アドバイス1 今ある貯蓄が減ることは避けたい
もっとも心配されている大学費用ですが、進路によっても異なります。あくまで大学に払う費用(交通費、学校外活動費などは除く)としては、目安として私立文系で390万円、私立理系で520万円と考えておけばいいと思います。では、実際、どのくらい用意できるでしょうか。学資保険などは掛けていませんから、貯蓄で備えることになります。
現在、毎月の貯蓄が年間で60万円。下のお子さんが18歳になるまであと9年ですから、540万円が上乗せとなるため、現在ある貯蓄と合わせて計770万円。この額であれば、一人だけ私立理系なら、計算上は足りますが(入学時に一括して払うわけではないので)、今ある貯蓄もほぼ底をつきます。これはどうしても避けたいところです。
また、2人とも私立文系であっても、手持ちの貯蓄は150万円程度に目減りします。中学、高校では進学塾や部活など、今より教育費がかかる可能性は高いでしょう。しかも児童手当はお子さんが15歳までの支給ですから、その後は支出を削らなければ、先の貯蓄ペースはキープできません。家計リスクを考えれば、お子さん2人とも私立文系でも、現状ではきびしいと言わざるを得ません。
アドバイス2 住宅ローンの借り換えも検討
解決策は2つ。家計支出の削減と世帯収入のアップです。まず、支出についてですが、さほど削るところはありません。そうなると、削減効果の高い固定費として、保険の見直しが考えられます。ただし、手を付けられるのはご主人の終身保険だけ。払済保険にして、割安の定期保険に新たに加入します。持ち家であることと、お子さんの年齢などを考慮すれば、10年定期、死亡保障は1500万円程度でいいと思います。保険料は4000円台後半。それで9000円程度、支出が削減できます。
固定費としてもうひとつ、住宅ローンについて借り換えを検討してもいいと思います。現在、住宅ローン金利はほぼ底の状態です。変動なら金利0.6%台、10年固定でも1%程度。過去に2度、繰上返済をされているので、ローンの残りの支払い期間やローン残高の詳細はわかりませんが、仮に変動であれば、毎月1万円近く、支払い額が低くなると思われます。
ただし、借り換えには諸経費(借り換え手数料、保証料、司法書士報酬、登録免許税など)が発生します。猫ママさんのケースでは、40万~50万円と推測されますが、それを支払っても軽減効果はあるかどうか、金融機関に十分試算してもらった上で判断するようにしてください。
アドバイス3 130万円の壁を超える収入を目指す
もうひとつの収入アップについて。一般にはそう容易ではありませんが、相談文にある「扶養を外れてもっと働きたい」という気持ちがあれば、それも可能ではないでしょうか。「130万円の壁」を気にされている点も、それを上回る収入、具体的には年収160万円以上を得られれば、結果的に手取額もアップしていきます。また、配偶者控除の制度自体についても見直しの動きがあります。家計不安を取り除くなら、税金や社会保険料のことはあまり気にせず、前向きに収入アップを目指すべきだと思います。結果、家計支出の削減で2万円、奥さん収入アップで5万円程度貯蓄ペースが上がれば、年間80万円。教育資金はもとより、リフォーム費用もそれなりに準備できるはずです。
とは言え、猫ママさんも過去に大病をされて、上のお子さんも完全治癒は難しい病気を抱えているとのこと。まずは家族の健康第一。無理をして、身体を壊せばそれこそ本末転倒です。収入アップはもちろん望ましいですが、ご自身のペースや健康状態には絶えず気を配ってください。
加えて、ご主人にあまり危機感がない点について。必要以上にネガティブになることは避けられるという点では役立っているとは思いますが、いくら楽観視しても資金が足りないことに変わりはありません。具体的な数字を見せて、現実を知ってもらうことは大切だと考えます。
相談者「猫ママ」さんから寄せられた感想
アドバイスありがとうございます。今のままではリフォームまでは手が回らないけど、一番心配だった教育費は何とかなりそうかな、と、一安心しました。あとは、私がもう少し収入を上げ貯蓄していきたいと思います。漠然と将来に不安がありましたが今回、相談させていただいて気持ちも楽になりました。本当に、ありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
【関連記事をチェック】
44歳子持ち、貯金20万円。家計の立て直しは間に合う?
41歳、中学生2人の教育費がかさみ貯蓄が増えない
40歳、年収が200万円ダウン。教育費と老後資金が心配
40歳パート主婦。4人の子どもの教育費をどう貯める?
33歳月収17万、貯金20万円。家族3人で生活が苦しい