年明けから初春にかけて秩父に創作される氷の芸術

毎年晩秋になると北から雪の便りが届きます。雪に囲まれた暮らしは不自由に感じられることもありますが、一面銀世界の景色には日本の四季の情緒がみなぎります。都心も一冬に数回は雪化粧をまといます。綿のような雪で覆われた土も天候が回復すればあっという間に元の色をとり戻してしまいます。ところが首都圏でも気温の低い埼玉県の秩父地方には初春まで、冬の絶景・氷柱(つらら)を楽しめるスポットがあります。三十槌(みそつち)や芦ケ久保(あしがくぼ)には、雪の少ない南関東では特に珍しい氷のアートが創作されるのです。

岩肌からしみ出た石清水が作り上げる氷のアート「三十槌の氷柱」

秩父鉄道の三峰口駅から西武観光バスの秩父湖行きに乗車すると、「つららの見学場所」という停留所があります。夏には涼を求める人々で賑わう「ウッドルーフ奥秩父オートキャンプ場」のすぐ横に冬季限定の停留所が設置されます。キャンプ場真下の荒川沿いの岩肌は、寒気に包まれると自然の氷柱で埋め尽くされるのです。

ウッドルーフ奥秩父オートキャンプ場から河原に向かう坂道

ウッドルーフ奥秩父オートキャンプ場から河原に向かう坂道


三十場集落と槌打集落に挟まれる河原の絶景は、「三十槌の氷柱」と呼ばれています。気温が零度を下回るようになると川岸の岩肌からしみ出る石清水が凍り始めるのです。新年を迎える頃にはシダレヤナギが何本も立ち並んだような広がりを見せます。

三十槌の氷柱に繋がるキャンプ場からの坂道

三十槌の氷柱に繋がるキャンプ場からの坂道


地球の重力によってできる柱はどれも垂直に地面に向かい、先端は切っ先鋭い針のように尖っています。清潔感がみなぎる無色透明の柱は、太陽の光を受けて七色に輝きます。おじいさんの髭に見えたり、猛獣の牙に見えたり、幅約30メートルの川岸はキャンバスのようです。人の手を加えることのない自然がアーティストとなって、オリジナリティー溢れる造形美を産み出しているのです。

約30メートルの岩肌がキャンバスとなる三十槌の氷柱

約30メートルの岩肌がキャンバスとなる三十槌の氷柱


2月に入るとさらに成長し、長さは10メートルを超える年もあります。例年1月上旬から2月下旬にかけて、大滝氷まつり(2016年は1月9日(土)~2月21日(日))が開催されます。期間中には夜間のライトアップ(2016年は1月16日(土)~2月14日(日)平日は17時~19時、土・休日 17時~21時)が行われ、日中とは異なったファンタジックな景観を創り上げます。

七色に光輝く無色透明の氷の柱

七色に光輝く無色透明の氷の柱


暖をとるのにぴったり囲炉裏端では、秩父の名物も

岩肌が凍りつく世界を巡ると、どうしても体は冷えてくるものですが、キャンプ場には囲炉裏が設けられ暖をとることができます。囲炉裏端の露店では、お土産にぴったりな、みそやしゃくし菜漬けなどの秩父の名物が販売されています。

キャンプ場に設けられた囲炉裏

キャンプ場に設けられた囲炉裏


秩父の名物を販売する囲炉裏端の露店

秩父の名物を販売する囲炉裏端の露店


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住所:埼玉県秩父市大滝4066-2
アクセス:秩父鉄道三峰口駅で西武観光バス・秩父湖行きに乗り換え、「つららの見学場所」下車
地図:三十槌の氷柱

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