マンション相場・トレンド/マンショントレンド情報

創エネ・エコの先進的な街づくり@横浜市

「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)」のまちづくり構想が発表されました。パナソニックが進めるCRE(企業が保有する不動産)戦略に基づく工場跡地等の活用プロジェクト。野村不動産をはじめとする異業種の事業者と協業し、横浜市の協力を得ながら地域ともつながる次世代都市型スマートシティを目指します。その内容をレポートします。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

綱島でサスティナブル・スマートタウンがスタート
CO2排出量削減や新エネルギー利用を促進

サスティナブルとは、「持続可能な」という意を表す言葉。スマートタウンとは、エネルギーなどの自給自足を目指した省エネルギーの街づくりのことです。世界的にエネルギー需要が高まる中、持続可能な省エネルギーの街づくりは世界的な課題です。パナソニックは、こうした課題に対し保有不動産の開発によって多くの企業などと連携して取り組んでいて、既に藤沢で第一弾の街づくりがスタートしています。

「Tsunashimaundefinedサスティナブル・スマートタウン」の現地

「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」の現地。既に一部着工がスタートしている


「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)」のまちづくり構想の対象地は、港北区綱島東のかつてパナソニックの事業所があった約37,000平米のエリア。パナソニックと野村不動産が代表幹事となるTsunashima SST協議会が事業主体となりユニー、アップル、JXエネルギー、パナホーム、慶応義塾大学、大林組、東京ガスが参加。横浜市も計画を支援していきます。

「Tshnashimaundefinedサスティナブル・スマートタウン」の完成イメージ

「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」の完成イメージ


綱島では都市型のスマートシティへの挑戦を掲げています。「まちづくり構想書」で、持続可能(サスティナブル)な街の実現に向けて、CO2排出量の2005年度比40%削減、新エネルギー等の利用率30%以上など都市型スマートシティとして達成すべき目標を掲げています。

「Tshnashimaundefinedサスティナブル・スマートタウン」は、横浜市が進める街づくりや周辺開発事業と広域連携

「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」は、横浜市が進める街づくりや周辺開発事業と広域連携


「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」の開発地は、東急東横線「綱島」駅~「日吉」駅の間の地域で、現在相鉄・東急直通線の新駅「新綱島」駅も整備中。横浜市港北区箕輪町二町目において野村不動産が敷地面積約5.6haの「日吉複合開発計画」も予定されており周辺開発事業と広域連携することで、持続可能な未来の街づくりを推進します。

現地では、既に一部の施設の建設がスタート。綱島街道沿いの広大な敷地で、スケールの大きな開発であることが一目瞭然です。

水素活用拠点、タウンエネルギーセンターなどを設置
スマート商業施設、スマート集合住宅、スマート技術開発施設も

同開発では、先進的なスマートタウンへの取り組みがなされています。スマートエネルギーネットワークを実現する都市型エネルギーセンター「タウンエネルギーセンター」を設置。クリーンな都市ガスを活用した効率の高いコジェネレーションシステムを導入し、発電時に発生する熱を冷房、暖房、給湯に有効利用します。東京ガスグループがサポートします。

タウンエネルギーセンター

「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」のタウンエネルギーセンターイメージ


水素活用拠点では、JXエネルギーと連携し、耐震設計、各種検知機など、様々な技術を活用した水素安全管理システムを採用し、燃料電池自動車への水素安全供給を実施します。

「タウンマネジメントセンター」では、タウン内のコミュニティイベント情報、街のエネルギー情報、非常時の避難誘導情報などの発信を行います。

さらに「国際学生寮」を設置するものこのプロジェクトの特徴です。慶応義塾大学と連携し寮内での情報発信や交流促進を学生が管理できるマルチサイネージシステムや、空間を用途にあわせて様々なシーンに変換できるライトコントローラ、映像によって空間を演出するスペースプレーヤーなどを導入して、学生同士のコミュニケーション活動を促進します。

「スマート商業施設」としては、ユニーが参画。環境配慮型次世代ショッピングセンターとして、スマートタウンおよび地域の食、健康、コミュニティ醸成の中心を担います。太陽光発電やタウンエネルギーセンターの余剰廃熱を活用する空調システムの導入など、先進的な環境配慮の取り組みを実現。ネットスーパーの注文商品を店舗で受け取ることができる街受ロッカーや、店内情報のみならず、気象、防災、渋滞情報、非常時の避難誘導情報などの様々な情報発信が可能なマルチサイネージシステム 、顧客の安全を守りながらマーケティングにも活用可能な多機能監視カメラ、増加する外国人客に対応する多言語翻訳システムなどの導入を検討しています。

「スマート集合住宅」としては、サスティナブルな次世代型住宅を創造。共用部には、創蓄連携システム(太陽光パネルと蓄電池を連携)を設置。再生可能エネルギーの利用効率を高めます。専用部には、エネファームやスマートHEMSを導入し、意識的にエコに取り組み低炭素社会に対応した住まいを計画します。

「スマート技術開発施設」では、アップルが「技術開発センター」を設置予定。屋上の太陽光発電システムの設置や緑化、水の再利用を行ないエネルギー使用量を削減します。

まさに、街全体でサスティナブル(持続可能)なスマートタウンに向けて取り組むとともに、業務・商業・住宅・学業一体での街づくりに取り組んでいます。発表会には、パナソニックの津賀一宏代表取締役や林文子横浜市長も出席し、産学一体となった街づくりへの決意を感じました。

4月14日から発生した熊本県熊本地方を震源とする大規模な地震は、防災や安全な街づくりの難しさをあらためて実感しましたが、企業や行政が一体となって大きなフィールドで行う先進的な取り組みが、未来のエネルギー有効活用や街の防災力の向上につながればと思います。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます