お金の悩みを解決!マネープランクリニック/病気、ケガ、心の病等がある方のお金悩み相談

45歳貯金200万円。遺族年金と月収6万円で老後は?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は退職して精神疾患を抱える40代の独身女性。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんが担当します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 働く年齢は年金の支給額で変わる

まずは老後にかかってくるお金を試算してみましょう。
そこで、すでにある貯蓄220万円ですが、これは不測の事態などの予備費として手を付けないとして、今後どれだけ貯められるかを考えてみたいと思います。

現在、パート収入6万円と遺族共済年金(※)が8万2500円。対して月間支出が11万6700円ですから、毎月2万5800円の黒字です。仮に、ご相談者のぱんこさんが希望されるように75歳まで働いたとすると、今後30年間で約923万円貯蓄ができることになります。

しかし、ここでぱんこさんに確認してほしいことがあります。現在受給されている遺族共済年金は、65歳から障害基礎年金が上乗せされると思われます。国民年金保険料をどれだけ納めてこられたかは不明ですが、もし40年納めれば、年78万100円(平成27年度)が一生涯支給されます。まずはこれに関してお近くの年金事務所に問い合わせてみてください。

さて、もし遺族共済年金と障害基礎年金とのダブル支給となり、それが上限額であれば65歳からの年金支給額はひと月あたり14万7500円ほどとなり、この時点で現在の生活費はカバーできます。仮に65歳で仕事を辞めても、それまでに620万円貯蓄が上積みされていますが(現在ある貯蓄との合計は840万円)、今の支出ペースが維持されれば、それを取り崩すことなく、計算上は老後生活を送ることができるということになります。長く働けばそれだけ貯蓄を上積みさせることができますから、万一に備えておきたいと思えば、65歳以降も継続的に働くことを考えるといいでしょう。

つまり、障害基礎年金の支給額によって働いておきたい期間も変わりそうです。少なくとも、ある程度の額が支給されるなら、がんばって75歳まで働こうとされなくても、ご自身でリタイアの年齢を決めてよさそうです。

ちなみに、まったく障害基礎年金を考慮しないで試算をすると、75歳以降の生活は先の923万円を取り崩しながら(遺族共済年金だけでは不足する分)となりますが、それでも約22年、97歳までの生活費は確保される計算となりました。ご参考にしてみてください。
 

アドバイス2 トータルで加入すべきかどうかを判断

新たにがん保険への加入することについては、精神疾患であればおそらく加入は可能ではないかと思います。ただ、そこで考えたいのは、毎月のコストがアップもさることながら、トータルで保険料をいくら払い、実際にがんになったら、がん保険からはいくら支払われるのか、です。保障があれば安心ですが、「保険」はお金(保険料)を支払って、お金(給付金)を受け取る契約です。したがって、お金(貯蓄)があれば、必要性は低くなります。がん保険に加入しても、がんにならなければ多くのお金が掛け捨てになってしまいます。

また、ぱんこさんが言われるとおり、保険料として支払う分を貯蓄に回し、何かあれば医療費はそこから出してもいいわけです。がん保険に加入することの安心感を優先するか、貯蓄で備えるとするか、じっくり検討してみてください。すでに加入されている医療保険では、当然にがんも保障されます。つまり、がん保険は上乗せの保障です。いまの医療保険で最低限の保障は備えていらっしゃると思いますよ。

がんは 2人に1人がかかる病気ですが、逆に言えば、2人に1人はかかりません。大切なお金ですから、「入れるなら入っておく」と安易に決めてしまわないことが大事でしょう。
 

アドバイス3 姉妹で連絡を取り合いながら穏やかな毎日を

支出に関しては、大きな無駄もなく、十分管理されていると思います。ただし、今後、毎月の医療費が増える可能性も否定できません。その場合、こづかいや趣味娯楽費、通信費(プランの見直し)などを抑える工夫も必要かもしれません。ともあれ、まずは現在の支出レベルが大きく変化しなければ将来のリスクはだいぶ抑えられるのではないかと思います。

もうひとつ、精神的な部分も老後を考える上で大きな要素です。体調のこともありますから、何かと心細い部分もあるでしょう。ですが、ぱんこさんは妹さんたちと仲が良く、いろいろ相談にも乗ってくれているとのこと。ここはとても心強いところです。これからも連絡を取り合い、毎日ニコニコ笑って、気持ち穏やかに毎日が過ごせれば素晴らしいと思います。

(※)子または孫が遺族共済年金を受け取る年齢条件は、原則18歳となる年度末までだが、障害の状態(障害等級1級または2級)であればその限りではない。ただし、平成27年10月以降の死亡の場合は、厚生年金と共済年金が統一されたことから、今後は厚生年金の規定が適用となり、障害状態の場合は20歳までの支給となる。

教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
 
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ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める


取材・文/清水京武

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