前回の記事では、クレッシェンドとデクレッシェンドをする際に気をつけるべき基本的なポイントをご紹介しました。今回はそれらに加え、より効果的に音量の変化を表現するためのポイントをご紹介します。

音量の変化はスムーズに!

クレッシェンドとデクレッシェンドがきれいに聞こえるための絶対条件は、音量をなめらかに変化させること。途中で強過ぎたり弱過ぎたりする音が混ざると、響きが凸凹してスムーズに音量が変化しているように聞こえず、効果が薄れてしまいます。

音量を変化させていく過程でバランスを崩してしまうのには、主に3つの原因があります。ショパン作曲の「子犬のワルツ」の一部分を例にご説明しましょう。
子犬のワルツの楽譜

3つのポイントに気をつけて、クレッシェンド、デクレッシェンドの精度を上げると、演奏の仕上がりがグッとレベルアップする


ポイント1:音の動く方向につられて音量を変えない

同じ音量で弾いているつもりでも、音が下降すると弱く、上昇すると強くなっているように聞こえるもの。例にあげた楽譜のように、クレッシェンドの途中で下降する音があると、だんだん強くしているつもりでも思ったほど音量が上がったように聞こえず、黄色の●で示した頂点の音だけが鋭く突き出たように強くなってしまいがちです。

音が下降してもクレッシェンドしているように聞こえるためには、指にかかる重さ(圧)を抜かずに、体重を乗せていくイメージで弾くようにします。

ポイント2:指替えがわからないように弾く

指替え(指くぐり)のあるところでは、その音だけにアクセントがついてしまい、なめらかな音量の変化の妨げとなりがちです。録音したり、目を閉じ耳を澄ませて弾いてみたりして、指替えしたことがわからないようになめらかに弾けているか確認します。

ポイント3:指の動きが音量に反映しないように弾く

音の上がり下がりが入り交じったところでは、指の動きがバタバタと大きくなり、音量のコントロールが甘くなりがちです。特にデクレッシェンドの場合は、しっかり意識して音量をしぼっていかないと聞いている人には伝わりません。

指先で弱くしようとすると、かえって力が入って音がくっきり浮き立ってしまいます。指の付け根からの動きを小さくしていくイメージで弾くと自然に音量も抑えられるので、是非試してみて下さい。

次のページでは、多小節にわたって音量を変化させる場合の効果的なクレッシェンド、デクレッシェンドの弾き方についてご紹介します。