子供の言うことがコロコロ変わる心理
子供にリクエストされると、ママはついはりきってしまうけど…
- お子さんに「○○を食べたい~」とせがまれたので、「じゃあ、明日の夕飯に作ってあげる」と約束したものの、いざ作ったら、全然食べてくれない
- ケーキ屋さんでは、チョコレートのケーキを選んだのに、おやつの時間になったら弟が選んだイチゴのケーキの方が食べたくて泣いてしまった
カナダの実験で分かる「子供の言うことがコロコロ変わる理由」
この実験は、3~7歳の子供たち90人を対象に行われました。まず実験のスタート時に、みんなにリンゴジュースを飲んでもらいました。そして、のどがうるおった状態で子供たちに次の質問をしました。「スナック菓子と水、今はどっちが欲しい?」
約8割の子が、「スナック菓子」と答えました。
その後、読み聞かせをする間、子供たちにスナック菓子を配り、食べながら、物語を聞いてもらいました。そして、読み聞かせが終わった段階で、実験者は子供たちに次の質問を投げかけました。
「明日、またここに来てもらおうと思っているんだけれど、明日の読み聞かせのときは、スナック菓子と水、どちらを用意しておけばいいかな?」
すると、今度は約7割の子が「お水」と答えました。
その直後、子供たちに水を配り、それを飲み干してもらい、再度、同じ質問をしたのです。
「明日、またここに来てもらおうと思っているんだけれど、明日の読み聞かせのときは、スナック菓子と水、どちらを用意しておけばいいかな?」
すると、今度はほとんどの子が「スナック菓子」と答えたのです。
子供って意外と現実的!?
質問に答えてもらった際、選んだ理由を聞くと、子供たちはこんな風に答えたそうです。「お水がいい。だって水の方が健康的だから」
しかしその数分後には、
「スナック菓子がいい。だって水のボトルを開けたくないもん!」
わずか数分の違いで、真逆の答えを出し、しかも理由づけに筋が通っていなくても全然気にしない、なんとも子供らしいですよね。
この実験データを読んで、「わかる、わかる」と思われた方も多いのではないでしょうか? 今回の実験で分かったのは、少なくとも7歳くらいまでは、「今」の状態から未来を見ているということです。つまり、現状を抜きにして、純粋に未来を想定するのは、まだ難しい年齢なのです。
だから、「今日の夜ごはん、何がいいかな?」という質問をすると、あくまで「今のお腹」での答えが返ってくるというわけです。
ママが激昂する回数を減らすヒントに
大人は、何が起こるかを予測し、先回りして考えることができます。たとえば、「来週は健康診断だから、今週はおやつ抜きにしてダイエット」
「明日は雨予報だから、今日のうちに買い物を済ませてしまおう」
のように。これらをすべて実現できるかは別として、”計画“するのは得意ですよね。だから、子供に対してもつい先を見越した要求をしてしまいます。
「あと1時間でごはんだから、おやつはもうがまん」
「明日は朝早く起きるんだから、今日は早く寝るよ」
でも、子供たちはきっとこう返答するに違いありません。
「ちゃんとごはんも全部食べるから、おやつも食べて大丈夫。お菓子ちょうだい!」
「ちゃんと明日早く起きれるもん。だから、テレビ見ていいでしょ?」
子供はあれこれと想像を膨らませるのは得意ですが、先々の状況を踏まえた想定をするのはまだ難しいのです。「現状抜きには語れない」、それがコロコロと言うことが変わる理由です。
日々のお子さんの発言も「今の欲求」がベースになっていると理解しておけば、ママが「さっきそう言ったじゃない!」と激昂する回数が減るかもしれません。
*出典:Infant and Child Development (2015). 「Young Children Have Difficulty Predicting Future Preferences in the Presence of a Conflicting Physiological State」より
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