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安易に使いがちな「大丈夫」の正しい意味と言い換え例

「大丈夫」という言葉は、人にものを尋ねたり、自分が答える場合どちらの場面でもよく聞く表現です。便利な言葉ですが、ときに不自然な言い回しになることも。その意味と言い換え例を見直してみましょう。

井上 明美

執筆者:井上 明美

手紙の書き方ガイド

「大丈夫」を安易に使っていませんか?

「大丈夫」を安易に使っていませんか?

つい便利に使ってしまいがちな「大丈夫」ですが、ときには違和感を与えてしまうことも

A「お飲み物はコーヒーで大丈夫ですか」
B「袋にお入れしても大丈夫ですか」
C「在庫はまだ大丈夫です」


「大丈夫」は、このようにあらゆる場面でよく耳にします。言っている側としては、配慮の意味で使っている言葉なのでしょうが、あまりにもむやみやたらに使いすぎますと、不自然になってしまったり、相手に不快感を与えてしまったりと多少注意が必要な言葉といえます。

では、どのような点が問題なのか「大丈夫」の意味と適切な言い換え例を見てみましょう。

「大丈夫」とは次のような意味をもちます。(コトバンク『大辞泉』より)
1 あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。「地震にも大丈夫なようにできている」「食べても大丈夫ですか」「病人はもう大丈夫だ」
2 まちがいがなくて確かなさま。「時間は大丈夫ですか」「大丈夫だ、今度はうまくいくよ」
ですから冒頭の例文Cは、上の意味の中の「まちがいがなくて確かなさま」、「安心できる」という意味にもとらえることはできなくはありません。しかし、別の言葉に言い換えたほうが言葉としてもおさまりがよく、誤解もないと感じます。

ではそれぞれ別の言葉に言い換えた場合は、どのような表現になるか、具体的な言い換え例を見てみましょう。


「大丈夫」の言い換え例

A「お飲み物はコーヒーで大丈夫ですか」
→「コーヒーでよろしいですか」「コーヒーでよろしいでしょうか」など。

B「袋にお入れしても大丈夫ですか」
→「袋にお入れしてもよろしいですか」「袋はいかがなさいますか」「袋はどういたしましょうか」など。

C「在庫はまだ大丈夫です」
→「まだございます」「まだたくさんございます」「残りわずかでございますが、まだ5点ほどございます」など。

このような言葉に言い換えることができるでしょう。


A、B、Cの「大丈夫」が不自然に感じられる理由

なお、A・B・Cが不自然に感じられる点で共通しているのは次のような部分です。

まず[A]B]はコーヒーでいいかどうか、袋に入れてもいいか、袋はどうするか、必要か不要かなどを確認するような場面。ですから、「あぶなげがなく安心できる」、「まちがいがなくて確かなさま」とは意味合いが違ってきますし、コーヒーにしても袋にしても何の問題もないわけです。

そして[C]は在庫の有無を聞かれたような場面で耳にしますが、こちらもA、B同様に何ら問題はありません。在庫があり購入いただくことが可能なのですから“有る・無し”を明確にしたほうがよりわかりやすいものです。

また、例文は尋ねる側の例でしたが、答える側も「袋は大丈夫です」のように使う例も見られます。こちらも間違いという類のものではありませんが、「いえ、(袋は)いいです」「(マイバックを)持ってきていますのでいいです」などと答えればいいわけです。


“良い・悪い”、“有る・無し”を伝える際の「大丈夫」は要注意

このように見ていきますと、使う側は多少配慮の気持ちやあいまいさ便利さなどの意味で使っているのかもしれませんが、元々の意味は何か問題がありそうなことであってもそうではなくて、あぶなげがなくて安心できる、まちがいがないのような事柄に用いられるもの。

例文のような「良い」「悪い」や「有る」「無し」などを伝える場面で濫用してしまいますと、相手に違和感を与えたり耳障りな言葉になってしまう恐れもあります。

場面によってより適切な言葉がある場合は、ときに言い換えるなどの工夫が大切ですね。


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