ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

古川雄大、自分を縛らずに【気になる新星vol.22】(3ページ目)

*2017年10月、大幅加筆!*2012年の『エリザベート』にルドルフ役で初登場以来、『1789-バスティーユの恋人たち-』『エリザベート』『ロミオ&ジュリエット』等、快進撃中の古川雄大さん。クールなイメージとは裏腹に真摯に役に取り組む彼に、その現在・過去・未来をうかがいました。*『エリザベート』2016年(帝劇・博多座)公演観劇レポートを掲載*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド


ダンサー志望からミュージカルの世界へ

『レディ・べス』写真提供:東宝演劇部

『レディ・べス』写真提供:東宝演劇部

――ここからは古川さんの“これまで”を伺いたいと思います。そもそも、この世界を目指したのは?

「高校生の時ですね。中学の時にダンスを習い始めていまして」

――中河内雅貴さんがいらしたダンススタジオですよね。見学に古川さんがいらっしゃった時、久々の男子だ、絶対入会してもらおうと思ってデモンストレーションを張り切った!というお話を伺いました(笑)。

「マサ君、すっごい回転していて(笑)、かっこいいなと思いました。そこはジャズダンスのスタジオで、僕がやろうと思っていたダンスではなかったのですが、見学に行ったときにたまたまジャズ・ファンク寄りの先生が来て、すごいファンキーな振りで踊っていたんです。僕が理想としている踊りだったんで“あ、これだ”と思って入りました」

――では、最初はダンサー志望だったのですか?

「はい、バックダンサーをやろうかな、と思っていました。それでいろんなオーディションを受けに東京に行ってた時に、スカウトで声をかけてくださったのが今の事務所なんです」
『レディ・べス』写真提供:東宝演劇部

『レディ・べス』写真提供:東宝演劇部

――そしてすぐ、そちらに?

「その日はたまたま、何社か……5、6社から声をかけていただいたのですが、その中で今の事務所には既に有名な方が在籍していて、それが決め手で所属することにしたんです」

――ミュージカルとの出会いは芸能界入り後、間もなくですね。

「テニミュ(『ミュージカル テニスの王子様』)との出会いはわりとすぐでした。テニミュはすごく楽しかったですね。オーディションにはものすごい数の人たちが来るのですが、その中で登場人物(のキャラクター)に近いものがあって、可能性がありそうな人たちが選ばれている作品です。そこではファンの方々が、一人一人の出演者に対して“どれだけ成長したかな”という目線で観に来てくださっている世界で、たとえ音を外しても、“また外しちゃって。次は頑張りなさいよ”と言ってくださる。それに対して僕らも努力するという世界で、独特の楽しさがありました」

――本格的に“ミュージカルをやっていこう”と思ったのはいつ頃だったのですか?

「『エリザベート』以降、ミュージカルのお仕事をたくさんいただけるようになったので、その頃からです。ミュージカルには、歌がお芝居の中にあることで、演じる側としては音楽の力を借りて表現できるものがあるし、観てくださる方もより楽しくなったり悲しくなったりと、感情が揺さぶられるものがありますよね。そこがミュージカルの一番の魅力だなと思います」
『CLUB SEVEN 9th Stage!』写真提供:東宝演劇部

『CLUB SEVEN 9th Stage!』写真提供:東宝演劇部

――ご自身にミュージカルがフィットしていたのですね。

「最初から“ミュージカルこそ自分の道だ”とは思っていなかった分、そうなれるよう、頑張っています。すごく素敵な世界だなと思うので、少しずつ近づいていきたいです」

――これまで、古川さんは文字通り“絵に描いたような美男子”のようなお役が多く、特に華麗な外見にクールな内面を掛け合わせたフェリペ王子(『レディ・ベス』)などは絶品でしたが、そのいっぽうで、『CLUB SEVEN』や『ファースト・デート』での“必死”な役どころも非常にチャーミングでした。ご自身的にはいかがでしたか?

「『CLUB SEVEN』はすごく大変でした(笑)。あんなに踊って歌って着替えた作品は初めてでしたね。(ブラインド・デートにでかけたヒロインを心配するゲイの友人役を演じた)『ファースト・デート』では、彼女が電話に出ないので“大丈夫?大丈夫?”とテンパっている役でした。僕自身もすごく心配性で、(地からは遠い役に見えて)実は共通点があったので(笑)、“いっぱいいっぱい”な空気を出せたのかもしれません」
『ファースト・デート』写真提供:東宝演劇部

『ファースト・デート』写真提供:東宝演劇部

――今後のビジョンとしては、どういったものを抱いていらっしゃいますか?

「これまでいろいろなお仕事をさせていただく中で、“自分には引き出しが少ないな”と感じたことがありました。ですのでは今は、どんどん引き出しを増やしていきたいですね。どんな役も“(何とか)こなしてる”ではなくて、“できる”役者になりたいです」

*****
ハードな公演終了直後にも関わらず、じっくり語ってくれた古川さん。歴史大作に出演するにあたっては資料をしっかり読みこんで役作りをされており、このまっすぐな姿勢が役を“ぴったりのはまり役”にしてゆくのだと感じさせます。その彼の3度目の挑戦となる『エリザベート』ルドルフ。これまでの集大成、全てが凝縮された20分間に期待が高まります!

*公演情報*
エリザベート』2016年6月28日~7月26日=帝国劇場
1789 -バスティーユの恋人たち-』2016年5月21日~6月5日=梅田劇術劇場メインホール
ミュージカル『黒執事~NOAH'S ARK CIRCUS~』2016年11月18日~11月27日=TOKYO DOME CITY HALL、2016年12月3日~12月4日=キャナルシティ劇場、12月9日~12月11日=あましんアルカイックホール、12月17日~12月18日=刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
ロミオ&ジュリエット』2017年1月15日~2月14日=赤坂ACTシアター、2月22日~3月5日=梅田芸術劇場メインホール
*次頁で『エリザベート』2016年公演観劇レポートを掲載しました*
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます