照明・LED

オールLEDの10年後も見据えた節電住宅実例(2ページ目)

S邸はオールLEDで照明設計された住宅です。そのため照明電力は1平方メートル当たり4.5W以下に抑えることができました。これは従来光源では考えられないほど、少ない電力で照明ができています。S邸は照明電力の節減だけではなく、あかりの質にもこだわって設計されています。特に色がより鮮やかに見える光源を使用したり、調光調色機能を導入した部屋が幾つかあり、生活行為に相応しい雰囲気を楽しむことができます。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド


2階の照明

2階はおもに主寝室と子供部屋2部屋からなります。子供部屋(9平方メートルと10.5平方メートル)はそれぞれ乳白カバー付きシーリングライト器具(LED50 W)で照明しています。

器具は、調光はもちろんのこと2700~6500Kの調色もでき、さらにRa90 と高い演色性をもったものを選んでいます。

このシーリングライト器具は今後10年以上使われることを考慮し、その間の子供の成長に合わせて対応できる機能を備えておくことが狙いです。

主寝室は天井高さが3~4mの傾斜天井になっており、片側のコーブ照明によって、心地よい光のグラデ―ションを表現しています。
主寝室

写真4. 傾斜天井を片側コーブ照明で寝室にふさわしい明るさと雰囲気を表現

また、窓側には角型の乳白消しガラスを使用したブラケットを窓の上端と器具の上端が揃うように配灯して、空間のアクセントとしています。

これらの照明によって平均70ルクスほどの明るさが得られ、寝室に必要な明るさと雰囲気を演出しています。(写真4)

なお、2階の小階段を上がると、そこはロフトで書斎と小屋根収納になっています。

平方メートル当たり4.5Wの照明電力

さて、S邸に使用された照明器具数は約70灯です。床面積からすると少し器具灯数が多く感じられますが、ベース照明としてダウンライトを多用しているためで、器具の存在を感じさせない効果になっています。

また、照明電力ですが、トータルで約540Wで1平方メートルあたりに換算すると4.5Wほどしかありません。仮にコンセントを利用して使われるスタンド器具などが加わったとしても5W以下で収まると思います。

従来光源である白熱灯や蛍光灯照明の場合、住宅は10~20W/平方メートルが一般的と言われていましたから、かなりの省エネルギー照明になっていると思います。

さらに調光や点滅など小まめな操作によって、雰囲気を高めながら節電ができることもS邸における照明設計の狙いであります。

【関連記事】
「照明住宅実例:省エネとメンテナンスに配慮した照明」

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