1960年にタイムスリップ。「タイムビストロ」
夜は橙の明かりが灯る
今回紹介する「タイムビストロ」は、ベトナムでは珍しいサイゴン時代に還れるレストラン。サイゴンとはホーチミンの旧称であり、ベトナム戦争で南北統一が果たされる前の、南ベトナムの首都の名称でした。現在でもホーチミン市内の至るところでサイゴンという文字が見られます。南ベトナムはフランス領インドシナ時代にフランス文化を色濃く受け継ぎました。その古き良き時代を目と肌と舌で体感できるのが、タイムビストロの最大の特徴です。
現地人にも人気
場所はホーチミン観光のメインストリートであるグエンフエ通り。2015年初頭に歩行者天国になって以来、お洒落なカフェやレストランが立て続けにオープン。タイムビストロもその波にのっかった形です。サイゴン時代というコンセプト柄、客層はいまのところ現地のベトナム人が多いとのこと。
サイゴン時代を随所に感じる
サイゴンは華々しさの中に素朴が感じられる時代
店内の壁にはウォールアートが描かれています。すべて1960年サイゴン時代の描写です。フランス文化が流入し、華やかな生活をおくる富裕層が多く占めたサイゴン。人々はお洒落な洋服に身を包み、カフェでドリップコーヒーを飲む。その一方、いまほど町は混み合っておらず、素朴で静かな町並みが続いていました。ベトナム伝統の漆塗りのテーブルチェアもオーナーこだわりのオーダーメイド品。そのほか、60年代の南ベトナムの地図もかけられています。
静かに落ち着きたい方は2階席へ
ウォールアートには現在でもホーチミン観光の名所としてお馴染みの聖母マリア教会やベンタイン市場、コンチネンタルホテルなどがあります。これらもすべてサイゴン時代に作られた建物。コンチネンタルホテルは、フランス領インドシナ時代を舞台にした映画やドラマにおける定番のロケ地です。
自然素材を活かしたサイゴン料理を堪能
料金もリーズナブルなのが嬉しい
南ベトナムは今も昔も食料は非常に豊富でした。メコンデルタ地方で獲れる川魚をはじめとした魚介、どこまでも広がる田園地帯で収穫できる米や野菜、水牛や豚、鶏といった家畜、北ベトナムと比べると、当時はすべてが豊かでした。タイムビストロで楽しめる料理は、天然素材を活かした料理がメイン。鮭の土鍋煮(Ca hoi Kho to/22万ドン)や鶏肉のレモングラス和え(Ga chien sa/11万ドン)、ナスと刻み葱のヌクマムソース(Ca tim m hanh nuoc mam/8万ドン)など、単品の素材に風味を付けたシンプル料理が中心。
ドラゴンフルーツはメコンデルタ地方が特産
サイゴン料理の他には、タイムビストロ限定のオリジナル料理も人気。写真右はトムワサビ(Tom wasabi/22万ドン)と名付けられた一品。メコンデルタ地方で獲れるドラゴンフルーツは南国果実の代表。実を一口サイズにカットして日本のワサビとマヨネーズでソースを作り、むき海老と和えました。ここでしか食べることができないおすすめ料理です。
サイゴンの時代をよく知らないという方も多いでしょうが、ベトナムがまだ発展する前の素朴な町を映した内装のレストランとして楽しむことができるはずです。ディナータイムはグエンフエ通りの雑踏を目下に望める2階席がおすすめです。家族、友人、恋人と来る人を問わない、ベトナム旅行で押さえておきたいおすすめレストランとなります。
<DATA>
■タイムビストロ (Time bistro)
住所:44 Nguyen Hue St. Dist.1. Ho Chi Minh
営業時間:10:00~24:00
TEL:08 6660 5051
休日:無休