胃癌の主因はピロリ菌

ピロリ菌

ピロリ菌はやはり胃がんの主因だった!

世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、2014年9月「胃がんの80%はピロリ菌感染が原因で、除菌によって胃がん発症を30~40%減らせる」との報告書をまとめました。

IARCは1994年にピロリ菌感染を胃がんの発症要因に分類していましたが、主要因と明言したのは今回が初めて。前回の発表から実に20年ぶりのことになります。報告書によると、全胃がんの78%、胃の入り口(噴門部)以外の胃がんでは89%がピロリ菌の慢性感染が原因と推測されています。

以上のように、ピロリ菌は胃がんの主要因であることが明らかになりました。日本人のピロリ菌感染率は非常に高く、50歳以上では70%以上が感染しているといわれています。胃がん予防のためにピロリ菌は除菌しましょう。では、医療保険でピロリ除菌ができる疾患にはどのようなものがあるでしょう。

ピロリ菌の除菌適応(2013年からピロリ感染胃炎も保険適応に!)

以前はピロリ菌がいるだけでは除菌治療を保険で行うことができず、患者さんの自己負担もかなり大きなものでした。しかし、2013年2月よりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎も保険適応となり、除菌治療のハードルがグッと下がりました。

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は内視鏡検査で確認できます。ピロリ菌がいれば胃の粘膜が萎縮する萎縮性胃炎となることが多く、ピロリ菌の存在が推測できます。萎縮性胃炎ならばピロリ菌を検査で確認して、陽性ならば除菌適応です。胃炎の他、胃潰瘍など他の疾患でも除菌適応があります。

■ピロリ菌の除菌適応の疾患

  • 内視鏡検査で、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と診断された患者さん
  • 内視鏡検査または胃透視検査で、胃潰瘍または十二指腸潰瘍と診断された患者さん
  • 早期胃がんに対する内視鏡治療後の患者さん
  • 胃MALTリンパ腫の患者さん
  • 突発性血小板減少性紫斑病の患者さん

ピロリ菌を見つける検査方法

萎縮性胃炎があれば、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認するためピロリ菌の検査を行います。ピロリ菌を見つける検査方法には大きく分けて、内視鏡(胃カメラ)を使う方法と使わない方法があります。

<内視鏡を使う方法>
血液検査

血液検査や吐く息からでもピロリ菌の検査は可能です

  • 迅速ウレアーゼ法
    ピロリ菌がもつウレアーゼの活性を利用して調べる方法です。採取した胃の粘膜を特殊な反応液に添加し、反応液の色の変化でピロリ菌の有無を調べます。内視鏡検査後60分以内に判定が可能です。
  • 培養法
    胃の粘膜を採取してすりつぶし、培養して調べます。
  • 組織鏡検法
    顕微鏡でピロリ菌がいるかを調べる方法です。

<内視鏡を使わない方法>
  • 尿素呼気試験法
    呼気(吐き出した息)を採取して調べる方法です。診断薬を服用し、ピロリ菌がもつウレアーゼという酵素のはたらきで作られる二酸化炭素の量を調べます。
  • 抗体測定法
    血液中や尿中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べる方法です。
  • 抗原測定法
    糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べる方法です。

ピロリ菌の除菌方法

ピロリ菌の除菌方法は内服薬を飲むだけです。抗生剤2種類と胃薬1種類を1週間内服した際の除菌成功率は75%となっています。1回目でうまくいかなかった場合は抗生剤を変更して、再度1週間内服します。2回目の除菌療法までで成功率は95%になります。

尚、現時点で保険の適応とされているのは二次除菌までとなっています。二次除菌まででほぼ除菌可能なので過度に心配することはないでしょう。

健康診断で「胃がんのリスク」がわかるABC検診という方法も

医療従事者

「ピロリ菌感染」と「胃の健康度」がわかるABC検診という方法もあります

最近、いろいろな自治体でも行われるようになっているABC検診(胃がんリスク検診)では、血液検査だけで「ピロリ菌感染」と「胃の健康度(胃粘膜萎縮の程度)」を判定することが可能です。この組み合わせを確認することにより胃がんのリスクを判定できます。

ピロリ菌は除菌をすることで、胃がんの発生を3分の1に減らせる可能性があります。中高年以上のかたは一度ピロリ菌感染の有無を調べてみるといいでしょう。

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