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ビッグタイトルが無くてもスクエニが好調な理由(2ページ目)

2016年5月12日、スクウェア・エニックス・ホールディングスは2016年3月期の決算報告を発表しました。内容はというと、売上高が約2,141億円で、前年度比27.5%増。本業の儲けを示す営業利益は260億円で、58.4%増となっています。絶好調のスクウェア・エニックスですが、その背景には収益構造の大きな変化が見られます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

コンシューマーを上回ったスマホゲー

星のドラゴンクエストの図

モバイル端末向けにも、ドラゴンクエストシリーズや、FINAL FANYASYシリーズの作品が多数登場しています

まず真っ先に多くの人が思いつくのが、モバイル端末向けゲームの躍進だろう、というということです。そしてそれはもちろん当たっています。急成長を遂げるスマートデバイス・PCブラウザゲーム事業は、2013年3月期には売上高約227億円だったのが、2016年3月期では約688億円にまで成長しています。

「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」や「スクールガールストライカーズ」など、以前からリリースしていたタイトルに加えて、2015年にリリースされた「MOBIUS FINAL FANTASY」、「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」、「ファイナルファンタジーグランドマスターズ」や「星のドラゴンクエスト」などなど、多くのゲームが好調に推移しています。

スクウェア・エニックスでは、コンシューマー向けのゲームなどをHD事業という形でまとめていますが、2016年3月期のHD事業は約585億円ということで、スマートデバイス・PCブラウザゲーム事業に抜かれているんですね。

もっとも、コンシューマーゲーム事業は前年度比で伸びていまして、2016年3月期が特別に不調だったというわけではありません。しかし、それを上回る速度でスマートデバイス・PCブラウザゲーム事業が成長しているということになります

そしてもう1つ、スクウェア・エニックスの成長を支えている分野があります。

堅実に成長するMMO事業

ドラゴンクエストXの図

ドラゴンクエストXは着実に成長し、利益に貢献しています(イラスト 橋本モチチ)

もう1つ、タイトル数が少ないので売り上げ規模はHD事業や、スマートデバイス・PCブラウザゲーム事業に及びませんが、堅実に成長し、業績を安定させている分野があります。それが、MMO事業です。

MMO事業は「ドラゴンクエストX」と「ファイナルファンタジーXIV」の2タイトルが柱となります。ドラゴンクエストXが発売される前の年の2012年3月期決算では、MMO事業の売上高は約68億円でした。その後、2012年8月にドラゴンクエストXが発売、2013年8月にはファイナルファンタジーXIVも発売。2016年には売上高約316億円にまで成長しています。売上高には追加ディスクの販売やアイテム課金も含まれますが、月額の利用料がベースにあるため、業績を安定させやすい構造になっています。

ドラゴンクエストXが発売された当時は、初週販売数約40万本ということで、歴代の過去作と比較されてあまりに少ないと批判するメディアもありました。しかし、MMORPGであるドラゴンクエストXを単純に初週販売数で比較するのはあまり意味がありません。ゲーム業界ニュースでも、MMORPGとしては大成功のスタートですし、ビジネス的な意味で本当の評価が決まるのはその後の運営にかかっている、というお話をさせていただきました。

【関連記事】
ドラクエXがたった40万本でも大成功な理由(AllAboutゲーム業界ニュース)

それからもう4年近くが経つわけですが、ドラゴンクエストXは着実に成長し、ファイナルファンタジーXIVと共にMMO事業は毎年堅実に売り上げをあげています。

決算の内容を見ていくと、スクウェア・エニックスが好調である背景には、何年かに1度出るビッグタイトルに左右されない、オンラインゲーム関連を売上の基盤にしていることが分かります。
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