モダンブラッスリーの雰囲気と煌きに酔う「レガート」
時として先入観は新しい感性の湧き立ちを阻害する。年齢と共に好奇心は薄れて保守的になっていくものと信じ込んではいないだろうか。レストラン選びもそうだ。何度も通うなじみの店につい足が向いてしまう。ましてや、ウエディングパーティーで呼ばれた会場に改めて食事に行くなんて想像したこともなかった。
カウンタースペースの奥にダイニングが広がる
友人に誘われて気がつくと私は道玄坂の夜景が煌めくレストランのエントランスにいた。あれ、ここは友人の結婚パーティーで来たなあ、と。しかし、どうも雰囲気が違う。リニューアル後のレガートはパリのブラッスリーをそのまま再現したような華美なインテリアに変身していた。薄暗い照明と適度なざわつきが心地よいBGMとなる空間は隠れ家的な雰囲気を醸し出す。個室でもないのにそう感じるのだから不思議だ。
ホワイトアスパラはテーブルで盛り付けられる
ここはフランス料理店だったことに気付くまで時間はかからなかった。料理はオールラウンドなフレンチメニューが並ぶ。ワインもこれでもかと迫ってくる。それも非常にリーズナブルな価格で。個性的な飲食店を展開するグローバルダイニングのバイイングパワーが現れている。
スパイスの風味も食欲を駆り立てる
丁寧に仕込まれた根野菜に囲まれたホワイトアスパラは瑞々しく、やさしいソースを纏い季節の始まりを祝う。温玉が載せられた状態で登場するがテーブルで取り分けてサービスされる。4名程度で料理をオーダーすると取り分けが利くのも嬉しい。
羊のローストはひよこ豆との組み合わせと共に力強い味わいを運び込む。クラシックなフランス料理だが低温でじっくり火を通した先に出る出汁(ジュ)を丁寧に煮詰め、粘りと風味を高めていることがわかる。周りに振られたエスニック風のスパイスもいい風味を醸し出す。
トリュフの香りが飛んできそうだ
トリュフと共に焼かれたシンプルなピザも楽しい。運ばれると同時にトリュフの香りがふわりと漂う。パンの代わりにトリュフのピザなんて洒落ているではないか!
料理とソースが一体になり、皿を飾る
フォアグラを包むパイ料理は、これ以上クラシックな料理は最近なかなかないぞ、と現代風フランス料理をあざ笑うかのように登場する。これもソースが決め手だ。濃厚なフォアグラにほんのりと甘さを纏うソースが寄り添うと赤ワインを我慢することができなくなる。料理とワインはこうして一体となる。
ワイン選びは任せてしまいたくなる
フランス人スタッフはサービス精神が旺盛で楽しい瞬間をいくつも足してくれる。もしかしたら彼のサービスも料理なのか!と思うくらいだ。そびえ立つワインセラーは珍しくないが夜が深くなるにつれ埋まっていくカウンターとともに素晴らしいインテリアになっていく。先入観なく私はこの空間が自分の好みなんだとわかる。香り立つワインと共に、気がつくと翌日になっていた。
レガート(渋谷)
東京都渋谷区円山町3-6 Eスペースタワー15F
予約、問い合わせ
03-5784-2121
営業時間
ランチ(月~金) 11:30~15:00
ディナー 17:30~24:00
バー 17:30~26:00
無休