ランドクルーザー・プラドとフォード・エクスプローラーを比較

トヨタ・ランドクルーザー・プラドにディーゼルエンジンが追加され、フォード・エクスプローラーがビッグマイナーチェンジされたことは2015年の大きなトピックだった。同じSUVとはいえ、プラドとフォード・エクスプローラーを比較する人は少ないかもしれない(もし、比べるならプラドではなくランドクルーザーとエクスプローラーだろう)が、ともに日米を代表する話題のSUV。同じ日に乗る機会があったので、図らずも比較することになった。
   

プラドのディーゼルエンジンとは?

ランドクルーザー・プラド

ランドクルーザー・プラドは、全長4760×全幅1885×全高1835mm。5人乗りのほか、写真の3列7人乗りを設定する

まずはランドクルーザー・プラドから。今年ディーゼルエンジンが追加され、ランクルのファンはもちろん、クルマ好きなら気になるところだろうし、すでにSUVとディーゼルの相性の良さを再発見している、あるいは初めて体感しているオーナーの方も多いはずだ。

クリーンディーゼルエンジンは、VWの不正問題で他メーカーへの影響、つまりイメージダウンが気になるところではあるが、分厚いトルクによる力強い走りは大型SUVに最適。

トヨタのそれは、DPR(排出ガス浄化装置)や新開発の尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)を使うもので、尿素水溶液(アドブルー)の補充が必要で、1000~1500kmで1Lのアドブルーを消費し、最大1万5000kmまでに補充する必要がある。アドブルーがなくなるとエンジンが始動できず、トヨタではディーラーでの補充を奨励している。
ランドクルーザー・プラド

プラドの2.8Lディーゼルエンジン。エンジンルーム右側にアドブルー用の補充口が配置されている。

2.8L(2754cc)のプラドは、177ps/3400rpm、450Nm/1600-2400rpmというスペックで、2.7Lのガソリンは163ps/5200rpm、246Nm/3900rpmだから最大トルクはもちろん、最高出力でも上回っている。
 

ディーゼルらしい音・振動だが、力強い発進性は魅力

ランドクルーザー・プラド

質感の高さと操作性のしやすさはプラドの美点

現在のクリーンディーゼルエンジンとしては大きめの音、振動を伴いながらも力強い発進性はやはりクロカン系SUVの雰囲気も含めて相性の良さを感じさせる。

それでも驚くほどの分厚いトルク感もない。2tを軽く超える車両重量とアクセルの反応ぶりもあるのだろう、おそらく悪路を走る際は逆に扱いやすく、信頼できる発進性だろうし、雪道など滑りやすい路面ではセカンドスタートモードも用意されている。

とはいえ、街中から高速域までかったるさはなく、ストップ&ゴーも軽快にこなしてくれるし、高速道路で流れをリードすることも容易だ。

また、最近の流れからすると車両価格を考えても高速道路ではアダプティブクルーズコントロールが欲しくなるところだが、7人乗りの「TZ-G」に15万円超のオプションとしてレーダークルーズコントロールが設定されているのみで、ほかは従来型のクルーズコントロールが標準もしくは、未設定なのは現行型がデビューから6年経っているとはいえやや残念だ。

乗り心地はトヨタらしく同クラスの平均点はクリアしているものの、クラスをリードする上質さとまでは表現できない。それでもリヤがトレーリングリンク(車軸式)と考えれば十分に納得できる範囲ではあるが。
 

燃費で元を取るというよりも、ディーゼルの良さが分かる人に

ランドクルーザー・プラド

内装では運転席右側のスイッチがガソリン仕様との差で、排出ガス浄化装置、アイドルアップのスイッチが用意されている

価格は5人乗りのTXが396万円4528円、7人乗りのTX Lパッケージが469万6037円、同じく7人乗りのTZ-Gが513万3927円。JC08モード燃費は、最高で11.8km/Lと2.7Lガソリンよりも2.8km/L上回る。

エコカー減税やCEV補助金で最大24万円の給付があるし、ディーゼルは軽油で済むという利点もあるが、約60~75万円の差額を燃費で元を取るのはなかなか難しいだろう。それでも長距離を頻繁に走るならディーゼルならではトルクフルな走りは虜になるはずだし、かつてディーゼルのSUVに乗っていた方ならすんなり受け入れられるだろう。
 

アップサイジングしたエクスプローラーの2.3L EcoBoostエンジン

フォード・エクスプローラー

全長5050×全幅2000×全高1820mmという堂々たるボディサイズのフォード・エクスプローラー。この巨体で左ハンドルのみだが、慣れると意外と取り回ししやすい

エクスプローラーは、巨体にも関わらず日本のフォード車で最も売れているモデル。10月31日から発売されているビッグマイナーチェンジモデルでは、FF仕様のXLT EcoBoostの直列4気筒直噴ターボエンジンが2.0Lから2.3Lに「アップサイジング」された。

当然ながらパワーもトルクも向上していて、出力は約7%アップの261ps/5500rpm、トルクは約15%増強となる420Nm/3000rpmを得ている。さらに、排気量を拡大しながらも燃費も約5%改善し、8.6km/Lまで向上している。
フォード・エクスプローラー

2.3Lの直列4気筒直噴ターボエンジン「EcoBoost」は、その名の期待を裏切らないトルクフルな走りが印象的だ

この420Nmは、3.5L V6のNAエンジンの345Nmを大きく上回り、2016年に登場予定で3.5L V6の直噴ツインターボを積む「Titanium」の474Nmには及ばないものの、かなりトルクフルなのが数値からもうかがえる。
 

圧倒的なトルク感

フォード・エクスプローラー

フロントがマクファーソン、リヤがマルチリンクとなるサスペンション。ボディの剛性感はそれなりだが、乗り心地がよくゆったりとした気分に浸れる

実際に走り出すと予想以上にグイグイと加速していくから面食らうほどで、最近のフォード車らしく軽めのパワーステアリングもあってサイズを感じさせない軽快感は想像よりもオンロード向きだ。ATは6速と最近の流れからいうと物足りないかなと思っていたが、変速フィールの面で不満はほとんど抱かせなかった。

なにせ5mを超える全長、2mジャストという全幅は「日本ではフルサイズ」といえる巨体だし、左ハンドルのみで慣れるまで緊張するものの、慣れてくると大きさを感じさせない。さらに、高めのドラポジを取れば、ほぼコマンドポジションに近い運転姿勢がとれるから狭い場所での取り回しもサイズから想像するよりも楽だったりする。

開放感のあるフロントウインドウもあってのんびりと運転したくなるエクスプローラーだが、乗り心地の良さも予想以上で、なんだかおおらかな気分に浸れるのはアメリカンSUVの美点なのだろう。
 

雪国以外ならFFでも魅力は十分味わえる

フォード・エクスプローラー

中央にディスプレイ、その下にオーディオを配置。ナビを販売店オプションで設定している

FFモデルには、ダイヤル操作で走行モードが変えられる4WDシステムなどはもちろん装備されないが、雪国でない限りはFFでも十分にエクスプローラーの大半の美点が堪能できそう。

外連味のない実直な大型SUVとしてエクスプローラーの良さは乗るほどにじわじわ伝わってくる。日本でこのサイズのSUVを探すならまずはエクスプローラーの試乗をオススメしたい。

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