今回は新潮砲が炸裂

今年は幕開けから文春砲が炸裂し、スキャンダル満載の2016年が展開しております。そうした勢いに負けるものかとライバルの週刊新潮がすっぱ抜いたスクープが、このたびの乙武洋匡氏の不倫騒動。ちょうどワイドショーネタも一段落したタイミングだったからか、これまでにも増してメディアを賑わせています。

今回は早々に奥さんもファクスで釈明するなどして、これまでの不倫ネタと比べて幕引きも素早かったようです。しかしネット社会ではまだまだ火種がくすぶっているようで、「ゲスの極み乙武」なんて不届きな書き込みも見受けられます。

この「ゲスの極み」という言葉、もちろん昔からある慣用句ですが、今年に入ってメディアの至る所で流行語大賞も狙えるくらいの浸透ぶりをみせているんじゃないでしょうか。その背景にはメディアのある変化が関連しているように思えます。


不倫からゲスへ

もちろん、そもそものきっかけは例の一件でした。しかしその後も、別件の不倫や経歴詐称問題でも、「ゲス○○」といった見出しが多くの紙面およびWEB上で踊っています。まあ、それに相応しい事件が続出したこともありますが。

漢字では下種、下衆、下司などとも書きますが、もともと品のある言葉ではなく、時代劇等で極悪人がそう呼ばれるのを聞く程度でした。最近の使われ方を見ていると、不倫問題に限定して使われているようですが、実はこの「不倫」も以前はもっと広い意味で使われていたものです。

こちらのきっかけは、1980年代に一斉風靡したドラマ「金曜日の妻たちへ」シリーズでした。番組の人気上昇とともに不倫という言葉の持つ重みや暗さが失われて、「フリン」とカタカナで書かれることさえ当時はありました。


芸能マスコミが待ち望んでいたワード

ワイドショーや雑誌メディアで不倫が取り上げられることは、はるか昔から行われてきたものの、「金妻」ブーム以降はネタの扱い方に変化が現れました。明るいニュースとは言わないまでも、「何が何でも許せない」という追求の仕方は薄れていったのです。当時はお笑い芸人が過去の浮気を笑いに返ることも、いつのまにか許されるようになっていました。

それが今回の「ゲスの極み」の一件でガラリと様相が変わります。不倫を行った人間は、男女ともに「ゲス」呼ばわりされ、謝罪会見を開くまで許されない雰囲気が醸し出されるようになりました。決して法律に違反した訳ではない人物を、どう呼んでいいのか戸惑っていた芸能マスコミにとって、最適なワードを手に入れたということでしょう。

今後しばらくは不倫した人間=ゲスという式がまかりとおるのでは。たとえ時効と思われた過去の不倫であっても、今の時期は笑い話になりにくい空気が漂っているようです。


なるか? 流行語大賞

では、こうした傾向はいつまで続くのでしょうか? 今後さらにスキャンダラスな事件が立て続けに発生しない限り、今年いっぱいで収束するような気がします。

冒頭でも述べましたが、今年の流行語大賞は「ゲスの極み」が有力候補に挙がると見ています。そうなれば年末に一連の事件を振り返った後は、一発屋芸人のようにフェイドアウトしていき、来年以降はまた不倫という言葉が盛り返してくることでしょう。現在、不倫中の芸能人ならびに政治家の方々は、何とか今年一年、文春、新潮に気をつけていくことをおすすめします(笑)。


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