやすくなります。ゲームユーザーがハードを自由に乗り換えをしやすくしつつ、物理的なハードウェアを超えた大きなプラットフォームでの囲い込みをしていく作戦です。

ハードウェアのSIEとソフトウェアのMSという見方もできますし、圧倒的勢いで普及が進むPS4と、大きく後れをとったXbox Oneで、次の一手が大きく違ったというようにも取れます。

前を走るSIEと追うMS

ゲームを遊ぶユーザーの図

SIEとMSの違いが、ゲーム業界にどんな影響を及ぼしていくのか、興味深い発表となりました(イラスト 橋本モチチ)

少し補足しておきますと、これは、SIEはあくまで物理的なハードウェアこだわり続ける、という話ではありません。SIEはPS Nowというストリーミングゲームサービスを展開しており、これは将来的に物理的なプラットフォームの壁を越えて、色んなハードで同じゲームができるようになる、というものです。

しかし、今回のE3ではPS Nowに関する発表はなく、PS4のタイトル充実アピールに注力していました。もしかしたら、今後、ストリーミングゲームなどの技術革新によって、プラットフォームの垣根がなくなっていくというストーリーをSIEが提案するタイミングもあるかもしれませんが、少なくとも2016年はPS4の販売に力を入れていく、という判断だと思われます。

今回発表を見送った新型のPS4 Neoについて、SIEの代表取締役社長アンドリュー・ハウス氏は、PS4をよりパワーアップさせたバージョンを用意することについて、より高画質で滑らかな映像を求めるハイエンドユーザーが、PCに移行するのを防ぐ意味があることを、インタビューで答えています。今普及しているPS4のプラットフォームをより盤石にするための、バージョンアップ版というわけです。

一方で、MSは多彩にハードを用意しつつも、Windowsというプラットフォームを既に持っていますので、これを活用して、専用ゲームハードのシェア争いという土俵を崩して、より広い枠組みでユーザーを囲い込む形に舵を切ってきました。

横綱相撲のSIEと、プラットフォームの枠組みから変えていきたいMS、E3で露わになった2社の戦略は、ゲーム業界の構図や未来を示唆する、とても興味深いものとなっているように思います。

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【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)




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