世界中で使われる「カッターナイフ」は日本発祥です
日常、ちょっとしたものを切るときにハサミと同じくらいに生活に溶け込んでいて、コンビニやスーパーでも簡単に手に入るカッターナイフ。これは、日本の関西エリアのメーカーが1950年代に発明した「切れ味が悪くなったら刃を折って使う」という画期的なアイデアの刃物です。上はOLFAのネジ止め式の大型カッター「NXL-500」でデフォルトで強靭な特選黒刃が付属していました。下はスライド式のNT製の「LS100」。オフホワイトがいい感じ。気分を上げるためにウォーホールや吉田戦車の根付を付けて使っています。
商標とは、たとえば「シャチハタ」はスタンプ型印鑑、「ピアニカ」は鍵盤ハーモニカ、「クレパス」はクレヨンなどといったように特定の企業で登録された商品名。でも「カッター」や「カッターナイフ」は一般に使われる日本語として定着しています。
上のカラフルなカッターナイフはいつ買ったかは覚えていない100円ショップの大型タイプ。使用感はまったく問題なく、クリップに刃折が付いていて安全で便利。でも現場などで頻繁に刃を交換する場合は少し不便かも。下は愛用しているOLFA製でクリップなしです。
OLFAやNTは、カッターナイフの開発から製品化までに尽力したレジェンド的企業。数えきれないほどのタイプのカッターナイフを販売しています。しかし、近年は文具メーカーやプロ向けの工具メーカーも多様なスタイルの商品を販売しています。
現在は複数のタイプやメーカーがあり商品構成が分かりにくくなってきています。特にホームセンターに行くと種類が多すぎて、選択に迷うこともしばしば。そこで以下のように、メーカーや用途別で、3つに整理してみました。
1:OLFAやNTなどの老舗系
2:大手文具メーカーや百均・無印系
3:TAJIMAなどのプロ向け工具系
それぞれの特徴についてみていきましょう。
老舗系はプロユースから文具系まで幅広いバリエーション
個人的に思い入れがあるカッターナイフはNTの「赤ギザ」(L-550)。写真のように、大型刃でギザギザが付いた形状が持ちやすく、10代のころアルバイトで荷ほどきをするときなとに使っていました。最初は「アカギザもってきて!」と言われたときには意味が分かりませんでしたが……。1976年発売、ロングセラーの名前の通り赤くてギザギザの「赤ギザ」(L-500)。もともとは現場の愛称だと思いますが最近はパッケージにも表記されています。グリップ感が素晴らしく、早い時期からユニバーサルデザインを実現させていたことが分かります。ご高齢の職人さんから「昔の方がギザが深かった」という話を聞いたことがありますが、真偽のほどはわかりません……。
この鮮明な赤色はもちろんですが、作業するときの持ちやすさ、刃を絞めたり調節するときの「ギリギリギリ……」という音や感触が安心感があって好きです。
実際、今でも特に建築現場では経師屋さん(クロス職人さんや建具屋さん)に愛用者が多い。最近は、進化したプロ向け現場作業用の大型カッターナイフも増えていますが、この赤ギザには使いやすさはもちろん、プロダクトデザインとして完成された魅力があるのかもしれません。
私のカッターのイメージはこの鮮明な赤。でも、「カッターは黄色でしょ!」と答える人も多いかもしれませんね。黄色はOLFAのコーポレートカラー。ほとんどのOLFA製品に「OLFAイエロー」と呼びたくなるような黄色が採用されています。
黄色いボディで知られるOLFAのカッターナイフたち。上から2番目が有名な1970年発売の「ブラックS型」。中の2つは六角形の断面形状がすごく使いやすい「オートロックA型」の色違い。特に黒は落ち着いたデザインや握り具合、太さが気に入っていて15年くらい愛用しています。
上は1980年代中期に初めて「OLFA」ブランドで発表され世界中でヒットした樹脂製の「A型」。高い完成度は今でも衰えません。下の薄い金属で作られた「ブラックS型」は、裏面にリブを付けて強度を上げる工夫が施されています。
このカッターで鉛筆を削ったりプラモデルに使っていた中学生時代の記憶があり、今もなぜか2、3本所有しています。コンビニで入手できる完成度の高い工具・文房具としてOLFA・ブラックS型は「ぺんてる・サインペン」とともに私の定番品。
次に、文具メーカーや無印良品、100円ショップ、そして工具メーカー系や特殊なカッターナイフなどを検証していきます。