照明・LED

簡単な計算法でLED照明の必要ワット数を算出するには(2ページ目)

照明器具を購入する際、事前に明るさの計算を行っている人はどれだけいるでしょうか?多くの人は器具のワット(電力)数で明るさを何となくイメージしているに違いありません。しかしワットと照度は直接関係はありません。結局購入後、明かりをつけたときにイメージと違うと落胆することになります。そこで今回はワット数で照度が算出できる計算法をご紹介いたします。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド


表1の簡易照度算出表を用いた照度計算

1) 計算を行う前の準備
まず対象となる部屋に関するリストを作ります。

・部屋の種類と広さ(面積)
・天井、壁、床面の反射率(仕上げが明るい感じか暗い感じか)

2) 計算を行うための手順
・採用したい照明を2つの器種の中から選ぶ
・JISの照明基準総則(図1)から部屋の種類に応じた基準照度を拾い出す
JIS照明基準総則

図1. JIS照明基準総則 ※矢印は推奨照度範囲内を示す 


なお、明るい生活に慣れている人は基準照度の高めに設定するとよいでしょう。また色温度の高い白色や昼白色を使用する場合、暗いと陰鬱な雰囲気になりがちなので、緩和する意味で基準照度範囲内で高めにすることが薦められます。

3) 表1を使用した計算式
部屋に必要なLEDのワット数=表示のワット数×{求めたい照度/100(※3)}×部屋の面積(平方メートル)

※3の算出例
求めたい照度が100ルクスであれば 100/100=1、
75ルクスであれば 75 /100 =0.75

では実際に1~3をふまえて、簡単な事例をご紹介します。

【 事例 1】
乳白カバー付きシーリングライト

写真1. 天井中央に配灯された大型の乳白カバー付きシーリングライト器具イメージ 


6畳(約10平方メートル)の子供部屋の天井中央に大型の乳白カバー付きLEDシーリングライトを天井中央に取り付けたい場合、平均100ルクスの照度にするためにどのくらいのワット数の器具が必要か。(写真1)子供部屋はJIS照明基準総則によると75~150ルクスが推奨照度になっているため、ここではその中間値を取って100ルクスを求める。

以上の内容を 表1を使用した計算式 に当てはめます。

概略必要ワット数2.0(表1の数値A)×1×10平方メートル(部屋の床面積)=20W


この計算によりおよそ20Wの器具を選べばよいことになります。しかし、実際この種の器具は30W~50Wが主流のため、平均照度が150ルクスくらいになってしまいますが、30Wくらいのものを選ぶことになると思います。いずれにしても従来の環型蛍光ランプ用に比べると使用ワット数がおよそ半分ですむため、電気代の節約にもなります。

乳白カバー付きシーリングライト器具の照明効果は図2の照度分布図にあるように器具直下付近が一番明るく、壁面に近いところでは照度が直下付近に比べ半減する可能性があります。
シーリングライト器具の照度分布図例

図2. シーリングライト器具の照度分布図例


例えば子供部屋で壁面に向かって勉強机があると机上面は暗く、さらに自分の影になるため別にデスクスタンド器具などを用意する必要があります。(図3) 
シーリング使用時のイメージ図

図3. 壁に向かって机があると、机の位置によって机上面がより暗くなる


仮に部屋が寝室の場合、6畳で30W以上は少し明るすぎます。そのため調光・調色機能付き(子供部屋でもお勧め)を選べば問題ありません。

就寝前はシーリングライトの明るさを落として、ナイトテーブル上の卓上スタンドの明かりで読書などを楽しむと良いでしょう。

【 事例2 】
ダウンライト

写真2. ダウンライト器具の配灯イメージ


12畳(約20平方メートル) の部屋に6灯のLED一体型の全般照明用ダウンライトで平均75ルクスとる。そのためには一灯当たり何ワット用の器具を選んだらよいか?

以上の内容を 表1を使用した計算式 に当てはめます。
概略必要ワット数=2.0(表1の数値B)×0.75×20平方メートル(部屋の床面積)=30W

30(W)÷6(灯)=5(1灯あたりのW数)

以上よりトータルで約30Wになり、6灯使用しますので、1灯当たり約5Wがあればよいことになります。もし選びたい器具が6W用であればそれも許容です。

ダウンライト器具の配灯は一般に壁、もしくは天井近くまでの高さのある収納棚などから0.5~0.8mほど離して、2m前後の器具ピッチが床面を比較的均整度の高い全般照明を可能にします。(写真2)この12畳の部屋をリビング・ダイニングルームと想定すると、平均75ルクスあればJISの基準を満足します。

しかし食事や読書などを行うためには別にその部分だけ明るさの得られる照明器具が必要になります。例えば食卓面を照らすペンダント器具やソファ近くに明るさの得られるフロアスタンド器具などを配灯することが望まれます。

表1はLED一体型ダウンライト器具(内蔵しているLEDランプの寿命がきたら器具ごと交換するタイプ)のデータですが、仮にLED電球を使用するダウンライト器具だと、一体型に比べランプや器具効率が低下するので、器具によっては照度が半減する恐れがあります。

なお、LEDはまだ進化の過程にあるため、この表1は作成から2年後くらいは見直す必要があると思います。


家一軒分のW/平方メートル

部屋単位ではなく、家一軒分のW/平方メートル数の目安もあります。これは照度まで出せませんが、簡単に覚えられるので自分の家の照明に使われる電力が適正かどうかの判断に使うためであれば有効と思います。LEDが普及する前の日本の住宅照明は家一軒分の照明で費やされる電力は10~20W/平方メートルくらいでした。

全般照明だけではなく局部照明や装飾照明用も含めて、蛍光灯主体の照明であれば10W/平方メートル寄り、白熱灯主体では部屋の雰囲気を大事にして平均照度を下げて使うことが多いため20W/平方メートル寄りになります。

今後、家の照明が全てLEDに変わると、5W/平方メートル以下でも快適な照明効果の実現が可能性になると考えられています。

Copyright(c)中島龍興照明デザイン研究所. All rights reserved.

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