スバルAWDの歴史と種類とは?
2015年11月から発売を開始したマイナーチェンジ後のフォレスターをはじめ、レガシィ・アウトバックやWRX STI/S4、インプレッサ(SPORT)、XVなど多彩なモデルが雪上コースに中心に集結。2種類のクローズドコースと林道を含む一般道を試乗し、スバルAWDの実力を試すことができた
スバルのラインナップの大半はAWD(4WD)で、「あえてAWDを作っている意識はない」というほど、「スバル=AWD」という強みを全面に押し出している。そんな中、久しぶりに雪上でのプレス向け試乗会が北海道で開催された。
WRX STI/S4、フォレスター、レガシィ・アウトバック、XV/XVハイブリッド、クロスオーバー7など、BRZやインプレッサG4をのぞき、AWD(4WD)モデルのすべてが集結し、特設コースと一般道を1日試乗するというもの。
スバルのAWDは、1972年のレオーネ・バンが乗用車では国産初となるAWDで、これは東北電力の依頼を受けて、宮城スバル(当時の特約店)が1971年3月に試作車を富士重工業に持ち込んだもの。その後、4カ月で試作車を仕上げ、わずか8カ月で限定販売し、1972年のレオーネ・バン4WDとして結実することになったという。
現在のスバルAWD(4WD)には、AT向けでレヴォーグ(1.6GT系)やレガシィ・アウトバック、フォレスター(CVT)、インプレッサ、XVなどに搭載される「アクティブトルクスプリットAWD」、レヴォーグ(2.0GT系)、WRX S4が採用している「電子制御LSD不等トルク配分センターデフAWD(VTD-AWD/バリアブルトルクディストリビューション)」を用意。
前後基本トルク配分41:59に、電磁式LSD、トルク感応型機械式LSDを採用するDCCD方式AWDのWRX STI。FFベースでも駆動配分は後輪寄りに仕立てられているため、お尻が出やすいFR的な動きになり、振り回せる腕があれば相当速いペースで雪上を走破できる
MT向けでは、フォレスターとインプレッサに搭載されている「ビスカスLSDセンターデフ式AWD」、そして、モード切替電子制御LSD不等トルク配分センターデフAWD(DCCD/ドライバーズコントロールセンターデフ)を採用するWRX STIがある。
特設コースでの走りはどうか?
いずれのシステムを搭載していても除雪路や圧雪路、雪とウエットとドライが入り交じったような路面でも「普通」に走る分には安心感は高く、常識的な速度であれば林道の圧雪路でも難なく走破してしまう。
雪上コースは、冬以外はモトクロスバイク向けコースの北海道オフロードパークで、コブやアップダウン、凍結路、片輪低ミュー路、轍など多彩な路面状態が用意されるコースと、大小様々なコーナーが用意された比較的高速で走るコースが設定されていた。
2つのコースを走らせる車種は異なり、コブや坂、アップダウンのあるオフロード用コースには、フォレスター、レガシィ・アウトバック、XV/XVハイブリッドを用意。いずれの車種も「アクティブトルクスプリットAWD(ACT4)」を採用。
この「ACT4」電子制御LSD(油圧多板クラッチ)のイニシャルトルクは前60:後40で、4輪の駆動状況とトルクを常に監視し、通常走行では駆動ロスを抑え、路面状況の変化に応じて、前後輪への駆動配分は直結状態から「ほぼ」前輪駆動になるまで、フレキシブルに変化させるもの。
フォレスターにはパワートレーン、AWD、VDC(横滑り防止装置)を統合制御し、トルクやブレーキなども制御するだけでなく、下り坂などで一定速度を保つ「ヒルディセントコントロール」を含む「X-MODE」が用意されているが、作動条件の40km/h以下でオンにすれば鬼に金棒の安定感で、オフとの違いは明らか。オフだと横や前後に滑りやすい路面でも無駄なスリップが抑制される。
車両重量があるレガシィ・アウトバックは、どっしりした安定感があり雪上での乗り心地も良好という印象で、こちらにも「X-MODE」が用意されているが、X-MODEの作動状況は、視線移動は大きくなってもフォレスターのようにインパネ上部にあるマルチファンクションディスプレイに表示される方が見やすい。
このコースでは、XV/XVハイブリッドもロードクリアランスにはほとんど不安を感じさせず、なおかつX-MODEがなくても難なくクリアしてしまった。車重が軽くてコントロールしやすいのも印象的だ。
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