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高利回りの賃貸住宅経営は「社会貢献型住宅」が鍵

貸家着工数の増加により需要と供給のバランスが崩れ、オーナーさんを取り巻く環境は厳しさを増しています。しかし、それでも賃貸住宅経営に代わるべき資産運用はありません。ここでは、賃貸住宅経営の一つの選択肢として注目を集めている社会貢献型賃貸住宅について解説します。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

東京都の賃貸空室数は5年前より12万戸増加

賃貸空室数と空室率(東京都)

賃貸空室数と空室率(東京都)


総務省発表の「平成25年・住宅土地統計調査」によれば、東京都の賃貸空室数は5年前より12万戸も増え、空室率が一挙に16.2%に悪化したことわかりました。
消費税引き上げの反動で、新築住宅着工戸数は減っていますが、平成27年1月からの相続税引上げ対策として賃貸住宅建設が推奨され、東京都ではこの5年間で27万戸も新築され、供給が需要を大きく上回ったのが原因です。

一方、賃貸住宅に入居されている方の平均世帯年収が下がり、可処分所得が減ってきていますので、より低い賃料の賃貸住宅に流れています。そのため、東京都の民間賃貸住宅・家賃変動率は、平成7年から下落が始まり、20年間での下落率は7.1%となっています。

これだけ、賃貸経営が厳しくなってきている現状がお分かりいただけると思います。

環境は厳しくとも賃貸住宅経営は有効な資産運用

そうは言っても、長期間にわたって低金利が継続している経済状況下、賃貸経営に代わるべき資産運用はありません。そうであれば、節税対策のメリットも大きい賃貸経営の良さを見直して、市場ニーズの再検討・経営対象を変更して、継続・発展を目指すしかないと思われます。
高齢者人口の推移

高齢者人口の推移



注目を集める社会貢献型住宅

では、どういったものが今後も社会的ニーズがあるのでしょうか?例えば次の3つが考えられます。

  1. 超高齢化社会の到来 → 高齢者住宅・高齢者施設
  2. 保育所には入れない待機児童数の増加 → 保育所、学童保育施設
  3. 障害者が10年間で29.7%増加 → 障害者グループホーム

こういった「社会貢献型住宅」が有利な理由は3つあります。
  • 根拠となる法制度、長期計画が策定されていて市場見通しが明確
  • 東京都の福祉計画により予算が確保されている
  • 補助金制度が充実している

また、社会貢献型住宅には次のようなメリットがあります。
  • 長期安定収入が見込める
    長期的に事業を継続することが補助金を受ける為の要件となっているため、オーナー側は事業者と長期賃貸借契約を結ぶことができる。
  • 法人一括借上げ
    空室の心配がなく、長期安定収入が確保。借り上げ期間は途中退去がないため原状回復工事、募集経費が不要で、募集期間中の空室ロスの心配が無い。
  • 維持管理費も安く済む
    施設維持は運営事業者が行うので、一般賃貸に比較して、小規模修繕、外構・植栽等について運営法人が負担してくれることが多く、維持費が安く済むことが多い。
将来の見通しも、高齢者、待機児童、障害者はまだまだ数多いので需要が減少することはないでしょう。


注目の社会貢献型賃貸住宅

注目の社会貢献型賃貸住宅

東京都福祉保健局の発表では、個人オーナーが創設した高齢者住宅・施設は、都市型軽費老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、介護専用型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅 など、数多く見られるそうです。
高齢者住宅・高齢者施設だけでなく、保育所、学童保育施設、障害者グループホーム等を含めた社会貢献型住宅へは満室経営の手段としても有効な選択肢の一つです。是非、一度ご検討されてはいかがでしょうか。

 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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