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意外と知らないカッターナイフのトリビア&種類と用法(2ページ目)

ちょっとした工作やDIYで何気なく使っている「カッターナイフ」は、ミッドセンチュリー期、1950年代に日本で発明されたことをご存知ですか? OLFAやNTといった老舗メーカーのラインアップや、刃の大きさや種類と互換性、使い方を中心に紹介。そして模型作りの話や、天才コラムニストで消しゴムはんこ作家でもあったナンシー関さんが愛用していた「デザインナイフ」についても考察します。

喜入 時生

執筆者:喜入 時生

インテリア・建築デザインガイド


文具メーカーも参入。無印や100均はオリジナリティで勝負

文具メーカーや無印良品なども、どちらかというとステーショナリー寄りのカッターナイフを販売しています。特徴としては、子供も安心して使える形状や、軽さや握りごこちを重視したものが多いようですね。
KOKUYOとPLUS

上は文房具の老舗コクヨの「HA-2」で刃には、なんと剃刀で有名な貝印の刃(ブランド名:KAI)が使われています(税込み100円以下!)。下は文具メーカーPLUSの見るからに使いやすそうなエルゴノミックデザインのカッターナイフ(税込み200円程度)。2本とも近所のスーパーで入手。

大型スーパーや量販店などの文具コーナーにあるメーカーはKOKUYOやPLUS、そして貝印製が多い。それぞれ100~200円といった価格設定で、小学生の筆箱に似合う雰囲気です。今は小学校2年生くらいでカッターナイフの使い方の授業が行われているらしい。

私を含めて、ある年代以上の人は、肥後守(ひごのかみ)タイプの折りたたみ式の小型ナイフで鉛筆を削っていたかもしれませんね。肥後守は近頃リバイバルでブームになっていて、現在の小学校でも低学年で、そうした昔ながらのナイフで鉛筆の削り方を教えるところもあるそうです。
鉛筆を削ってみた

わざとらしく鉛筆を削っているところ。使用カッターナイフはPLUSのもので、なるほど、拍子抜けするほど使いやすくて、裏返してもラクに作業できます。安全ロックも付いていて軽くて子供でも安全な感じです。

無印良品の店頭で入手できるカッターナイフは2種類。ひとつは「左ききでも使いやすいカッター」。これは実際に使ってみましたが裏返してもラクに使えます。もうひとつは「ステンレスカッターミニ」。これはペンケースなどに入れておきたくなる、かわいらしさがある製品ですが、専用替え刃が必要です。
mujimuji

無印良品の「左ききでも使いやすい カッター」。無印はナイフの付かない「カッター」表記でした。1980年代くらいのNTのステンレス系に似ていますがスライダーの樹脂はとてもスムースで扱いやすい。

100円ショップに行くと、ものすごい種類のオリジナルのカッターナイフがあります。小型刃は2本、3本組はあたりまえ、大型刃はもちろん各種替え刃、円形がきれいに切れるサークルカッター、そしてデザインナイフも……。と大手メーカー顔負けの品ぞろえ。
ダイソーミニ

ダイソーの使い切りタイプの超小型カッター2本組。ストラップ穴もあるし携帯に便利そうで、なかなかいい。でも平日の昼間にウロウロしている私が携行していたら職質やいろんな持ち物チェックで引っかかりそうな気も……。

最近の100均オリジナルにはデザイン性の高いものもあります。ですが、個人的経験では付いてくる刃が錆びやすかったり切れにくかったりしたこともありました。

100円ショップモノは当たり外れが大きい。でも100均で手になじむ気に入ったデザインのボディが見つかればラッキー。でも、できれば互換性のある性能の高い刃に交換することをオススメします。

プロ向けの大型刃系はノコギリ対応で高スペック!

「TAJIMA」ブランドは、プロ御用達のコンベックス(巻き尺、メジャー)が有名。そして測量機器や各種工具、シブイところでは伝統的な墨つぼ、さらにハイテクな地下材探知機などプロユースの建設関連機器・工具メーカーです。
tajimaka

TAJIMAの職人さん向け超高性能カッター。「先端焼爪」「凄刃黒」など力強い文字が並びます。紫や緑など現場で目立つ色もいいですね! こうした高性能の刃もNTやOLFAなどのボディにマウントすることが可能。

TAJIMA製のカッターナイフはホームセンターなどで入手することが可能。見栄えも現場映えしそうな男前のデザインです。DIYなどで、ちょっと差をつけたいときは、こんな玄人向けの高性能カッターも選択肢に入れましょう。

DIY作業用にOLFAの「ノンスリップH型(グレー)」という商品を所有しています。これは自宅に5ミリ程度の樹脂製床材を張るときに大活躍! 刃は「特大H刃」という専用刃で、高さ方向のサイズは25ミリ、刃の厚さは0.7ミリもあります。
超大型!

黄色が多いOLFA製品の中では珍しいグレーのボディの超大型「ノンスリップH型」。上の一般的な小型カッターナイフと比べるとその強力さが想像できるのでは? 薄板なら一発できれいにカットできます。

ちなみに「OLFA(オルファ)」のブランド名は「折る刃」に由来しています。もし、そのままローマ字表記で「ORUHA(オルハ)」だったら印象がずいぶん違いますね。グローバル展開を見据えた1980年代のOLFAの先見性を感じます。

また、NTやOLFAのカッターナイフの特徴である、折れる刃の先端場所の一般的な角度は60°だと思っていたのですが、調べてみたところ厳密にはNTの純正刃で「58°」と表記がありました。この形や角度は実質的にグローバルスタンダード化しています。
カッター刃

下から特大の25ミリ、大型の18ミリ、一般的な小型9ミリの刃です。一般に入手しやすい60°タイプの刃だけでも、これだけの違いがあります。上に見えるのはOLFAの定番「ブラックS型」。錆び錆びの刃は、さすがに交換しなければいけませんね。

幅は、「S型」と呼ばれる一般的な小型刃で9ミリ幅のものと、倍の幅で「L型」と表記されることが多い18ミリの幅の大型刃のふたつが一般的。さまざまなメーカーの刃は同じタイプなら事実上、交換可能です。

実際、日本のNTやOLFA製の刃は、ほとんどのメーカーのものと互換性があります。ですが、カッターナイフは「刃物」なのでメーカーの純正品を使うことが基本ということは覚えておきましょう。

次に、ノコギリにもなる替え刃や模型製作で多用される30°の刃、
そして、コラムニストしてはもちろん消しゴムはんこ作家の第一人者だった
ナンシー関さんも使っていた「デザインナイフ」などを紹介します。

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