銀座の中心地にパリのティエリー・マルクスによる料理とパンを楽しめるビストロ&カフェが2016年秋OPEN
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ティエリー・マルクス
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銀座四丁目交差点を臨む
ティエリー・マルクス独占インタビュー
東京にはクオリティの高いパンを楽しめる店がたくさんありますが、ビストロ・マルクスは、どんなお店になるのでしょうか? ティエリー・マルクスならではのパンの特徴は? オープンに先駆けて、ティエリー・マルクス氏に単独インタビューをさせていただきました。
店内の様子
ーービストロ・マルクスではどのようなメニューをお考えですか?
「パンと料理の組み合わせメニューを楽しんでもらおうと思っています。パンと料理はコントナン(器)とコントニュー(中身すなわち料理)。2つの世界の出合いです。中世のフランスではスライスしたパンをトランショワール(取り皿)として用いました。上に料理をのせて食べていたという記録があります。当時は素材のクオリティもよくないパンだったでしょう。でも今はそれをおいしくつくることができます。具体的なメニューはまだ公表できませんが、たとえばパン・ド・セーグル(ライ麦パン)に煮込んだ肉をのせるとか、そういうメニューを考えています」
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仔羊の煮込み、白いんげん豆。下に敷いてあるのはカンパーニュ。
ティエリー・マルクスの提案するハンバーガー
ーーハンバーガーをメニューのひとつにお考えだそうですね。日本では、伝統的なフランス流のパンづくりをしていた職人たちが、その技術でアメリカンアイテムに臨む傾向があります。また、アメリカの都市部ではファストフードをオーガニックな素材を用いて手作りで再構築するクラフトフードの流行があります。アメリカンなアイテムのハンバーガーがティエリー・マルクスさんの手にかかるとどんなふうになるのか興味あります。「フランス料理の世界には19世紀から20世紀初めにかけてジョルジュ・オーギュスト・エスコフィエという人がいて、1903年の本に既にハンバーガーが出てきます。だから基本的に、ハンバーガーはフランス料理なんです。牛肉を刻む仕事はアルチザン(職人)の仕事で、バンズを焼くのもアルチザンの仕事。
日本にはいい牛肉があるし、パリで既にバンズを開発しています。だからグランビストロのシグニチャーメニューとしてハンバーガーを一品つくろうと考えていますよ。ハンバーガーだけではなくて、さまざまなパンと料理の出合いが考えられます」
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肉汁たっぷりの黒毛和牛を使ったマルクスバーガー。トマトピュレとベアルネーズソース(エストラゴンとエシャロットのマヨネーズ)添え。
「はい。ハンバーガー? ストリートフード? と言われてもおそれることはありません。自分にとってはストリートフードも同じ、職人の仕事ですから」
ティエリー・マルクスの「ブリオッシュ・フイユテ」
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ブリオッシュ・フイユテとは、折込み生地の層が楽しめるブリオッシュ
ーーさて、パンのほうですが、ブリオッシュとそこから派生したメニューが中心となるそうですね。それはなぜですか?
「パリのイメージ。そしてグルマン(食いしん坊)のイメージだからです」
ーーマルクスさんのブリオッシュは「Brioche feuilletée(ブリオッシュ・フイユテ)」。一般的なブリオッシュとは異なり、パイのような美しい層がみられる折込み生地でつくられているのですね。こういうタイプはパリでポピュラーなのですか?
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ブリオッシュフイユテ内相
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ブリオッシュフイユテは層のあるブリオッシュ
「小麦粉は北海道産の有機小麦、”はるきらり”です。誠実なつくりかたをしているものに出合いました。素材選びは環境問題にも目をやらなくてはと思っています。これはどういう素材か、どういうところで作られているのか、地面からよく理解したいですね。卵はコクと甘味が強い”那須御用卵”です。日本にもよい生産者がいました。酵母は、生イーストとルヴァンを併用しています。ゆっくりと長時間発酵をとる製法です。バターは低水分のもの、ポワトー・シャラントの”レスキュール”、ノルマンディーの”エシレ”などを何種類か予定しています」
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料理人でありパン職人でもある
伝統と革新は両立するもの
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パリのTHIERRY MARX LA BOULANGERIEのパン
「もちろん、クラシックなバゲット、ルヴァンカンパーニュなどもつくります。あと、ブーランジェのガトー(パン職人ならではのお菓子)もやりたいね。基本的に粉と酵母と水と塩というシンプルな素材からさまざまなパンが生まれ、料理と組み合わせることで新しいものが生まれます。我々の仕事でそこに新たな価値をつくりだすことができると思っています。伝統的なものというと、過去のものと考えられがちですが、それだけではないんです。伝統を受け継いでいくにはそこに新しいものを提案していくことが大事なんです。伝統と革新は両立するもの。だからたぶん、我々のパンは新しいのではと思います」
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フレンチトースト
ーー不易流行ですね。マルクスさんは柔道や剣道もされているそうですが、その精神は料理やパンに影響を与えていますか?
「そうですね。正確な動作ということにおいて、影響しています。まず正確に切る。火をきちんと入れる。時間を調整する。この3つの悟りがベースになっています。このベースを押さえられれば、応用できます。正確に切ることは、味も正確ということなんです。それを確実にやります。手作業でしかできないことがあります。そしてクオリティを守るためには、やるべき作業工程のほかに生産のリズムもある。大量生産は無理です。それをきちんとすることが、伝えたい味を伝えることになるんです」
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ティエリー・マルクスさんと統括シェフを務める小泉敦子さん
テストキッチンにて
住所:中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE 7F
電話:03-6280-6234
営業時間:
11時~23時(ビストロ・ブーランジュリー)
23時~2時(プレミアムテラスバー)
不定休(プレミアムテラスバーは日祝定休)
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東京メトロ銀座線銀座駅0分