蚊はどんどん増えている?

年々地球温暖化が進む中で、通常の蚊に加えて、デング熱を媒介するヒトスジヤブカなども増えて、社会問題になっています。恐ろしい感染症もそうですが、そもそも蚊に刺されるのは誰でもイヤなものです。

ところがどうも、一緒にいても蚊に刺されやすい人と、比較的刺されにくい人がいるようなのです。あなたがもし蚊に刺されやすいタイプだとしたら、是非この記事を読んで対策することをお勧めします。
 

蚊に刺されやすい人とは

蚊に刺されやすい人とはどんな人?
 

蚊に刺されやすい人の特徴は?

蚊などの昆虫はフェロモンというニオイ成分で、代謝や生態がコントロールされています。蚊が人間の血を吸うのは、雌の蚊が産卵期に栄養を補給するためで、雄の蚊や産卵期にない雌の蚊は血を吸いません。普段は花の蜜や樹液を餌にしています(参考「みんなで防ごうデング熱プロジェクト」)。

蚊に刺されると痒いのは、蚊が血を吸う前に血液中の血小板が吸っている間に固まらないように、特殊な唾液を血管に注入するため。蚊が血を吸うターゲットを決める際、体温に反応して血を吸いに集まります。

また、触覚に嗅覚受容体とよばれるニオイセンサーをもっており、乳酸やオクテノールなどのニオイに集まる。同じ場所でも刺されやすい人と、刺されにくい人がいるのは、この要素の差から来ています(参考「蚊の誘引物質」)。

次に蚊に刺されやすい人の特徴を挙げていきます。
 

  • (特徴1)体温が高い人

もともと体温が高めの人は、低体温の人に比べて蚊に刺されやすい傾向があります。また、妊婦や赤ちゃんも一般的に体温が高いので、蚊に刺されやすく、お酒などを飲むと一時的に体温が上がるため、蚊に刺されやすくなります。
 

  • (特徴2)二酸化炭素(CO2)の排出の多い人

蚊は、二酸化炭素に誘引されます。体温が高い人は基礎代謝が高いので、結果として二酸化炭素の排出が多くなります。生まれつき体温が高いタイプの人もいますが、一般的には若い人、赤ちゃんや妊婦さんは体温が高く、二酸化炭素の排出も多くなります。

また、普段は体温が高くない人でも、お酒を飲むと二酸化炭素の排出が多くなり、蚊に刺されやすくなります。
 

  • (特徴3)O型の人

国内外の研究で血液型によって、蚊の刺され方に差があるという結果が報告されています。ある研究によると、O>B>AB>Aの順に刺されやすいという結果が報告されています(参考「Landing preference of Aedes albopictus (Diptera:Culicidae) on human skin among ABO blood groups, secretors or nonsecretors, and ABH antigens.」「ABO式血液型、分泌・非分泌型と蚊の嗜好性について」)。


O型を決めている糖鎖が花の蜜の糖成分と似た構造をしており、これが皮膚常在菌に分解されて花の蜜と同じニオイを発するからだとしました。しかし、このO型説には反論も多いようで、明確な結論は今のところ出ていません。

  • (特徴4)体臭が強い人

体臭の強い人が蚊に刺されやすいことも知られています。蚊は乳酸や二酸化炭素、体温に誘引されますが、この他にも体臭に含まれる様々なニオイ物質に誘引されます。ある研究によると、乳酸より誘因性がある17種の脂肪酸が報告されています。

また、これらのニオイ物質の組み合わせによっても、蚊の誘因性が異なり、これは後で述べる皮膚常在菌とも深い関係があります。
 

足のニオイに蚊が寄ってくる?

最近放映されたTV番組で、京都の高校生が小学生の妹の足に蚊が集まることに疑問を持ち、研究をしたことが紹介されました。この研究によると、ニオイの強さよりも、足の皮膚常在菌の種類の多さに関係するという結果がでたそうです(参考「蚊が何故人間の血を吸いたくなるのかを、ヒトスジシマカの雌の交尾数で検証する」)。

皮膚常在菌の種類が多いということは、ニオイの種類が多いということに繋がります。菌はその種類によって、好んで食べる物質が異なりますし、持っている代謝酵素も異なるので、その結果出るニオイも異なります。つまり、菌一種類毎に独特のニオイがあるといっても過言ではありません。

人間は37兆個の細胞で構成されているといわれますが、それと同時に、腸には100兆個、皮膚には1兆個以上など、様々な常在菌と共生していることが知られています(参考「人体の細胞数の推定」)。

皮膚常在菌の種類は200種類以上あるとされ、代表的なものに表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、マラセチア真菌、ニキビの原因菌であるアクネ桿菌などがあります。菌というとあまり良いイメージはありませんが、皮膚常在菌には善玉菌と悪玉菌があり、善玉菌は悪玉菌が増えるのを防いだり、皮膚表面を酸性にして皮膚を健康に保ち、免疫を刺激して皮膚抵抗性を高めたりしてくれます。

しかし、悪玉菌が増えると様々なトラブルの基にもなります。黄色ブドウ球菌は誰の皮膚にもいて、通常は害がありませんが皮膚が酸性でなくなると、勢いを増して皮膚が化膿したり、トビヒができたりします。

マセラチア真菌も通常は害がありませんが、増えすぎるとフケが出たり、脂漏性皮膚炎になったりします。また、アトピー性皮膚炎がある場合は、この菌が増えると悪化してしまいます。

アクネ桿菌も普段は脂肪酸などを分泌して、皮膚を酸性に保ち保護する働きがありますが、増えすぎるとニキビの原因になります。この他にも、200種類ある常在菌の中には悪玉菌もたくさんいて、足の分泌物や剥落した皮膚の角質を食べて、蚊が大好きないろいろな種類の脂肪酸を排泄します。

蚊は主に乳酸や二酸化炭素に誘引されますが、皮膚常在菌が増えることで、乳酸より誘因性が高いとされる様々な脂肪酸群が生成して、蚊を足に誘引している可能性が高いのです。
 

蚊はなによりも蒸れた靴下が好き!

そもそもなぜ足は臭いのでしょう?「手に汗を握る」というのはハラハラ、ドキドキした様子を表現する言葉で、人間は緊張すると手のひらに汗が出ます。この「手に汗握る」状況では、実は同時に足の裏にも汗をかいていますが、あまり気が付きません。

これは人間がかつて樹上生活をしていた霊長類であることに起因しています。木の枝から木の枝に飛び移るような緊張状態では、手や足が滑って落ちないように、手のひらや足の裏に汗を出して、グリップ力を高めているのです。今でもロジンバッグのような滑り止めがない時には、手のひらに唾を付けて、滑らないようにするのと同じ原理です。

このため手のひらや足の裏には汗腺が多く存在します。緊張した時はもちろんですが、暑い時にも汗腺からは汗が出ます。足が臭くなりやすいのは、足の裏に汗をかきやすいからです。加えて高温多湿の日本に、西洋の服飾文化である靴が明治時代に入り、一般化したことが拍車をかけました。

高温多湿で足の裏に出た汗は、靴の中で飽和状態になり、足のニオイの原因になる常在菌の温床になります。この皮膚常在菌がびっしりと付いて、さまざまな悪臭を発する靴下が蚊は何よりも大好きなのです。
 

足のニオイを防ぐ方法

  • 足を清潔に保つ

足のニオイを解消して、蚊の攻撃を防ぐには蚊の大好きなニオイを、足から放散しないことです。このために最も大事なのは、足の皮膚常在菌を暴走させないことです。つまり常在菌を増やし過ぎず、善玉菌と悪玉菌のバランスを常に良くすることです。

汗をかきやすい夏などは、夜はお風呂で足の指の間も良く洗い、朝もシャワーできれいにしましょう。デオドラント効果がある石鹸なども市販されていて有効ですが、こまめに洗うことが一番です。しかし、あまり極端に洗いすぎると、善玉菌まで洗い流してしまい逆効果です。

清潔に保つことが大事

清潔に保つことが大事


  • 靴下を履き替える

足のニオイが気になる人は、毎日清潔な靴下に履き替えることはもちろんですが、お昼頃に一度履き替えるのも大変有効です。常在菌は湿度と温度が高いと爆発的に増殖しますので、夕方には靴と靴下は大変なことになっています。

抗菌作用がある靴下も販売されていますが、基本的なことをした後でないと有効性は限定的です。靴と靴下の常在菌の増殖を防ぐには、通勤用の靴と、仕事場での履物を変えるのも有効です。

  • 毎日同じ靴を履かない

毎日同じ靴を履いて通勤する人がいますが、これは最低です。日中、高温多湿の靴の中の環境で爆発的に増えた常在菌(特に悪玉菌)が、一晩では乾燥しきれず菌が増殖し、更に翌日増殖することを繰り返すからです。靴は3足以上持って、1日履いたら2日は最低乾燥させる必要があります。

乾燥する間は活性炭や乾燥材を入れておくと効果的です。保管場所も乾燥した場所を選び、週に一度ぐらいは日光に当てると、ほとんどの菌は死滅します。靴は毎日履くと変形しやすく、長持ちもしませんから、結局経済的でもあります。
 

根本対策で足のニオイと蚊の対策を!

蚊が大好きな足のニオイの原因と、その対策を解説してきましたが、そもそも全てのニオイにはその根本原因があります。上で解説した対策は、いわば水際対策です。足に限らず体臭の全ては、その人の生活習慣によって大きく左右されます。体臭とは、その人が食べているもの、その人の生活習慣の結果として発生するものです。

本当の意味での対策は、先ずこれらの食習慣や生活習慣の改善無くして効果は期待できません。この根本対策については、これまでの私の記事に詳しく載っていますので、是非参考にして頂き、足のニオイと蚊の攻撃の対策として下さい。

【関連記事】




※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して体調不良を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮し、正しい方法で行ってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。