確定申告時に控除が受けられる公的年金の保険料をみていきます
<INDEX>
・公的年金と税金~保険料負担時
・公的年金と税金~老齢年金受給時
・国民年金基金と税金
公的年金と税金~保険料負担時
はじめに、公的年金の保険料と税金との関係をみていきましょう。公的年金は社会保障制度の1つで、財政方式は賦課方式をとっています。これは、現在の現役世代の保険料をもとにして現在の高齢者世代の年金給付を支えているというものです。いわば、社会全体で仕送りを行うという社会的扶養を行っている制度であるといえます。したがって、支え手である現役世代が保険料をきちんと納付することは社会全体にとっても自分自身にとってもとても重要です(参考HP:年金ペディア)。
このような公的年金制度ですから、税制上の優遇措置があります。具体的には、2015年中に納付した国民年金の保険料は全額が社会保険料控除として所得控除の対象になります。自営業者やフリーランスにとっては、税制優遇措置は大きいでしょう。2015年分の自分の保険料以外にも以下のような保険料を申告時に合算することができます。
1.前納保険料
2014年4月から国民年金の保険料は2年分まで前納できるようになりました。2年分の前納保険料は、納付した年にまとめて所得控除を受けるか、各年分の保険料を年ごとに分割して所得控除を受けるか選択することができます。
分割して所得控除を受ける場合は、3年分に分割して所得控除を受けます。例えば、2015年4月に2年分(2017年3月分まで)の保険料を前納すると、2015年分の所得控除の対象となるのは2015年4月から12月までの9ヵ月分の保険料になります。また、日本年金機構から送付される控除証明書は2年分の前納保険料が記載されているので、自分で「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書(平成27年前納者用)」を作成しなければなりません。用紙は日本年金機構のHPからダウンロードするか、年金事務所で入手することができます。この用紙に各年分の控除額等を記入し、控除証明書(原本)を添付して確定申告時に提出します。
2.追納・後納した保険料
2015年中に、学生納付特例制度で納付猶予された保険料を追納したり、保険料後納制度を利用して未納保険料を後納した場合は、納付した保険料の全額が所得控除の対象となります。
3.生計を同じくする家族の保険料
生計を同じくする配偶者や子どもの保険料を代わって負担した場合、自分の保険料と合算して所得控除を受けることができます。なお、子どもについては進学のため自宅を離れている場合でも、仕送りなどで親が扶養しているのであれば生計を同じくしているとみなされます。
国民年金の保険料で所得控除を受けるには、日本年金機構から送付される社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の原本を添付しなければなりません。 毎年11月に日本年金機構から郵送されますが、紛失してしまった場合は年金事務所やねんきん定期便・ねんきんネット等専用ダイヤル(0570-058-555)に電話して再発行してもらうことができます(専用ダイヤルの設置期間は2016年3月15日まで)。なお、再発行の手続きには年金手帳など基礎年金番号のわかるものが必要となります(控除証明書再発行の詳細は日本年金機構のHPをご覧ください)。電話で再発行を依頼した場合は再発効までに1週間程度かかるので、早めに手続きしましょう。なお、国民年金基金に加入し、国民年金の保険料と国民年金基金の掛金が一緒に口座引き落としされている場合でも、控除証明書は別々に発送されます。