欠かせないカルシウムは不足も摂取過剰も危険?
カルシウムは足りていますか? 簡単なチェックシートで確認してみましょう
「カルシウムの効果・役割・不足」にもあるように、体内のカルシウムのほとんどは骨や歯の成分として存在しています。そのため、体内のカルシウムが不足すると骨がスカスカになる「鬆(す)が入った」状態になり、骨粗しょう症になってしまうといわれています。詳しくは「骨粗しょう症の原因・症状」をご覧ください。
他にも、カルシウム不足が引き金となる健康障害にはフレイル、サルコペニア、ロコモ(ロコモティブシンドローム)など歳をとった後に寝たきりのリスクとなる要因もあるので、カルシウムは積極的に摂りたいものです。
とは言うものの、カルシウムの摂りすぎは、高カルシウム血症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、便秘などの障害が起こるといわれており、サプリメント等を使った場合には過剰症のリスクもあります。カルシウムの摂取量の目安はどのように考えればよいのでしょうか。
カルシウムの必要量
まずは、カルシウムの必要摂取量を「日本人の食事摂取基準(2020年版)」でみてみましょう。年代別の一覧表は以下の通りです。少しややこしくなりますが、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に書かれているものを正しく抜粋します。「推奨量」とは日本人の食事摂取基準で、ほとんどの人が必要量を満たすであろうと考えられる量として記されている量です。「目安量」は必要量を実験的に調べることが難しい場合や実際に摂取している量から算出した量です。そのため、「推奨量」と「目安量」はどちらか一方のみが公表されています。そこで実験データを得ることができる1歳以上では「推奨量」が、実験データを得ることができない乳児は「目安量」で示されています。乳児の「目安」は乳児が飲む母乳の量と母乳に含まれるカルシウムの量を基に計算されています。「耐容上限量」は、これ以上摂取し続けたら健康被害が出るであろうと考えられる量として記されています。一方、「平成30年 国民健康・栄養調査」の結果では、20歳以上の1日あたりのカルシウム摂取量は男性504mg、女性500mgで男女ともに100mg以上不足しています。
この結果の原因はカルシウムを意識して摂っている人がいる一方で、カルシウムを意識していないため、ほとんど摂っていない人がいる可能性が高いと思います。
あなたのカルシウム量は大丈夫?セルフチェック
自分のカルシウム量を知りたい方は、「カルシウムチェック|ダノンデンシア」などを試してみるのもよいでしょう。こちらは民間企業のサイトですが、このセルフチェックは学術論文に掲載されたセルフチェックをそのまま引用して作られています(石井ら『簡便な「カルシウム自己チェック表」の開発とその信頼度の確定』(Osteoporosis Japan Vol.13 No.2 2005年 P221-226))。このセルフチェックで「発泡スチロールの骨」の人は1日の摂取量が400mg以下の可能性が多いに高いです。「プラスチックの骨」の人も必要な量には不足している可能性が高いです。「銅の骨」の人で1日650mgくらい摂取できていると思われます。「銀の骨」の人は1日650mg以上摂取できていますが、骨粗しょう症予防にはもう一声。「金の骨」の人は骨粗しょう症予防に十分なカルシウムが摂取できていると考えていいそうです。
カルシウム不足に気づいたら、これからどうすべきか
結果が「発泡スチロールの骨」や「プラスチックの骨」だったからと言って、ガッカリする必要はありません。また、あわててカルシウムのサプリメントを購入する必要もありません。サプリメントに関しては先に説明した「耐容上限量」を超えやすくなりますので、生半可な知識で手を出すべきではありません。まずは、普段の食生活を変えていくことが必要です。「発泡スチロールの骨」「プラスチックの骨」だった人はもう一度、セルフチェックシートをよく見て、10項目のうち1つでも食べる回数を増やして点数が上がるようにしましょう。ただし、実行するのはどれか1つ。まじめで10項目すべてを同時に行おうとする人もいますが、10項目のすべてを一度に行おうとすると、生活スタイルが変わってしまい、日常生活が立ち行かなくなってしまいます。そうなると、最終的に元の生活に戻りやすくなり、成果を得ることができません。
また、このセルフチェックはカルシウムを主眼にチェックしていますが、上位ランクのメダルになればなるほど食生活のバランスもよくなるように作られています。
定期的にセルフチェックを実施してみて、少しずつ「金の骨」に近づけるよう生活スタイルを見直していくのがよいと思います。