成約単価は前年比38ヶ月連続プラス 在庫件数は、22%増加
新築マンション購入層の年収が2015年上半期大幅に上昇!
中古マンションの価格も新築同様に上昇トレンドが続いています。公益財団法人東日本不動産流通機構発表の首都圏2月度の月例速報によれば、2016年2月度の首都圏中古マンション成約件数は、前年比7.5%アップの3,539件。成約価格は、+4.1%の3,045万円で成約平米単価も+4.7%。上昇トレンドが続いています。一方で、中古マンションの在庫件数は、2月末段階で41,555件で前年比22%の大幅増。価格上昇を反映して売り物件数も増えてきています。昨年秋以降、中古マンションに関しては、高価格帯の動きが鈍くなったことや強気な売出し価格設定もあり、動きが弱くなっているエリアも。一部価格調整に入っているエリアもあり、在庫増加が続くと下落に転じるかも知れません。首都圏における新築マンションの価格上昇は、購入者像にも変化をもたらしています。住宅金融支援機構が発表しているフラット35利用者調査2015年上半期によれば、首都圏のマンションの購入価格は、前年比で14.7%増加の4810.9万円。近畿圏や東海圏が伸び率がそれぞれ、3.7%、1.5%であるのに対し上昇が顕著です。
それにともない大きく変化しているのが購入者の年収などの属性です。首都圏の2014年度上半期のフラット35利用者の平均世帯年収が744.1万円に対し、2015年度上半期の平均世帯年収は823.3万円にアップ。手持ち金の額も829.5万円から1053.6万円にアップしており、平均すると自己資金があり世帯年収が高い人が新築マンションを購入していることがわかります。家計の所得が1年で大幅に増えているわけではないので、マンション価格の上昇によって購入できる人が限られてきていることがうかがえます。
高年収世帯のボリュームは、限りがあり今後価格上昇が進むと成約数は、限定されてくるのでしょうか。工事費の上昇にともない郊外エリアよりも都心エリアの供給が増えたことも価格上昇の一因。年収のアップも供給エリアの偏りも反映してのことかも知れません。しかし、郊外エリアまで価格上昇の波が広がっていくと買い手が限られてくるため、いつかは需給面から価格上昇トレンドに歯止めがかかってくるでしょう。
高騰後の用地供給がスタートする今秋は、価格の一段高も
郊外エリアは、戸建てとの価格差に注目
東京圏では、地価上昇率の高い千代田・中央・港・渋谷・文京・目黒区は、今後一段の供給価格の上昇が見込まれます。また、大阪・名古屋・札幌・福岡・仙台といった大都市の中心市街地のマンション分譲価格も今後上昇するでしょう。今後都市部でマンションを購入できるのは、一定の世帯年収を持つ人に限られてくるかも知れません。一方、郊外エリアは人口動向に左右されると思います。あくまでも価格動向を決めるのは需給バランス。市場ニーズ以上供給が続くと価格も弱含むでしょう。また、マンションの施工費に比べ戸建ての建築費は、上昇度合いが小さい。戸建ての売行きや在庫動向によって、マンションの価格も影響を受けると思います。
留意したいのは、日銀のゼロ金利政策が、マンション用地の供給減につながる可能性もあること。マンション建設に適した未利用・低利用資産の売却や資産の組換えが先送りになる可能性もあり、短期的に供給減につながる可能性もあります。一生の買い物に焦りは禁物ですが、「待っていたら希望のエリアの供給物件が全くない」なんて事が無いよう市場のラインナップは、よく確認して希望のマンションを探しましょう。
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