お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが欲しいがお金のことが不安な人の悩み相談

29歳、障害年金を受給。出産、マイホーム購入は可能?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、将来のライフプランにいろいろ悩みを持つ20代の女性会社員。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 独立の再考と継続する期限の設定が大切

はりねむさんのご相談を拝見すると、最大のポイントはご主人の独立開業だと思います。順調に進めばいいですが、失敗すれば、その後のライフプランに大きく影響するからです。

「利益は当面まったく期待していない」とありますが、それがどのくらいの期間なのか。その間、お子さんが生まれていれば、はりねむさんが正社員で勤務することはきびしく、働けてもパートとの可能性が高いとのこと。妻のパート収入(+障害年金)だけで、家族3人ないし4人がどれだけ生活できるのかをもう一度考えてみる必要があります。

実際にそうなれば、その間は貯蓄を取り崩すことになります。現在の貯蓄額は1950万円(さらに投資商品が359万円)。これだけまとまった額を貯めたことは大変立派です。だからこそ、これは大事に使いたい。生活費の補てんにはなるべく使いたくありません。また、ご主人の事業が赤字になれば、その補てんも貯蓄に頼ることになるのです。

独立は5年後を予定されているそうですが、その準備期間を活かして、どの程度の利益が見込まれるのか十分検討、リサーチしてください。また、独立後何年で軌道に乗るか、その期限を設定して、それでダメなら潔く手を引く。そのことを事前にしっかりと決めておくことが重要だと思います。
 

アドバイス2 早めに出産して家計ペースをつかみたい

お子さんについては、できれば、ご希望する2人を早めに生むことをおススメします。お子さんが生まれれば、教育費が家計の中では優先します。また、教育費は何年後にいくら必要かが、比較的わかりやすい資金です。実際に、お子さんが生まれることで、手持ち資金の行く先が決まり、必要な貯蓄ペースや家計管理も見えてきます。

また、ご主人の独立前に、これらのことがきっちりと決まっていれば、途中で教育費が不足するというリスクも軽減されるはずです。

実際の教育資金の貯め方ですが、大学費用として1人400万円(私立文系の場合)がひとつの目安となります。したがって、お子さん2人分800万円は、現在の貯蓄で確保できているとも言えます。ただし、かかる教育費は中学・高校から私立など、進路によって大きく変わります。また、貯蓄の一部は老後資金にも充てたいところです。

したがって、新たに教育資金づくりとして、1人につき児童手当全額とそれ以外に月1万円を積み立てるといいでしょう。それだけで、18歳までに約400万円を貯めることができます。

はりねむさんの働き方については、マネープランの観点から言えば、正社員継続が望ましいということになります。収入はもとより、厚生年金の加入期間が増えるため、それが老後対策につながるからです。

とは言え、障害がある中で子育てと正社員を両立させるのは、確かに難しい面があると思います。健康面を最優先に、どういう働き方が望ましいのかを決めてください。ただし、ご主人の独立を前提に言えば、出産後は少なくともパートで収入を得ることが必要でしょう。
 

アドバイス3 住宅ローンが組めないことを想定しておく

住宅購入については、返済可能額から考えてみます。

返済期間25年、金利はフラット35の今の水準を基準に1.5%とすれば、1500万円を借り入れて毎月の返済額は約6万円。ランニングコスト(固定資産税等)に月1万円を加えれば、住宅コストは月7万円となり、ほぼ今の家賃水準となります。仮に2000万円を借り入れると、毎月の返済額は約8万円。家計は現在、月9万円の黒字ですから、それでも十分返済は可能でしょう。

ただし、気になるのは誰がローンの名義になるかです。ご主人の場合、自営業者として3~5年、あるいは10年近い実績がなければ、ローンを組むのは困難です。はりねむさん名義であっても、障害をお持ちという点で難しくなる可能性があります。少なくとも、契約時に団体信用生命保険は加入できないのではないでしょうか。

そう考えると、仮にローンが組めても、借入額を減らすことも考えるべきです。頭金を多く入れることもそのひとつの方法ですが、その分、手持ち資金が減ります。物件価格そのものを下げることも検討すべきでしょう。また、ローンがどうのように組めるか、複数の金融機関に事前に相談することも大切です。

最後に、ご主人が加入している共済保険ですが、入院1万2500円は過大です。5000円で十分と考えます。また、投資信託を毎月9万円積み立てで購入されていますが、ご主人が独立する前提がある以上、リスクは極力減らしたい。金利が低くとも、貯蓄商品での積立に切り替えてください。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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