子供への食べ物の口移しで、虫歯菌、ピロリ菌がうつる!?

お母さんにスプーンで食べさせてもらう赤ちゃん

虫歯菌だけでなくピロリ菌にも注意!

おじいちゃんやおばあちゃんが孫に口移しで食べ物を与える光景。今でもたまに目にすることがありますが、医学的には良いものではないとされています。「昔からやってきたが、今まで何の問題もない!」とおっしゃる方もいるかもしれません。しかし、虫歯菌の感染はもちろん、子どもの将来の胃がんリスクに関わっている可能性があるのです。「口移し」が危険視される要因や感染してしまった場合に現れる症状、検査方法について解説していきます。

まずはピロリ菌の感染について。「虫歯菌」が口移しで感染するということは常識ですが、「ピロリ菌」も感染する可能性があるため注意しなければなりません。若い人のピロリ菌保有率は低いのですが、高齢者のピロリ菌保有率は80%以上とも言われています。ピロリ菌は衛生状態が悪かった時代の飲食物の影響も大きいのですが、子どもへのかわいがりの影響も大きいとされているのです。

親から子へ、祖父母から子へ、口移しでピロリ菌が感染していった可能性も高いとされています。ピロリ菌が胃に定着しやすいのは免疫の仕組みが十分成立していない3歳未満。成人だと感染する可能性は低いのですが、小さなお子さんはピロリ菌が居ついてしまう可能性が高いとされています。

孫と触れ合う機会の多いおじいちゃんおばあちゃんはピロリ菌の除菌を考えてもいいかもしれません。抗生物質2種類と胃薬1種類のセットを1週間飲むだけで除菌できます。ただし、通常除菌を行う前には、内視鏡検査で胃がんなどの問題がないことと、ピロリ菌感染胃炎の確認が必要になります。また、ピロリ菌がいなくなると胃酸が多く出て、胸焼けなどの胃食道逆流症の症状が出ることがあるということは留意しておいたほうが良いでしょう。胃がんとピロリ菌に関しては、「胃がんの主因はピロリ菌!ピロリ菌の治療適応と治療法」で詳述していますので、ぜひご覧ください。

子どもがピロリ菌感染しているかを調べる方法は?

現代の子どものピロリ菌感染率は、10歳代で5%ほどと言われています。感染しても自覚症状はほとんどありませんが、原因不明の腹痛や貧血を起こすことがあります。心配な場合は一度医療機関に相談してみるといいかもしれません。

ピロリ菌を調べる方法は、胃カメラをした際に調べる検査の他に、薬を飲んだ後の吐く息で調べる「尿素呼気試験」、血液や尿の抗体を調べる「抗体検査」、糞便中の抗原を測定する「糞便抗原検査」というものがあります。

ピロリ菌の検査は尿や血液を用いて簡単にできますが、薬剤投与の安全性などからあまり早い時期の除菌は勧められておらず、日本小児科学会では中学生以降の除菌を勧めています。万が一ピロリ菌に感染していても、20歳~30歳代までに除菌すればほぼ100%胃がんを抑制できるので、焦って除菌する必要はありません。

また、内視鏡検査を受けない場合は、ピロリ菌治療は保険外診療となります。自由診療の場合は、血液や尿の抗体検査で3000円、除菌薬は8000円ぐらいのところが多いようです。自由診療は医療機関によって料金が異なりますので、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。自治体によっては、中学生にピロリ菌検査(おもに尿中抗体)や除菌を公費で行っているところもあります。

菌は過剰に恐れるべからず! 適度なスキンシップも必要

元気な子供

菌を過剰におそれる必要はありません

ここまで口移しの注意点をご説明しましたが、菌自体を過剰に恐れる必要はありません。3歳を超えたら免疫が確立するので、ピロリ菌にも虫歯菌にも感染する可能性は低くなります。念のため5歳ぐらいまでは口移しに注意をしておいた方がいいですが、キスぐらいではうつりません。

また、口の中の菌には要注意ですが、他の菌にはある程度触れ合うことが大切です。泥んこ遊びなど菌と触れ合うことで、アレルギーが少なくなるということも報告されています。子どもとのスキンシップは、お互いの菌を交換することで抗体が作られ、免疫力が上がるという効果もあります。お母さんお父さんはもちろん、おじいちゃんおばあちゃんなどと積極的にスキンシップを行い、免疫力を上げていくように心がけると良いでしょう。
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