新たな「山」の魅力を発見しよう!
登山というと、高い山、難易度の高い山に注目が集まりがちですが、山の中を走る「トレイルランニング」なら、登山するには物足りないぐらいの「なんてことない里山」にこそ醍醐味があります。山は好きだけど、大がかりな装備は苦手。軽快に山を楽しみたいという人におすすめしたい「トレイルランニング」をご紹介します。山を走ってみると、その山の新たな魅力を発見できるかもしれません。トレイルランニングとは
トレイルランニング(以下、トレイルランまたはトレラン)とは、登山道や林道など、舗装されていない自然の中の道を走るスポーツアクティビティです。日本では、トレランの第一人者、石川弘樹さんが全国各地でトレランのレースを立ち上げるなど普及活動を行い、アウトドアスポーツとして認知度が高まりました。山を登るのも大変なのに、なぜ山を走るのか?と思う方も多いでしょう。以前、石川さんにお話をお聞きしたとき、「登山よりも長距離を楽しめる」「下りのスピードの爽快感」「自然の中を走る気持ちよさ」などを理由に挙げていました。冒頭の「なんてことない低山が魅力的なコースになる」という話も、そのときにお聞きしたものです。
登山と言うと、標高や難易度が高い山にばかり目が行きがちですが、日本には里山や名もなき低山もたくさんあり、そういった山こそがトレイルランのコースとして最適なのだとお話していたのが印象的でした。
「山を走る」というと、登り坂のつらそうなイメージが浮かびますが、最初はロープウェーなどを利用して、山の上からとなり山まで縦走したり、下り道を楽しんだりすることから始めてみれば、平らな道を走るときよりもスピード感があることや、山のきれいな空気の中で走る楽しさなどに気づくはずです。
トレイルランを始めるためにシューズを準備
トレイルランニングを始めるなら、まずはシューズを用意しましょう。登山靴のように靴底がすべりにくいもので、ランニングシューズのように軽いものがおすすめです。トレイルラン専用ブランド「モントレイル」のトレラン専用シューズのほか、軽量登山靴でも対応可能。山道は舗装路と比べて滑りやすいので、その点に注意して靴を選びましょう。携行品
コースや距離に応じて飲料水や携行食、地図やコンパス、防寒着のソフトシェルや、それらを入れる軽量バックパックなど、必要になったらそろえてみましょう。トレラングッズは最新技術を生かした軽量高機能モデルが多いので、グッズをそろえると登山や日常のランニングでも重宝します。コース選びのポイント
ハイキングコースのようなある程度整備された軽登山道、小高い丘や丘陵地に作られた公園などから始めるのがおすすめです。整備されていない低山の場合、登山道は荒れ果てて途中で進めなくなることがあります。知らない山に入るときは、本格登山と同様に注意が必要です。トレイルランのコースを選ぶ時のポイントは、
- 登山道が混雑していないこと、
- 比較的広めの道であること、
- 体調や体力で距離を選べる、途中離脱可能なコースになっていること
途中離脱可能なコース設定とは、目標のゴールにたどり着かなくても帰れるように設定するコースです。ぐるりと周遊してスタート地点に戻るコースの場合、途中で止めることができません。公共交通機関からアクセスできるコース設定にすれば、駅からロープウェーに乗って10km程度離れた駅を目指すといった一方通行のコースの中で、例えば体力や体調によって、途中のバス停までに変更したり、もうひとつ先の駅まで行ってみる、などが可能になります。
おすすめトレランレース
全国各地で、トレランレースが開催されています。レースに参加してみると、コースの選び方や雰囲気などをつかみやすいです。マラソン大会に比べトレランレースの募集人数は比較的少ないため、人気が高くあっという間に募集定員に達するようなレースもあります。気になるレースはなるべく早めにチェックしましょう。■斑尾高原トレイルランニングレース
トレイルランナー石川弘樹さんプロデュース、長野県斑尾高原にある信越トレイルを舞台に開催される、老舗本格レース。エントリーは一般クラス50km、ビギナークラス16kmの2種類。レース以外に、環境活動「生命の森づくり」や、石川氏による「トレイルランニングクリニック」、「コースガイダンス」など多彩なコンテンツが魅力。
■みたけ山トレイルラン
東京、多摩地区にある御岳山(青梅市)を舞台にした15kmのレース。ケーブルカー乗り場をスタートして、鍋割山やロックガーデンを経由し、山頂の御岳神社を目指す、階段やアップダウンの激しいコース。レース後はコース途中にある宿坊で入浴可能、都心からアクセスしやすい。
■お宝登山・長瀞アルプストレイルレース
埼玉県、長瀞で毎年12月に開催されるトレランレース。宝登山(ほどさん)ロープウェー駐車場からスタートし、野上峠を越えて天狗山へ。神社仏閣をめぐって宝登山に戻り、登山道を下ってゴールを目指す、勾配の激しい約16kmのコース。帰りは少し足を伸ばして「満願の湯」に立ち寄り、汗を流して帰るのがおすすめ。
これから始める人へ
全国に様々なトレイルランのコースが作られていますが、近くの裏山にも、トレイルランニングに適したコースがあるかもしれません。注意するポイントは、歩行者やほかの利用者の邪魔をしないこと。あくまでも歩いている人を優先しましょう。それから足元にも十分注意してください。山道は木の枝や落ち葉ですべりやすいので、どうかけがのないように。歩いて登るだけじゃない山の楽しみ方をぜひ試してみてくださいね。
【関連記事】