『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』
1月9日~10日=まつもと市民芸術館、1月15~17日=シアターBRAVA!、1月23~24日=キャナルシティ劇場、2月3~11日=Bunkamuraシアターコクーン『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』撮影:細野晋司
1964~69年までNHKで放映された、山元護久さん、井上ひさしさん作の人形劇『ひょっこりひょうたん島』。遠足で訪れたひょうたん島が漂流を始めてしまい、サンデー先生と子供たちがあちこちで繰り広げる冒険物語は、かわいらしくユーモラスなビジュアルとは裏腹のシュールでドライな世界観が、多くの人々を魅了しました。
『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』撮影:細野晋司
『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』撮影:細野晋司
【観劇ミニ・レポート】
「トイレに入れ歯のお忘れ物がありました」等、人を食ったような場内アナウンスに続いて始まる舞台。光をあてると薄く向こう側が透けてみえる板に囲まれたステージには、荷物を持った人々がとりとめのない台詞をしゃべりながら登場、マシンガン・ダンディが井上芳雄さん、サンディ先生が安蘭けいさん等おおまかな役割はあるものの、舞台は原作のエピソードをなぞるというより、カラフルな出演者たちが奇妙な椅子取りゲームを始めたりそれぞれ体を開放して歌い踊ったりと、抽象的に展開して行きます。
『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』撮影:細野晋司
『音楽劇 星の王子さま』
1月16~17日=兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール『音楽劇 星の王子さま』写真提供:水戸芸術館
1943年に刊行以来、世界的に愛され続けるサン=テグジュペリの『星の王子さま』。平易な文章で書かれながら、その内容は人生についての示唆に満ち、子供のみならず大人たちの間でも広く読まれています。映画版、アニメ版も数多く作られ、日本でも音楽座のミュージカル版等たびたび舞台化されていますが、今回は青木豪さんの脚本・演出、笠松泰洋さんの作曲・音楽監督による音楽劇版が誕生。昆夏美さんの王子様、伊礼彼方さんの飛行士、廣川三憲さんの飛行士の親友役にピアノとコントラバスというシンプルな編成で、作品のメッセージが豊かに描き出されそうです。
『音楽劇 星の王子さま』写真提供:水戸芸術館
不揃いの台を集めたミニマリスティックな舞台に作者(サン=テグジュペリ)の友人(廣川三憲さん)が現れ、自分にあてて書かれた本を紹介する形で、物語は始まります。砂漠に墜落し、飛行機を修理中の飛行士(伊礼彼方さん)の前に唐突に現れた少年(昆夏美さん)は、「羊の絵を描いて」と言い出し、彼が渋々描く絵にいろいろと注文をつける。砂漠の迷子なら「喉が渇いた」とでもいうところを、この少年はなぜ羊の絵を求めるのか? ありえない展開に戸惑いながらも、徐々に物語の世界に引き込まれる飛行士。少年は実は別の星からやってきた王子様だと言い、これまで訪れた星での様々な人々(生き物)との出会いを語り始めます。それらははじめ他愛無い物語に聞こえますが、やがてそこには人生についての深い洞察が潜んでいること、そして王子がかけがえのない存在であることに飛行士は気付く…。
『音楽劇 星の王子さま』写真提供:水戸芸術館
『音楽劇 星の王子さま』写真提供:水戸芸術館
*次頁で『ピアフ』以降の作品をご紹介します!