お金がなくて進学をあきらめかけている人は必見
ものづくりのプロになるべく日々実習に励む
どうしても働きたい会社がある、または専門的な知識を身につけたい、または経済的な理由で高校の進学が難しい、という方、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
手当をもらいながら学ぶことができる企業内高校の例
企業内高校の主な特徴は以下の4点です。・全寮制など、寮が準備されている
・給与がもらえる(貸与の場合もあり)
・卒業後または入学後、その企業の社員となる
・高卒資格が得られる
具体的にいくつか学校を紹介しましょう(表を参照)。
トヨタ工業学園/トヨタ自動車(株)運営
愛知県にあるトヨタ工業学園では、全寮制で3年間、トヨタのものづくりの基礎を現地でみっちり学ぶことができます。部活動なども盛んとのこと。高校生の間はトヨタの社員ではなく、卒業後に入社することになります。毎月の生徒手当と年2回の特別手当がもらえます。また、希望者は大学進学も可能。配属職場の推薦と社内選抜試験の受験が必要ですが、奨学金をもらいながら豊田工業大学に通える進学支援制度があります。
デンソー工業学園/(株)デンソー運営
愛知県にあるデンソー工業学園には、遠方から通う場合のみ入れる寮があります。トヨタと違い、まず採用試験を受け入社するので、高校生とはいえ社会人の待遇(手当・賞与・福利厚生等)を受けて勉強します。もちろん入学金・授業料は一切不要。仕事をしながら勉強するのではなく、仕事は免除され「訓練生」という立場で学びます。また、同じくデンソー工業学園でも選抜試験に合格した若干名が、社会人入試を受けて豊田工業大学に進学可能です。
日野工業高等学園/日野自動車(株)運営
東京都にある日野工業高等学園にも、遠方から通う学生向けの寮があります。デンソーと同様、入学と同時に社員となり、訓練生という立場で学びます。生徒手当と年2回の特別手当がもらえます。日立工業専修学校/(株)日立製作所運営
上記3校と若干異なるのが茨城県にある日立工業専修学校。入学にかかるお金として12万円が必要になりますが、その後の学費や寮費はかかりません。しかし社員ではないため、特に手当というものはもらえません。全寮制で、部活動や国家資格取得などに全員が励み、スペシャリストを目指します。卒業後は、日立製作所をはじめ、日立グループ各社に入社します。
企業内学校のメリットとデメリット
紹介した4つの高校では、通常の勉学以外に、将来、大企業の生産現場で活躍できる「ものづくりのプロ」になるべく、たくさんの技能実習を受けます。中学を卒業したばかりの15歳から叩き込まれるため、高卒・大卒で入社してくる人よりも、一歩先に技術力を高めていると言えますね。高校によって、入社時期が「入学と同時」か「卒業後」と異なりますが、必ず入社できることがポイントです。ただ、手当をもらいながら高校に通えるとはいえ、一般の高校生とは大きく異なるのが、授業を受けることが「業務」であり、「訓練」であること。給与をもらう、または学費が免除されているので、より高い責任感も求められます。
キャリアプランを早い段階で絞り込むことに。くれぐれも熟考を
また、働く場所(会社)が確保できる安心感はありますが、その場所(会社)で働くのに相応しい人材を育成することが目的の高校に通うことになるため、将来の方向性が高校入学段階である程度定まることになるといても過言ではありません。慎重に将来のキャリア形成についても熟慮の上、進学を検討した方が良いでしょう。少なくとも、生半可な気持ちで進学するのは、おすすめできません。
もちろん、早いうちに身につけた高い専門性は、将来においても必ずや武器になるかと思います。この専門性をぜひ手に入れたい!という熱い思いがある方には、向いている進路と言えるのではないでしょうか。
選択肢の一つとしてこうした高校もあるということを、ものづくりに興味がある学生さんに、ぜひ知っておいてほしいと思います。
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