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おカタい話がすらすら読める物語風ビジネス書5選

今年こそはビジネス書に手を伸ばして見ようと思いつつも、結局いまひとつおカタいイメージに勇気が出ないあなた。軽く読めてためになる、物語風ビジネス書はいかがでしょうか。00年以降世間を賑わせたベストセラー作も多くあります。まずは手始めに、読みやすい物語風ビジネス書から。おすすめの5冊を紹介します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

気軽に読める、おすすめのビジネス書

ビジネス書にチャレンジしたいけれど、結局いまひとつおカタいイメージに勇気が出ない人も多いのではないでしょうか。じつはビジネス書と言っても難しいものばかりではありません。今回は、軽く読めてためになる、物語風ビジネス書を5冊紹介します。00年以降世間を賑わせたベストセラー作も多数ありますよ。

チーズはどこへ消えた/スペンサー・ジョンソン(扶桑社)


この手の物語ビジネス書のハシリとも言えるのがこの著作。アメリカの医師で心理学者でもあるスペンサー・ジョンソン氏が著した大人の童話と言える作品です。日本では00年に発行され、360万部を売り上げる空前の大ヒットとなりました。最近、新聞広告で本作が紹介され、あらためて注目の兆しが見えています。

物語の主人公は2匹のネズミと二人の小人。迷路の世界を歩き回ってチーズを探していた2匹と2人は大量のチーズを見つけますが、ある日そのチーズが消失してしまいます。そこからの2匹と2人と行動の違いが、この物語のポイントになっています。

変化の存在を知ること、変化を察知しすばやく対応に動くこと、自ら変化する恐怖を乗り越え冒険を楽しむことなどがこの物語を通じて強く訴えかけられてきます。バブル崩壊、金融危機後の日本で受け入れられた著作ですが、今また新たな時代の動きで再注目されているのではないでしょうか。

同じ著者の第二弾「頂きはどこにある(扶桑社)」は、あらゆるところに存在する「山と谷」を取り上げています。山も谷も考え方と行動次第でどうにでもなる、ということがポイント。第一作とあわせて読みたい作品です。


バターはどこへ溶けた/ディーン・リップルウッド(道出版)


「チーズはどこへ消えた」の大ヒットで、似たような作品が大量に世に出たのですが、これはその中ではかなり読み応えのある一冊です。装丁、厚さ、価格まで、「チーズは…」とほとんど同じと言う、この本の紹介者も認めるどこから見ても二番煎じですが、実際にはこちらの話の方が古いのだとか。中身には少しばかりひねりが効いています。

こちらは二匹のキツネと二匹の猫が登場します。四匹が協力して大量のバターを見つけ、しばらくするとそれが消えてなくなることころまで、「チーズは……」と同じ具合に話は進みます。そこからは四匹四様の展開。

バターに支配されたキツネのような見せかけの裕福な生活が本当に幸せなのか、猫が猫らしく生活できることの幸せこそが本当の幸せなのではないかと、読者に投げかけて終わる物語です。至極単純なストーリーから、自分が仕事中心の生活を通じて本当に大切にすべきものは何であるのか、考えさせられる一冊と言えます。


なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?/パコ・ムーロ(ゴマブックス)

少し毛色を変えて、童話的ではないもののストーリー仕立てで、マネジメントのヒントを与えてくれる一冊です。著者は、大手コンサルタント会社の会長。豊富なコンサルティング経験に基づいて、マネジメントのヒントになるアドバイスをショート・ストーリー仕立てで教えてくれるのです。

全編13話構成。それぞれ登場人物が異なり、ある物語は童話仕立ての書籍と同様に動物が主人公として描かれ、またある物語は経営者を主人公として書かれています。どれも10ページ足らずの短いストーリーですが、マネジメントで役に立ちそうな示唆に富んだお話が展開されます。

書籍のタイトルにもなっている「なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?」の項では、マネジメントをゴルフになぞらえて次のように書かれています。(1)まず目標を定め最もふさわしいクラブを選ぶ(目標の設定と経営資源の選定)、(2)スタンス、グリップ、フォームをすべてバランスさせる(チームワークの重視)、(3)スイング終了まで顔を上げない(結果に対する不安の払拭)、(4)トレーニングと再教育(経営管理の改善)……。

例えとして分かりやすく興味深い記述を通じて、経営者、管理者が普段通り過ぎてしまいがちなことに、改めて気づかせてくれる一冊です。この書籍も07年の発表時にベストセラーになり続編「なぜ、エグゼクティブは書けないペンを捨てないのか(ゴマブックス)」が出されています。つくりは「なぜ、ゴルフ……」とほぼ同じ短編集です。こちらもおもしろいテーマが目白押し。興味を持たれた方には、併せて読まれることをお勧めいたします。


マンデー・モーニング・リーダーシップ/デビッド・コットレル(東洋経済新報社)

 

パコ・ムーロ氏の書籍に似たトーンで、全体をワンテーマでくくったストーリーものです。サブタイトルにが「スランプから脱出するための8回の月朝ミーティング」とあり、管理職として悪循環にはまり自身を失った主人公が、財界リーダーでビジネス・コーチングのコーチでもある人物との毎週月曜朝の8週間のミーティングを通じて、見事にリーダーとして立ち直るというストーリーです。

8回のミーティング各回のテーマは、(1)ドライバーと同乗者の違い、(2)一番重要なことからぶれない、(3)管理側の世界から抜け出す、(4)「正しいことを行う」ルール、(5)厳しい目で人を採点する、(6)やることを減らすか、もっとてきぱきやる、(7)バケツとひしゃく、(8)学びの領域に入る、となっています。

毎回のテーマごとに、主人公とコーチのやり取りを通じて解決のヒントが与えられ、また次回に向けての宿題も出されます。読者は読んだ内容を自分の問題に置き換えることで、セルフコーチングのヒントを与えてもらう、そんな書籍であると言えるでしょう。ストーリー仕立てであるがゆえの、一般的なチーム・マネジメント本とは一線を隔する読みやすさが特徴。管理者として、リーダーとして、悩みを抱えている人におすすめの一冊です。


フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方/スティーヴンCランディン(早川書房)

組織活性化について物語を読むことで多くのことを学べる書籍です。女性主人公が管理者を任された、活気なく、やる気なく、だらしない金融機関の裏方セクションの変革に手を焼いていた時に、たまたま通りがかった魚市場の異様な盛り上がりと活気に魅せられます。魚市場の皆が楽しく仕事をしている姿からヒントを得て、自分の職場を生まれ変わらせるという物語です。

舞台は、パイク・プレイス魚市場と言う実在する市場であると言うところが、組織活性化のポイントが現実味を帯びて伝わる臨場感あふれる描写につながっています。物語で語られるポイントは、(1)態度を選ぶ、(2)遊ぶ、(3)人を喜ばせる、(4)注意を向ける、の4点。どれもあっけいないほど簡単なことで、改めて当たり前なことがいかに重要であり、それができていない職場がいかに多いのかが、実感として伝わってくるのです。

本書はもともと、職場活性化をテーマとしたビデオ映画「フィッシュ!」として作られたものが書籍版化されベストセラーになりました。元が映像だけに、ドラマを見ているかのような展開がとても楽しく、引き込まれること請け合いです。筆者はこう言っています。「仕事を愛するようになると、限りなく幸せになり意義ある充実した毎日をすごすことができる。これはあなたの組織にもおこりうるラブストリーなのだ」。言い得て妙な表現ではないでしょうか。


おカタいビジネス書にはなかなか手が伸びないという皆さんこれを機に気楽に読めてためになる物語風ビジネス書に手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
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