<目次>
「甘い体臭」の原因は?
「甘い体臭」の原因は
東洋医学の基本的な考え方である陰陽五行説では、体臭を「脂臭い、焦げ臭い、甘ったるい、生臭い、腐ったような」の5種類のニオイに分類して考えます。これらは、東洋哲学の5元素である五行、木・火・土・金・水に対応しており、各種臓器・器官とも密接に関係しています。
甘ったるいようなニオイは、五行の「土」に対応したニオイで、胃やすい臓の機能が低下すると発生するとされます。また季節では土用、つまり季節の変わり目に発生しやすいとされています(土用:立春、立夏、立秋、立冬の前の、約18日間)。
血糖値が高くなると、皮膚にも糖が漏れ出てくる!?
糖尿病とは、高濃度になり過ぎた血糖(ブドウ糖)が、腎臓から溢れ出て尿に出てしまう病気のこと。糖尿病になると血糖値が空腹時でも高く、血液中の糖が汗や様々な分泌腺から皮膚表面に漏れ出てきます。また糖を上手く代謝できなくなり、脂肪をエネルギー源として使うようになると、副産物としてケトン体が発生して、これが何ともいえない甘ったるいようなニオイを発生する原因となるのです。
糖分を多く摂る人も要注意! 糖は様々な皮膚常在菌の餌になりやすいので、皮脂やそのほかの分泌物や汚れを皮膚常在菌が食べ、不快なニオイのもととなる排泄物を大量に生産することになり、様々なニオイが複合して起こる可能性も大きくなります。
もし糖尿病でもないのに、甘ったるいような体臭が気になったら、次のポイントをチェックしてみることをオススメします。
甘い体臭のチェックポイント1:食べ物
血糖値
糖分の高い食べ物を習慣的にとる人の血糖値は、まるでジェットコースターのように、乱高下を繰り返します。その結果、インスリンを分泌するすい臓は疲弊し、血糖のコントロールが悪くなります。これが甘ったるい体臭の原因になるのです。
甘い体臭のチェックポイント2:胃の調子
胃は食べ物が最初に入る臓器で、全ての代謝の始まりに位置します。胃の不調はやがて必ず全身の不調につながります。糖分の多い食べ物を摂ると、急激に血糖値が上がるため胃は十分に消化ができたと勘違いして、消化活動を止めてしまいます。これを「糖反射」といいますが、実際には食べ物は胃に残っており、胃を弱らせる原因になります。また、糖分が多い食べ物を摂ると、胃酸が過剰に分泌され、これも胃に悪影響が。生来胃腸にあまり自信がない方は特に要注意です。
甘い体臭のチェックポイント3:すい臓の機能
最近は甘いものを食べても太らないと喜んでいるあなた、激やせしたのをストレスや年齢のせいだと思っているあなた、ダイエットが成功したと信じているあなた、要注意です。もしかしたら、すい臓の機能低下が始まり、全身の代謝に異常が発生しているかもしれません。糖代謝が上手くいかず、脂肪や筋肉を燃料として体を維持している状態かもしれません。
このような人は脂肪を燃料にしたときにできるケトン体の特徴的な甘ったるいニオイがしますし、筋肉から糖原性アミノ酸が持ち出されて分解されると、アミノ酸臭を含んだ「飢餓臭」がし始めます。激やせややつれがあり、甘ったるいような体臭がしたら、すい臓機能を疑ってください。
これまで見てきたように、体臭は体が発している危険信号であり、悲鳴でもあります。
甘い体臭の解消ポイント1:減糖対策
甘いものの食べすぎに注意!
高血圧対策として「減塩」というのがありますが、「減糖」もそれと同じ考え方です。紅茶やコーヒーには砂糖を入れずに飲んでみましょう。強い甘さに慣れた舌には、最初は物足りないかもしれませんが、しばらく続けると舌が慣れてきて、お茶などの素材の本来の美味しさがわかってきます。甜茶、ハーブティー、甘酒など砂糖を入れなくても、自然の甘さを楽しめるものを飲むのも良いでしょう。
また、ケーキや和菓子はたまにして、普段はさつまいも、栗など自然の甘みがあるものを食べ、微妙な甘さを楽しめる舌を育てるのも方法です。自然な甘さを楽しむ感性を磨くことが、甘ったるいような体臭の対策でもあり、食生活を豊かにすることでもあるのです。
甘い体臭の解消ポイント2:胃を整える
胃が悪くなるとストレスに弱くなり、イライラしてきますし、情緒も不安定になりがちです。東洋医学では「医(薬)食同源」という言葉があり、医薬品やサプリメントを飲まなくても、食素材を上手に利用することで薬以上の効果が得られることがあります。
東洋医学では、食品の自然な甘みは、胃やすい臓を癒す働きがあるとされます。野菜類を薄味でゆっくり煮込んだ料理は自然の甘みとともに、ミネラル分やアミノ酸もスープに溶け出しており、胃を温めて整える働きがあります。このとき使う野菜類はできれば有機栽培の方がミネラル分やビタミンもリッチで効果的です。自然の素材を楽しむ感性を育てましょう。
甘い体臭の解消ポイント3:土に接する
五行の「土」とはもともとは「土壌」の意味です。土が胃とすい臓を癒すとされるのは、土からとれた野菜類という意味もありますが、土そのものの意味もあります。大分話が飛躍したようですが、実は土とニオイは密接に関係しています。嗅覚を司る脳の部位は大脳辺縁系にあり、すぐ近くに感情を司る部位があります。つまりニオイと感情はダイレクトにつながっているのです。そしてこの感情が土と密接に関係しているのです。
私たち人間は進化の過程で土と密着して生きてきたため、土や木を見たり、触ったりすると、本能的に安堵感を得るようにできています。土も木もブラウンまたはベージュ(黄土色)で、この色は心を落ち着かせる働きがあります。家具や調度、壁などにブラウンやベージュが多いのはこのためです。
土いじりのことをグランディングといって、精神を落ち着かせるといわれます。精神と肉体、特に胃とすい臓は感情と密接な関係があります。忙しい中にも、自然や土と触れ合う機会を作るのも、ニオイを解消する大事な一要素といえるのです。
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